第50話「本物」の秘密のガールズトークwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
僕の沙織と僕は、佐藤さんについて真っ暗な城の中に入っていった。
入って間もなくそんなには広くない質素な部屋にたどり着いた。
まあどこもかしこも、豪華な感じはしないんだけどね。
あー、佐藤さんのパジャマらしきものが畳んで置かれてるし、ここは小机さんに佐藤さんが分け与えてもらった部屋なんだろうな。
部屋の奥の方に畳というよりは、少し分厚いゴザがたくさん重なっていた。
佐藤さんはそのゴザの横に立つと、気持ちも落ち着いたのか深くため息をついて25オートを床に置いた。
「これを3分の1に別けよう。沙織と私はここの部屋で寝て、差身君は自分が落ち着きそうな場所で寝て」
佐藤さんはそう言うんだけど、僕の沙織はゴザを見たまま首をひねっていた。
「若菜ちゃんwwwwwwwwwwwwこれなんだ?wwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「ベッドみたい。でもこれを使える人はそんなにいないからありがたく思わないと駄目だぞ。みんなそのへんで転がって寝てたじゃん」
「ああwwwwww確かにそうだなwwwwwwwwwwwwwwww地面で寝てるのもいたwwwwwwwwwwwwwwww」
「じゃあ、僕は1枚あれば良いよ。向こうの方で寝てくるよ」
僕がゴザを1枚手に取り部屋を出ていこうとすると、僕の沙織が僕の手を引いた。
「差身wwww私のことを忘れたら駄目だからなwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「大丈夫だよ。忘れないから。佐藤さんとちゃんと仲良くするんだぞ」
「わかったwwwwwwwwww他の沙織と過ちを犯さないようにwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
沙織はいつもと違ってすぐに僕から離れて残ったゴザを半分持つと、残ったゴザのそばに移動させた。
本当に佐藤さんと一緒に寝るのが沙織は楽しみなようだ。
これも沙織の成長に繋がると思うから良いことだな。
だけど僕の沙織と離れるということはいつもなら安全なわけだけど、今は他の11人の沙織がいつ襲ってきてもおかしくない状況なんだよな。
差身不可侵条約が結ばれているとはいえ、何が起きるかわからないから僕も注意しよう。
僕は人気のない廊下にゴザを敷くとその上に寝転がり、ラジオでも聞くように盗聴器の受信機を置いた。
眠いからすぐに寝たいんだけど、これじゃ沙織にも頼まれてるし、2人が何を話すのか気になって寝れないんですけど!
しばらくすると、沙織達の声が受信機から聞こえ始めた。
多分沙織達も疲れてすぐにゴザの上で休み始めたのだろう。
なんだか犯罪者気分ではあったが、僕は体を休めながらも受信機に耳を傾けた。
「若菜ちゃんwwwwwwwwwwwwwwwwwww私は差身と家族以外とは2人きりでお泊りするのは初めてなんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwそもそも差身以外に友達がいないwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwいや差身は彼氏だから友達とは違うかもしれないwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の沙織がめっちゃ痛々しいことを楽しげに言ってるんだけど、沙織自身は自分に友達がいないということに対してはコンプレックスを持ってないんだよな。
昔から僕が離れてしまうのを怖がっているだけで、たくさん仲間がほしいとかいうのはないんだよなあ。
「え!そんなことないでしょ!みんな沙織のこと見てるじゃん。友達がいないということはないよ」
「それは若菜ちゃんが間違っているwwwwwwwwwwwwwwwwwじゃあうちのクラスの誰が私の友達なんだ?wwwwwwwwwwwwwwwww」
佐藤さんも僕の沙織に言われて気がついたんだろう。
しばらく無言の時間が続いた。
そうなんだよなあ…沙織は目立つから周りに人がいっぱいいるイメージをもたれやすいんだけど、実際誰か心を交わす友達がいるかというとこれがいないんだよなあ…
「うーん…そうだね…でも私も友達いないよ!沙織は差身君がいるからいいけど私なんか1人だよ!」
「いやwwwwwwwwwwww若菜ちゃんはみんなと笑いながら話してるからそんなことないwwwwwwwwwwwwwwww若菜ちゃんはリア充界の女王wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww色んな人と仲良しwwwwwwwwwwwwwwwww」
「違うよ。仲良くないから笑ってるだけだよ。笑ってれば仲良くしてる感じがするじゃん。そうすると誰も敵にならない。みんなでうまくやっていくための方法じゃん」
「そうなのか?wwwwwwwwwwwwwww私は笑って話している人達はみんな仲良しで友達なんだと思っていたのだがwwwwwwwwwwwww若菜ちゃんは難しいことを知ってるんだなwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の沙織が感心したようにそう言うんだけど、基本他者を恐れている僕の沙織は頭は良いのに人付き合いとか相手が何を考えているのかとか全くわからないからな。
簡単に言えば空気が読めないんだけど、その分育ちの良さも手伝ってか素直でかわいいところもあるし、それが長所なのか短所なのかわからなくなる。
「それは沙織が特別キレイだからだよ。それだけキレイなら誰も何も言えないから、そんなこと知らなくても今までやってこれたんだよ。お前、髪とかどうやって手入れしてるんだ?化粧品とか使ってるのか?」
「化粧品は何も使ってないぞwwwwwwwwwwwwwww髪は家にあるシャンプーとリンスをwwwwwwwwwwwwwwwwメーカーはわからないwwwwwwwwwwwwwwあと髪はママがとかしてくれるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「ママ?お前、ママにとかしてもらうって何歳だよ?」
想定外の返事が返ってきたのだろう。佐藤さんはめっちゃ呆れたように言った。
「私はそういうのはうまくできないんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwだから毎日ママがやってくれるwwwwwwwwwwwwwwww幼稚園の時から学校や幼稚園に行く前は必ずママにやってもらうwwwwwwwwwwwwwww今日も差身と戦争だからママにやってもらったwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
え?ということは、もしかするとこの騒ぎをお前のお母さんも知ってるってことなのかな?
少なくともそっと夜に家を出てきたわけじゃなくて、お母さんに僕と戦争するって言って髪をとかしてもらいコブに車を出してもらったんだよね。
佐藤さん!!!髪をとかしてもらうくらい、ただ甘えているだけだからまあいいよ…
それよりこの時空を超えた馬鹿騒ぎを僕の沙織の家族全員で後押ししてる可能性がほぼ確定した気がするんですけど!!
何なのその「本物」の家族!!!!!
考えることが増えて絶対寝れない気がしてきたんだけど!!!!!
「ふーん。なあ沙織。入学式に学校爆破したのお前だろ。あんなことできるのお前だけだ。この数時間で全部わかった」
「ああごめんwwwwwwwwwwwwww差身とクラスが別になったからついwwwwwwwwwwwwwwww内緒にしておいてくれwwwwwwwwwwwwwww実はこのことは差身にも内緒にしてるんだwwwwwwwwwwwwwwwwww」
何言ってるの!!!!お前、バレてないつもりだったの!!!!!
沙織!!!どう考えてもあんなことするのお前しかいないよ!!!!
幼馴染みの彼氏とクラスが別になったからって、学校を入学式の日に爆破するのは世界中探しても、いや歴史上お前だけだろうね!!!!!
「やっぱりね。あれはよくやってくれたよ。おかげで幸せそうにしてるイラつく奴らがこぞって出て行ったからな。私は高校に進学するのがだるかったから入学式もめんどくさいなあと思ってたんだ。だけど、学校についたらいきなりあっちこっちで爆発しまくって気分良かったよ。みんな大慌てて騒いでてスッキリした。あんなもの全部壊れればいいんだ。この高校にいれば、少しは楽しめると思ったから私は残ったんだ。沙織、元の世界に戻ったら全部ぶっ壊してくれよ。私も手伝う。イラつくものは全部壊そう。メチャクチャになったのを見てから私は退学するよ。私、馬鹿だから授業もよくわからないしだるいんだ」
しんみりと語りだした佐藤さん。
佐藤さんが僕の沙織と同じ気持ちを抱いていたことに僕は驚いていた。
心の中にある何だか良く分からないグチャグチャとして黒いもの。
フラストレーション的な。
それが爆発して破壊衝動に繋がる。
僕の沙織はそれを実行したが、佐藤さんは何もしなかった。
まあ実際に何もしない人が99,999999999999999%以上で、心の中に悪いものを溜め込み続けていく。
僕の沙織も高校に入学するにあたり色々辛かったんだけど、佐藤さんもかなり苦しんでいるんだなと思った。
そして、苦しんでる僕の沙織に、苦しんでいる佐藤さんが攻撃するという悪循環。
学校ってなんなんだろうって思った。
何となく我慢して通い続けなければ、幸せな未来が消えてしまうという恐怖。
でも学校によって苦しむ人も多いと思う。
なんで学校に通わなければ、世の中は僕達を認めてくれなくなるのだろう?
それが何かはわからないのだけれど、世の中の大きな力に僕達は騙されているような気がしてきた。
「同じだwwwwwwwwwwwwwあの腐れ高校は早く壊したいwwwwwwwwwwwwwwwwでもあの高校を壊すと差身と別の高校に通わなくてはならないwwwwwwwwwwwwwwwwwそれに若菜ちゃんとも別な学校になってしまうwwwwwwwwwwwwwwwwwwせっかく初めての友達ができたのにもったいないwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「え?!友達で良いのか…?」
佐藤さんは不意をつかれたように驚いてそう言った。
「駄目なのか?wwwwwwwwwwwwwwww私は若菜ちゃんと笑って話してるから友達だと思ってたんだがwwwwwwwwwwwwwwwww友達はそれだけではなれないのか?wwwwwwwwwwwwwwwwwwww初めてなのでよくわからないんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「沙織、お前、勉強はできるのに頭はおかしいよな。いいよ、友達だ。私も友達がいないから仲間だな」
佐藤さんは素直にそう尋ねる僕の沙織に、ゆっくりと返事をした。
友達という言葉を噛みしめるように、自分自身と僕の沙織に「私達は友達なんだ」とちゃんと伝えるように。
それはそんなに感情が篭った言い方ではなかったんだけど、佐藤さんの熱い胸の高鳴りが聞こえてくるようであった。




