表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
CALL  作者: スピカ
71/190

(64)逃亡犯

 その日は曇りで、山にはガスがかかっていた。梅雨入り宣言をラジオではしていた。

「ねぇキャッチボールしよう」

 威咲(いさき)一夜(いちや)を誘って庭に出る。

 布を丸めたボール。布ボールのいい所は落としてもあまり転がらないことだ。

 ボールが放物線を描く。この程度なら威咲はまあまあ上手だ。

 多摩(たま)の焼くパンケーキの甘い匂いが(ただよ)ってきた。威咲は庭の花を摘む。お昼はパンケーキにお茶とサラダだった。

 午後はみんなでカードをして負けた多摩と威咲が買い物に行った。

 夕飯は一夜と垂華(すいか)が作る。豆とトマトのスープに焼いたベーコンとジャガイモだ。


 久しぶりに今日はのんびり平和に過ごした。

 夜、部屋で下らない話をして笑って。やっぱりこんな時が一番ほっとするな。

 威咲のベッドに並んで腰かけて。

「普通の人なら毎日こうだよな」

「そうだね」

 威咲が一夜を見て、その肩に額を押し付けた。

「やっぱり普通の人がいい?」

 一夜を見上げた。

「バーカ、お前でいいよ」

 そう言うと少し照れたようにそこで黙ったので、威咲は寄りかかった。

 威咲は身を預けるようにもたれかかって目を閉じた。安心しきっているのだ。

 しばらくそうして、一夜は威咲の頭を撫でると立ち上がった。威咲は目をこすった。

 …慣れない封印で見た目以上に疲れてんの、知ってる…

「おやすみ」

 頭を撫でて自分の布団に入る。威咲も眠そうに横になり、おやすみと(つぶや)いて間もなく寝息に変わる。一夜は目を閉じた。




 次の晩は今にも雨が降りだしそうな、いかにもな梅雨空だったが雨が降る前に、と出ることにする。

 垂華が呪文を唱えながら空間に模様を描き、出現した青白い光の扉に3人は入っていった。

 見送って一夜は寝ることにする。このまま何事もなければいいが。




 それより10日前、研究所の爆発の後、アイルに研究所を与えた議員が捕らえられていた。

 この議員はアイルと同じく現政権の転覆(てんぷく)目論(もくろ)んでいた。

 それは内密だったが今回の件で非公式だが国の手先の調査が研究所に入ったのだ。

 実はここは議員の私的な研究所で、研究内容は心理学と嘘をついていた。それが爆発で多数の死者が出たのはおかしいと調査が入ったのだ。

 調査団は報告とは違う機械や装置に目を(みは)り、議員の身柄確保に至ったのだ。アイルとロイも拘束された。

 それぞれ取り調べを受け、議員は機械が何の機械だったのかを吐くと後はアイルがやったことで自分は知らないの一点張りをした。

 アイルとロイはそれぞれ黙秘を続けていた。

 議員は、勝手に人心を操ろうとしたのは怪しいと、家の部屋まで調べられた。すると国家転覆の計画の存在を示すメモが発見された。

 それがこの10日間に表沙汰にならずに進んでいた出来事だ。

 議員は死刑になり、速やかに執行された。その結果のニュースだけが小さく報道された。

 アイルとロイにも死刑が言い渡される。執行は明日だ。

 二人はテレパシーで話した。

「捕まってはみたがここで死ぬわけにはいかないな」

「死んでも生まれ変わるだけだ」

「アイル!」

「冗談よ。だが逃げてどうなる?(かたき)を討つ頼みの綱が処刑された」

「アイル、とにかく逃げよう。そしたら…」

 二人は空間移動の扉で抜け出した。

 光に気づいた看守(かんしゅ)が見に来ると、もう2つの(ろう)はもぬけの殻だった。





ここら辺からのアイル達の話は、正直書くのが面倒だった…かなり停滞した。でもやりきったもんね☆

でも後で通して読むと、アッサリ通り過ぎて、書くのには時間かかったけど長さ的には別にまあ普通かな、て部分です!

あと数話逃亡劇です、でも逃げる話って感じではないかな。おつきあい下さいね?


あ、あとセルビアの辺りは梅雨があるかは知らないけど、6月の降水が他月より多いらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ