第80話「本物」の子ネコwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
そのまま流れで沙織の豪邸に遊びに行ったんだけど、玄関に入ると沙織のお母さんがいつもの様に優しい笑顔で出迎えてくれた。
あいかわらずめっちゃ若く見えるしキレイなんだけど、やっぱり看護服の沙織にすごく似てるんだよな…
「差身君、今日の学校はどうだった?ゆっくりしていってね」
沙織のような、もうどうにもならない「本物」ですら優しく包み込んでしまうような沙織のお母さん。
でも確かにその白くて繊細な右手には、治りかけてはいるが擦り傷があった。
家で家事をしてる分にはあんな傷がつくわけないと思うんだけどな…
聞こうかどうか迷ったんだけど、とても重要なことなので頑張って手の傷のことを聞いてみることにした。
「ありがとうございます。あ…あの…」
めっちゃ聞きにくかったんだけど、僕がそう切り出そうとすると、沙織のお母さんはゆっくりと微笑んでくれた。
沙織も良く病んだ笑みを浮かべるんだけど、沙織と違って沙織のお母さんの微笑みはみんなを癒やしてくれる感じだ。
親子だからふと笑顔を浮かべてしまう癖は似てるんだけど、沙織の場合は世を憎み卑屈になってるからな…沙織の病んだ笑みは呪いそのものなんだよな…
「どうしたの差身君?」
「その手の傷は大丈夫なんですか?」
「もう治ってきてるから大丈夫なのよ」
「あの…それ…どこで怪我をしたんですか…?」
「大丈夫だから。差身君は心配しなくていいのよ」
沙織のお母さんは、なんというかその…優しく微笑んではいるんだけど平然としていた。
いやあの、もうちょっと言い訳してくださいよ…
庭で転んだとか、犬に追われたとか、幼稚園児が騙されるような嘘で良いんですよ…
それなら僕も自分を納得させることができるんで…
そうやって僕の質問をはぐらかす時は、昔から何かをごまかしている時ですよね!!!!
僕は知ってるんですよ!!!!!!
でももうそれ以上聞けなかった。
それ以上聞いたら、全てが壊れそうな気がしたから…
自分で自分の精神崩壊を起こさせてしまう現実を知る必要はないんだ…
それから沙織の部屋に行ったんだけど、なかなか沙織は僕を帰そうとしなかった。
最初は「このアニメを全部見るまでは駄目だwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」とか理由をつけてたんだけど、なんだか意図的に時間稼ぎしているようにしか見えなかった。
もう日付が変わりそうになってるんだけど、沙織!お前、一体何を企んでるんだ!
「まだだwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕が沙織の部屋を出ようとすると、めっちゃ眠そうな顔をしながらも、部屋の出口に立ちふさがり僕を部屋から出さない沙織。
沙織も眠そうじゃん!そこまでして何をするつもりなの?!
「沙織、なんでそこまでして僕を帰らせないんだ?」
「ニャンパス!!wwwwwwダメなものはダメなんだwwwwwwwwwwwwww」
沙織は眠気と闘いながら病んだ笑みを浮かべそう叫んだ。
もうこれはどうにもならないぞ…
少し話を聞き出さなくては…
しかし眠い…こう毎日毎日、わけのわからない事件に巻き込まれたら過労死しちゃうよ…
「沙織、理由を教えてくれれば、もう少しここにいるから。なにかあったの?」
もうわけがわからなかったが、沙織が何を考えているのか知る必要があるので、眠かったけどなるべく優しく聞くと、沙織も少し折れてくれたようで、しかたなさそうに病んだ笑みを浮かべた。
「しょうがないなあwwwwwwwwwwwwwww差身を驚かせようとして黙ってたんだが実は差身と一緒に子ネコを見に行こうとしてたんだwwwwwwwwwwwwwwww最近とてもかわいらしい子ネコが迷い込んできていてなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwあの子ネコは昼間は隠れていて夜になると出てくるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwニャンパス史上最強にかわいい子ネコwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwあいつは0時にやってくるwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
めっちゃかわいい子ネコなんだろうね。
沙織は目を閉じ、病んだうっとりとした表情で語りだした。
それならそれで早く言えばいいのに。
まあ、サプライズで僕を驚かせたかったんだろうけどね。
「へー、そうなんだ。じゃあ、その子ネコを見て帰るよ」
僕もネコは好きだし、そんなに悪い話じゃない。
帰りがてら子ネコをかわいがって行くか。
「こんな時間まですまないなwwwwwwwwwwwwwwwそろそろ子ネコが現れる時間だwwwwwwwwwwwww差身よwwwwwww子ネコを見て帰ろうwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はスマホで時間を確認すると、病んだ笑みを浮かべながら部屋のドアを開けた。
そう…まだこの時は、普通に帰れると思っていた…
沙織の豪邸の玄関を出ると、いつもと様子が様変わりしていた。
なんて言うんですかね…一言で言えば「暗黒に満ちたハロウィン」という感じかな…
玄関から沙織の豪邸と外を繋ぐ一体何と戦っているのかわからない巨大な門まで、酷く「本物」な飾り付けが施されていた。
その辺のお化け屋敷なんかとは比較にならないくらい怖いんですけど…
バサバサ跳んでるコウモリとか、当たり前のように漂ってる人魂はどうやって操作してるのかな!
あとロウソクを持って彷徨ってる魔女っぽい人はだれ?!
片手に血のついた斧を持って、もう片手に人間の生首を持ってる人は何なの?!
向こうの方で立ち尽くしてる4~5mは背の高さがありそうな細い人は妖精か何かなのかな!!!!
ああああああああああああああああああああああああああああっ!!!もうっ!!!
狂いそうなのに狂えないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!!!!
「おや?私の家が悪魔に支配されているwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwニャンパスの穴から湧き出たのかな?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
おい…沙織…おまえ、今気がついたかのような顔してるけど全部知ってただろ…
いきなりこんなもの見たら、そんな落ち着いた様子でいられないよ…
本当に知らなかったら、僕みたいに現実逃避しながら歩くのが精一杯で、一言も喋れなくなると思うんだよね!!!!!
僕達は外へ繋がる巨大な門の前につくと、沙織はスマホを取り出し物凄い速さで何かを打ち込んだ。
するといつも通り「ギュイーーーン」とモーター音がし始め門が開き始めたんだけど、門の外はいつも通りの小机町だった。
沙織の豪邸付近は人気がなくって、小机町の中でもめっちゃ自然に囲まれてるからシーンとしてるんだけどね。
ちょっと、ホッとした僕は、沙織のイタズラもここまでと思い自然に笑顔がこぼれた。
しかし沙織はしばらく暗闇の一点を見つめていたかと思うと、病んだ笑みを浮かべながら僕の顔を見た。
「差身wwwwwwwwwwwwwwwwwwww今www目の前にいた子ネコに気がついたか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwうひひひいひひひひxひqっwcblqwcbqwcbqうbqうwwwwwwwwwwwwwwwwww」
狂った様に笑い出した沙織。
いや?どこにもなんにもいないじゃん?
目の前って、目の前に子ネコがいたら普通気がつくよ。
「え?子ネコなんかどこにもいなかったぞ?」
「そうか?wwwwwwwww差身wwwwwwwwwwww背中に気をつけて帰るんだwwwwwwwwwwwwwwwwツインテールの子ネコが差身を殺しにやってきたぞwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww『本物』の儀式の始まりだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
ツインテールの子ネコ…なにそれ?
僕は昨日の夜、部屋の窓ガラスを割られた事件から今までのことを思い返していた。
まさか…そうなのか…
僕には全く見えなかったけど、すぐそこまで天使さんが僕を殺しにやってきてるんですかね?
何が儀式だよ…
全く意味わからないんだけど、僕を生け贄にして悪魔でも降臨させるつもりなんですかね!!!!
まだ全く視覚で捉えることはできなかったんだけど、確実に「本物」の魔の手は迫ってきていた。
この後、不可視暗殺者の恐ろしさを知ることになるであった。




