表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/42

37

二話目。

 こうして一週間が過ぎ、六家のメンバーが風の区に集まってきた。


「ねー姫?

 オレって風の区にいたんだよね?

 なんで竜胆さんと違って呼ばれなかったのかな?

 風の区の案内なら、オレだってできたよ?」

「そこは、公平さを選んだだけです。

 ほかの方々は今日こられたのに、晶だけさきに来るのは不公平でしょう?」

「ーー竜胆さんはいいのかよ?」

「お兄様ほど、風の区を熟知しておられるかたはいらっしゃいませんから」

「ズルい!」


 ぶーぶーと文句を言う晶をあしらって、あやめは他の五人にむかう。


「皆さん、よくおいで下さいました。

 歓迎をいたします」

「いや、こちらこそ」

「おせわになりまーす!」

「よろしくね」

「ーーお願いします」

「誰?」


 口々に挨拶をするなか、六花は後ろに隠れていた誰かを見つける。

こっそりと隠れている少年を、黒曜が引きずり出す。


「ーーなんでここに?」

「えっと、その……」

「うん?」


 威圧するような笑みに、少年は震え上がる。

黒髪、灰眼の闇属性の少年は、完全に固まってしまった。


「一応、これは僕の弟なので、素性については問題ありません。

 もっとも、勝手についてきたことは問題ですが」

「黒曜の弟さんですか。

 ここに来るのははじめて、ですよね」

「連れてきたことはありませんからね。

 年はひとつしたで、名前は黒金くろがねといいます」

「あの、はじめまして!

 姫様に会えて、光栄です!」

「ーー目的は、姫か」


 あきれたような目を向ける琥珀。

こっそりとついてくる理由としては納得ができるものでもあるが。


「会いに来てくださったのは嬉しいのですが、これから私たちは魔力制御の訓練を行う予定です。

 あまり、相手をできませんので、ご実家にお帰りになることをおすすめしますが?」

「ぼ、ぼくも教えてください!」


 詰め寄ってくる黒金に、あやめは黒曜の方に視線を向ける。


「だめだ。

 姫に教えてもらうには、お前はまだ未熟だからな」

「そうだな。

 訓練を望むのなら、私がふさわしいものを呼ぼう」


 竜胆も黒金に目を向けていう。

六家の人間とはいえ、黒金は黒曜に甘えてあまり能力を鍛えてはこなかった。

 それでも、問題がないのは確かだが、この場では能力の差がありすぎて、他のメンバーの邪魔にしかならない。

 だからこその竜胆の提案だったが。


「ぼくは、姫に教えてほしいんです!」


 空気を読まずにあやめにむかう。

ーーあるいみ、いつも通りに黒曜が切れた。


「いい加減にしなさい!」


 そう言って黒金の首筋の服をつかんで持ち上げると、そのまま消えた。


「え?」

「は?」

「ーー」


 みんなが呆然とするなか、やれやれといった様子であやめが説明をする。


「空間転移は黒曜の特技ですから」

「はい⁉」

「え、それってたしか幻の能力とかじゃなかった⁉」

「人前ではあまりやりませんが、黒曜は子供の頃からその力で私のところに遊びに来たり、お兄様のもとで訓練をしていたりしましたから」

「ーー」


 もはや言葉もない六花たちの前に、黒曜が姿を現す。


「あいつは預けてきたので大丈夫です。

 こちらはこちらで始めましょうか?」

「そうだな」


 平常運転のあやめ、竜胆、黒曜の様子に、この三人には逆らってはいけないと、心の中に誓う六花たちだった。

黒曜は弟以外に兄弟はおりません。


今回はここまでです。

代わりに三話完結のまったく関係のない物語を投稿してますので、そちらもよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ