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第10話 愛、世代を超えて

10話目です。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

この父を応援しても良いと思われましたら、レビューやブックマークを頂けると喜びます。

よろしくお願いします。

『とーたん、きらい』

『!?』

激震が走った。

いつかは来ると思っていた。

臭いだの、気持ち悪いだの言われる日が……

それは娘を持つ父に等しく訪れる試練の時。

人々はそれを父達の黄昏と呼ぶ。

娘との関わりが著しく途切れるという、彼の試練が私にも来たのかと娘をみる。


4.5頭身のクリクリ髪が何とも可愛い。

おしゃべりも上手になりました。

……

……

父達の黄昏早くね??


どういうことだ?

私は何かしたのか?

記憶を辿る。


お布団の上で空中回転。

これは何回もせがまれたし、きゃーきゃー言って喜んでた。

お腹に口を当て、『ぶー』とした。

これもきゃーきゃー言って喜んでた。

ほっぺや口にチューをした。

これも首を振りながらもきゃーきゃー言って喜んでた。


なぜ嫌い??

あー。そういうことね。

私は理解した。

娘はまだ二歳なって久しい。

新しい言葉を覚えたばかりなのだろう。

それなら、まずは実験しなければ。


『バブ子、お母さんは嫌いかな?』

『たーたん、すき』

妻が微笑む。

『なら、お兄ちゃんは好きかい?』

『にーたん、すき』

よしよし良い感じだ。

『じゃあ、お父さんは』

言ってごらん。お父さん知ってた。

バブ子がまだ好きや嫌いを理解してないのを。

『とーたん、きらい』

なんでやねん!

納得が行かず、もう一度娘に問いかけたが、結果は同じだった。

『なんでだろね』

妻が首を傾げる。

『わからん』


息子なんかはお父さん大好きっ子だ。

幼児期からずっと私と寝ると言い張り、今も私の横で寝ている。


年長組になるまでは、

『お父さんと結婚しる』

と何度説明しても、言い続けたほどだ。

誰だ娘に嫌いと言う単語教えたの。

誰が傷つくかわかって教えたのか。

傷つくのは私だぞっ!


憤りを隠さず、私は娘を抱き寄せ。

そのまま、頬擦りをした。

息子とのアブノーマルな未来が欲しいのではない。

欲しいのは娘との甘酸っぱくもほろ苦い日常なのだ。

ビターだけではない。

スイート&アシディティ!


『お父さんはこんなにバブ子が好きなのに!』

娘は私の頬擦りをキャーキャー言って喜んだ。

『それじゃない?』

妻が言う。

『何が?』

『嫌われた理由』

『喜んでるやん』

『嫌がってるように見えるけど……』


私はハッとした。

幼少期、私の父親も今の自分と同じような愛情表現をしていたが、それが凄く嫌だったことを思い出した。

息子に聞いてみる。

『やって良い?』

『いやだ』


即答する息子を捕まえ、娘と同じく頬擦りをお見舞いした。

息子は顔をブンブンと振り抵抗しているが、きゃーきゃー言って喜んでいる。

……

……

ほぉぅら。

喜んでるぅ。

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