第42話「本物」のあの時のことwwwwwwwwwwwwwwwwwww
「昔の私よwwwwwwwwwwwwwwwwあの時だって差身はちゃんと来てくれただろ?wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwほとんど見知らぬ人と触れ合うことがなかったのにwwwwwwwwwwwwwwwwww急に幼稚園に放り込まれてあの時は大変だったなwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
看護服の沙織は僕の沙織を抱きしめたまま、懐かしくそして辛い過去を思い起こすように言った。
それはとても優しい感じがして、常に居た堪れない世の中を憎み続ける沙織を癒やしているようだ。
「ああwwあの時はどうして良いか全く分からなくって怖かったなww」
僕の沙織は看護服の沙織が何のことを言っているのか分かっているらしく「w」を減らしながらそう言うと、嫌な過去と向き合っているのかそのまま黙っていた。
まあ沙織も何というか、友達に囲まれた楽しい幼稚園、学校生活というものに無縁だったから、あんまり昔のことは思い出したくないんだろうな。
でも、未来の沙織である看護服の沙織は全てを受け入れているみたいだ。
9年先の沙織は、今よりも心が強くなったのだろうか?
同じ過去を持つ2人なんだけど、2人の過去の捉え方が違う気がした。
「でもおかげで差身と出会うことができたんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身は他の連中とは全く違ったwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
看護服の沙織が懐かしそうに僕の沙織に語りかけると、僕の沙織も「ああwww」と病んだ笑みを浮かべながら頷いた。
「その通りだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwあれは忘れもしない幼稚園に入園したときwwwwwwwwwwwwwwwww差身は別だったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwだから私は差身なら助けてくれるかもしれないと思って差身に近づいたんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「ああ懐かしい差身との出会いwwwwwwwwwwwwwwwwww最初から差身は優しかったなwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「だから私はこれから毎日どうやって生きていけば良いかわからなかったから差身にお願いしたんだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwずっと一緒にいてくださいってwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwその夜私は震えながら眠ったwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwちゃんと差身が私のことを忘れずにいてくれるのか?wwwwwwwwwwwwwwwww私のことを嫌いにならないで一緒にいてくれるのか?wwwwwwwwwwwwwwwwwでもちゃんと次の日も差身は私のそばにいてくれたwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
看護服の沙織の腕の中で眠ったように話していた僕の沙織だったんだけど、看護服の沙織から力を分けてもらったかのようにゆっくりと看護服の沙織から離れると、凄く嬉しそうな顔をしてそう話すのであった。
あー、そんなことあったかなあ?
もうかなり昔のこと過ぎて覚えてないよ。
気がついたら沙織に付きまとわれている感じだったしな。
もしかするとこれは沙織にとって、数少ない楽しかった思い出の1つなんじゃないのかな?
沙織は僕としか他人と接していないから、僕とのことは全部覚えていて想像以上に沙織の中でめっちゃ重要になってるんだろうな。
「ああwwwwそうだったなwwwwwwwwwwwww思い出せwwwwwwwwwずっと昔から差身は一緒にいてくれただろう?wwwwwwwwwwwwwwww」
看護服の沙織が僕の沙織に自信を持たせるように病んだ笑みを浮かべながらそう言うと、僕の沙織はめっちゃ嬉しそうに病んだ笑みを浮かべ頷くのであった。
「そうなんだ!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww差身は約束を守ってくれた!!!wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww私は差身と『永遠に』一緒にいることになったんだ!!!wwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の沙織は声を大きくしてそう言うと、看護服の沙織も嬉しそうに「よかったな」と病んだ笑みう浮かべていた。
ちょっと待ってよ!!!「永遠に」ってなに?!
なんかいい話でまとめようとしてるけどさ!!!!
その事件さ、完全に僕の記憶から消えてなくなってるんだけど、そこまでの約束なの?!
多分「明日も一緒に遊ぼうね」くらいの軽い話だったんじゃないのかな?
その話、僕も初耳だったんだけど、お前の中で「永遠に一緒にいる」というキラキラ少女漫画みたいな契約を僕は結んでることになってるんだね!!!!
「なあ?そうだろ?wwwwwwwwwwwwwwだから大丈夫だwwwwwwwwwwwwwwwwwwww昔の私よwwwwwwwwwwwwwwww自分と差身を信じろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwそうすれば何も怖くなくなるwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww自分で悪い方に考えなければお前は大丈夫だwwwwwwwwwwwwwwwww少なくとも9年先も差身はそばにいるんだから安心しろwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
看護服の沙織は僕の沙織の肩を叩くと、「うっひひひひひいひいぃxwwwwwwww」と僕の沙織は元気そうに笑った。
「ニャンパス!!わかった!!wwwwwwwwwwwwwwwwww自分で勝手に悪いことを考えるのはやめます!!!wwwwwwwwwwwwwwwwww」
僕の沙織の中で渦巻いていた真っ黒な悪いものが消えてなくなったような気がした。
そうなのだ。沙織はずっと不安で不安でたまらなかったのだ。
これだけ毎日、僕と一緒にいても沙織はいつも僕がいなくなるんじゃないかと毎日怯え続けてきた。
考えてみたら沙織の「本物」の行動も、不安で色々考えすぎた結果なのかもしれない。
こじらせまくった結果、今こうして戦国時代に来てしまったりしてるんだけど…
しかし、あれだな。
僕と離れるのが恐ろしいのに、毎日僕を殺しにやってくる沙織。
「幼馴染みの彼女が僕を殺しにやってくる!」というあってはならない「本物」の現実がどうして始まったのか、僕にもやっとその謎が解けてきた。
人間ってこれから自分達で作り上げるはずの未来に怯えてしまいやすいのかもしれない。
未来は見えないから、これからどうなるのか考えてしまうんだけど、沙織みたいに悪い方にばかり考えてしまって苦しんでる人って多いのかもな。
その時、さっき宇宙服の沙織と別れた時に言われたことを思い出した。
あの沙織は「もっともっと沙織を愛してやってくれwwwwwwwwwww」と別れ際に言っていた。
看護服の沙織は僕の沙織が不安がっているのを知っていたのだろうか?
だけど僕はどうしたらいいんだろう?
僕は沙織に何をしてあげられるんだろうか?




