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CALL  作者: スピカ
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●(57)覚醒

 威咲(いさき)は眠っていた。

 無意識下で、嫌悪感と恐怖感が(あお)られて増大していく。

 それは威咲の心を埋めつくして波のようにうねり渦を巻く。

 変換機によって増幅されたそれは夜の空気に伝わって、どんどん広がっていく。

 風に乗って伝わってきたそれに魔物たちは反応した。

 大地の中に封じられ眠っていた魔物たちが目覚めていく。

 風の音に混じって魔物たちは鳴き声を上げた。それは遠吠えのように互いに呼応し、風のようにうねり互いに増幅していった。




「被験者の心拍数に変化が現れました」

 威咲の心拍数は増えたり減ったり、強くなったり弱くなったりと不整脈のような様相を示した。

「このまま続けるんですか?」

「構わない。続けてくれ」

 隣の部屋で瞑目していた黒服の若い男は座ったまま答えた。


 ドアが閉まると男は再び瞑目し風の音に耳を澄ませた。

 …ぞくぞくするよ。魔物たちの声が聞こえる。今夜目覚めるんだ…

 男は立ち、隣の実験室に入った。

 そろそろだろう。魔物が目覚めたらその力を制御しなければならない。




 威咲の無意識下、その奥深くで影がうねった。

 威咲の無意識は忍び込む嫌悪感と恐怖感に次第に(あふ)れていき、それらは精神の中で吸い込まれるように影に落ちていき、次第に影は濃く形を持ち始める。

 そして、完全に形を成した。

 形を持った影は、威咲の身体の四肢(しし)全てに伸び、威咲は目を開けた。

 両手両足を固定していたバンドが白煙を上げ溶け落ちる。

 職員が気づいて声を上げる。黒服の男もデータから目を上げた。

 威咲の目は赤く光り、顔色は白くなり血管がうっすら浮いていた。

 男は何が起きたかを察し威咲を衝撃で眠らせようと手を突き出した。

 その時威咲の目が赤く輝き声ではない叫びを上げた。

 瞬間に空間は気の爆発に()い、職員たちは破裂して倒れた。床や壁に血が飛び散った。

 男は気の防御壁を間一髪で築き、足を踏ん張って耐えた。

 威咲は寝台から降り男と対峙(たいじ)した。

「お前を殺す」

 片手をスッと男に向けて伸ばした。

「お前らは私が甦る(たび)殺してきた…だがもう殺されることはない…」

 そして手を伸ばし何かを(つか)(つぶ)す仕草をした。

 すると男は体ごと何かに掴まれたようになり圧迫されて息が出来なくなる。

 それでも力で逃れようとするが押し潰されそうになった。

 禍々(まがまが)しい気を放ち、威咲の目が一層赤く光った。が、

「う」

 威咲は短く(うめ)くとガクガク震えだし、目を見開いて一瞬停止した。

 卒倒しかけて膝をつく。男は開放されて咳き込む。

 その時強い気が放たれ、気の柱が一瞬立った。

 男はなんとか意識を保ち、威咲を見た。

「巫女…?」

 スッと立ち上がった威咲はさっきまでとは違う凛とした顔をしていた。そして男を見た。

 言葉が出ない。

 威咲は口中で短く(まじな)いを(つむ)ぎ手を振った。

 男が弾き飛ばされ壁に激突し、ずり落ちる。

「う…」

 男は気絶したようだ。

 威咲はゆっくり手を下ろすと周りを見回した。

 その時鼓動が激しくなり息苦しさに胸を押さえた。

「…、…」

 どうにかやり過ごし、ため息をひとつつく。

 血のトラウマか…


 光の存在である巫女が表に出た威咲はしっかりした足どりで研究所から出ていった。


挿絵(By みてみん)




アドマイヤデウスが、もう亡くなってたって…

豪に移籍して半年で調教中に靭帯損傷して、手術したけど力尽きたって…

2017、10月のことで…。見かけないから引退したと思ってて、子供楽しみにしてたのに…

綺麗な栗毛に茶髪、白ハイソックスの四肢に鼻先までの流星で、綺麗で、仕草も好きだった。

とても残念です。


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