表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4GB USB 〜29歳既婚者が過去に戻って一攫千金を狙ったけど現実は結構厳しそう〜  作者: ナカモリトマト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/56

20話 未来の技術

 北大路さんが投資の話に乗ってくれた。

正直、断られると思っていたから、まだどこか現実味がない。


 これで......

 身分証もろくにない自分でも、まともに資産を増やす道ができた。


(ようやく、スタートラインか……)


 胸の奥で、静かに何かが動き出している。


 とはいえ、口だけでは意味がない。

動くなら、早い方がいい。

 

 数日後。

あの営業マンに、もう一度来てもらった。


「お久しぶりです」


 相変わらず、明るい笑顔。

だが前回とは違う。今回は話を聞くだけじゃない。


「この前のドローンの話、もう少し詳しく聞きたいんだわ」


 北大路さんが腕を組みながら言う。


「ありがとうございます。ちょうど今、力を入れている分野でして」


 営業マンはタブレットを取り出し、画面をこちらに向けた。


「まずは農業用ドローンです。薬剤散布や生育状況の確認を、効率的に行えます」


 映し出された映像では、田んぼの上をドローンが滑るように飛んでいる。

 均一に散布されていく様子は、見ていて妙に気持ちがいい。


「人手も時間も、大幅に削減できます」


「へぇ……」


 北大路さんが小さく唸る。


「それと、RTKを利用した自動操舵技術」


「RTK?」


「簡単に言うと、誤差数センチレベルで位置を把握できる技術です。これを使えば、トラクターがほぼ自動で真っ直ぐ走るようになります」


「なんだそれ……」


 思わず笑う北大路さん。

 だが、その目は真剣だ。


「さらに、リモートセンシングを使った解析も進んでいます」


「解析?」


「土壌や作物の状態をデータで把握して、最適な管理を行うんです。経験に頼らない農業ですね」


 その言葉に、北大路さんの表情がわずかに変わった。


「経験じゃなくなる......か」


「完全にではありません。ただ、補助としては非常に強力です」


 しばらく、沈黙。


 北大路さんは画面をじっと見つめていたが、やがてゆっくりと口を開いた。


「面白ぇな」


 ぽつりと、そう言った。


「全部がすぐ使えるわけじゃねぇだろうが……

未来って感じがする」


「ありがとうございます」


 営業マンは嬉しそうに頷く。


「こうした分野に、会社としてもかなり投資しています」


 その一言で、空気が少しだけ変わった。

北大路さんが、ちらりとこちらを見る。

何も言わない。

でも、その視線で十分だった。


(乗る気だな)


 確信に変わる。


「今日はありがとうございました」


 営業マンが帰ったあと、しばらく無言が続いた。

風の音だけが、やけに大きく聞こえる。


「行くか......」


 不意に、北大路さんが言った。


「え?」


「農協の金融窓口だよ」


 短く言い切る。


「金、入れに行くんだろ」


 一瞬だけ、心臓が強く鳴った。


「はい」


 それ以上の言葉はいらなかった。

軽トラに乗り込み、エンジンがかかる。

見慣れた道を走っているはずなのに、景色が少し違って見えた。


(ここからだ)


 そう思った。


この選択が、何を引き寄せるのかも知らずに......

投稿が少し遅くなりました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ