二人は勇者。(完)
「あ! 思い出した!」
「ほらー! で、自分が今するべきことは?」
「あいつらの元に戻って、バカ騒ぎすること!」
「よしっ! 雷、行って来い!」
「あ……母ちゃんは……どうなるの?」
「母ちゃんは今まで通り、この世界の住人。
帰ることは出来ないの。」
「……わかった。 ありがとうな! 母ちゃん!」
「ふふっ。 変わらないわね、雷。」
「でも、昔の俺じゃないぜ!!」
「わかってる! じゃあ、元気でね……!」
最後のほうは声が震えていた。
だが、俺は振り返らなかった。
溜まった涙が零れてしまいそうだったから……。
◇◆◇
深夜の病院。俺たち四人は集中治療室前のイスに腰掛け、扉が開くのをじっと待っていた。
「雷……頑張ってっ……!」夢が呟く。
「戻ってきてよ……」咲が言った。
「きっと……」永海も涙を流している。
夕方から、ずっとイスに座り、祈り続ける彼女たちは、体力的にも限界のはずだ。
だが今も胸の前で手を合わせている。
「大丈夫……大丈夫……」
そのとき扉が横にスライドし、中から医者が出てきた。
医者は凛とした表情を微笑みに変えてこう告げた。
ーーーーお友達はもう大丈夫ですよ。
俺たち四人は一斉に涙を流したのだった。




