第3話 本の世界とお金
三匹について森を抜けると、ようやく町が見えてきた。
「おお……!」
人間だけじゃない。
獣の耳を持つ人、小さな妖精、角の生えた大男。見たことのない種族が、当たり前のように同じ道を歩いている。
「本当に別世界なんだね……」
町の入口へ近づくと、門番が手を出した。
「入場料。一人10金B」
「きんびー?」
「10金Bだ」
私は三匹を見る。
三匹も私を見る。
「……私、お金持ってません」
「なら入れない」
「ええっ!?」
本の世界。
最初から厳しい。
すると、お金の子が背負っていた袋を開けた。
ジャラッ。
中には。
金貨。
金貨。
金貨。
「なんでそんなに持ってるの!?」
「でぷ!」
胸を張っている。
お金の子は、当然のように私の入場料まで払ってくれた。
「ありがとう。でも、これからずっと払ってもらうわけにはいかないよね」
「でぷ……?」
ちょっと寂しそう。
「困った時は助けてもらうけど、自分のお金は自分でも稼ぐ!」
「でぷ!」
すぐ元気になった。
◇ ◇ ◇
町へ入ると、何をするにもお金が必要だということが分かった。
宿。
食事。
薬。
武器。
旅の道具。
両親を探すだけじゃ駄目なんだ。その途中で食べて、寝て、生きていかなきゃいけない。
「働こう」
町の中央には、大きな掲示板があった。
たくさんの依頼書が貼られている。
問題は――。
「読めない」
私は本の子を見る。
「お願い」
「でぷ」
「読める?」
「でぷ」
「どっち!?」
その時。
鞄の羊皮紙が光った。
掲示板の一枚へ金色の線が伸び、突然読めなかったはずの文字が頭の中へ入ってくる。
【QUEST】
『薬草を5本集めよう』
【危険度:☆1】
【報酬:20金B】
「読める!」
三匹も覗き込む。
「まずはこれをやってみよう!」
「「「でぷ!」」」
◇ ◇ ◇
依頼を受ける前に、本の子が自分の本を開いた。
そこには世界地図らしい絵と、あちこちに小さな星が描かれている。
そして隅には――私が持っているものによく似た古い羊皮紙。
「これ、同じもの?」
「でぷ!」
自分の羊皮紙を重ねてみる。
すると。
『聖なる――』
金色の文字が一瞬だけ浮かび、すぐに消えた。
代わりに、地図の遠くへ一つの小さな☆が現れる。
「星……?」
お父さんとお母さんに関係しているのかな。
分からない。
でも、この羊皮紙がただの地図じゃないことだけは確かだった。
私は改めて最初の仕事を見る。
【QUEST】
『薬草を5本集めよう』
「よし。まずはこれから!」
「「「でぷ!」」」
両親を探す大冒険。
その最初の一歩は、世界を救うことでも伝説の宝を手に入れることでもなく――。
薬草を五本拾うところから始まった。
あとがき
「異世界へ来たらまず生活が必要」という地に足のついた導入。お金の子の金貨も、この先フールにとって大切な遺品になります。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
「異世界へ来たらまず生活が必要」という地に足のついた導入。お金の子の金貨も、この先フールにとって大切な遺品になります。




