(63)このままで…
でもどうやって乗り越えたらいいんだろうか?
威咲はよく考えたがこれといった名案は無かった。なので思い切って打って出ることにする。
「一夜、私に触ってみて」
「は?」
「だから、私に触って?お願い」
「なんだよ急に」
一夜は読んでいた本から顔を上げ驚いた顔をしたが、笑って言った。
「いいよ無理しなくて」
が威咲の真剣な顔を見て一夜も真顔になった。
「あのね、私あれ以来触られるの駄目になって…自分で嫌なの。だから、治したいの」
一夜が少しだけ痛そうな顔を一瞬した。
「ね?お願い」
「…そんなに言うなら」
一夜が立って威咲の前まで来て威咲を見た。
「本当に大丈夫か?」
「うん」
威咲の腕に触る。
「…っ、…」
怯みそうになるがこらえる。
一夜は肩に触ってみた。
威咲が体に力を入れて我慢したのがわかった。
「いいよ、無理すんな」
「ううん、今、治したい。乗り越えたい」
「…、」
様子を見るように一夜が威咲を覗き込んだ。
ためらいながらもそっと、抱きしめてみる。
鼓動が早くなる。威咲はそれをやり過ごした。
「…大丈夫、みたい…」
「…良かった…」
顔は見えないがその声で一夜がどれだけつらかったかわかった。
威咲はソロソロと一夜の背中に手を回してみる。
一夜が抱く力を少しだけ強めた。
何秒だったんだろう。実際より長く感じたかもしれない。
あったかい、一夜の体温…大丈夫だから…
「…」
一夜は体を離すと威咲を見て言った。
「もういい。お前が、本当に平気になるまで待つから」
「一夜…」
一夜が微笑んでみせた。
威咲は涙が浮かんで一夜の顔がぼやけて、袖で涙を拭った。
「うん、ごめん、ありがとう」
一夜が威咲の頭を軽く撫でて言った。
「無理しなくていいから。いつまででも待つから」
威咲の笑顔は泣き笑いになった。
「一夜…ずっと一緒にいてね」
一夜の手が頭を撫でて、威咲も一夜の体にそっと触れてみた。
目を見て微笑み合う。このままずっとこうしていられたら。
垂華がその夜でこの辺は最後だと言った。もうこの辺の魔物はほとんど退治してあり、今夜は仕上げだ。
よそからまた魔物が入り込まないように魔物除けを施していく。
例えるなら虫除けに似ていて、退治し終わったエリアの所々に魔物が寄りつかない呪いを施して完成だ。
一晩かかり、みんな疲れて帰った。次の日は1日休みを入れることにする。
垂華が図を描いて説明する。
「今後はこのように動いていく」
エリア分けを丸で表し順に手書きの地図上に書き込み順番の数字をふる。
一夜はふと浮かんだ疑問を口にする。
「このエリアにしか魔物はいないのか?」
垂華が説明する。
「土地にはそれぞれ気風がある。そこに住む霊のようなものもその土地によって違う。またそれがその土地による個性の違いの一つになるのさ」
「じゃあ魔物はこのエリアからは出ないってことか」
「そういうこと」
「よそにはよその魔物みたいなのがいるのか?」
「まあね。害かどうかは知らないけど」
移動はどうするのかというと、それには空間移動の扉を使う。威咲を連れ去った時にロイが使ったあれだ。単に扉と呼ぶらしい。
大体、遥か昔から転生の度に同じように封印の行程を踏んできたので、扉を開く位置とエリア分けはほぼ同じなのだ。
一夜の食料調達はどうしているのかというと、破壊直後は街が麻痺していたが、郊外はもちろん、家が残っているので(どちらかといえば被害にあった中心部は商業エリア)残っている店はできるだけすぐ営業を再開したため普通とさほど変わりない。それなりに落ちついてきていた。
街の破壊に関しては、政府が隣国に抗議の交渉をしている所だ。
サブタイトルは前半部分からつけましたが、一夜…いいね。威咲ちゃんも頑張りました。
ここで重大発表!!callはこの度ストックが無事完結に至りました!!パチパチ…ぶい☆☆☆
頑張って良かった、でもまだラストがハッピーかバッドかは言えません、読んでのお楽しみ。できたら最後までよろしくです☆




