(53)間に合った…?
男の手がスカートの中に入り込み、威咲は堪えきれず小さな悲鳴を上げた。
ナイフを突き付けていた手を振り払い、逃げ出そうと身をよじった。がすぐ押さえつけられる。
威咲は暴れて大きな悲鳴を上げた。
「やぁーっ!いやぁーっ!離して!」
「こいつ、黙れ」
口を塞ごうとした男の指を噛んだ。
「いつっ!」
もう一人が落ちたナイフを拾って再び威咲を脅す。威咲は息をのんだ。
スカートの中の男の手をそれでもなんとかよけようと威咲は身をよじって必死で抵抗した。その様を男達は嘲笑う。
一夜は来たことのない区域に来た。なんとなくこっちだと思ったのだ。
辺りを見回しながら区域内を探していく。と、ある角で人の声がした。
急いで覗くと、威咲が組み伏せられている所だった。
一夜は何も言わずに近づくと、ナイフを持った方に殴りかかった。
クリーンヒットで男が倒れる。
間髪入れずもう一人の方にも思い切り蹴りを入れる。2、3度蹴って、襟を掴んで殴り飛ばした。そして更に腹を蹴っていると先に殴った方がナイフを手に起き上がったので、ナイフを蹴り落として殴り蹴った。
落ちたナイフはすかさず拾って放り投げた。
二人が転がっている隙に威咲を立たせると、足がガクガク震えていた。それでも手を掴んで引いた。
「逃げるぞ、走れ」
威咲は頷き、一夜は威咲を引っ張って走った。
安心できる所まで走って、息を切らして立ち止まる。
近くに木立が見え、とりあえずそこに入った。
「墓地…?」
墓標が並んでいて、それを囲んで木が生えている。
「ひとまずここで休もうぜ」
茂みを背に腰を下ろした。
「一夜…ありがとう…」
威咲が小さな声で言った。威咲の体はまだ小刻みに震えていた。
一夜は舌打ちをした。
もっと早く見つけていたらこんな目に遭わせないで済んだのに。
威咲の手を握り直した。
手の平を握り、垂華に威咲を見つけたから少し休んだら市街地に戻ると伝える。
一夜はため息をついた。
街は市街地部分がかなり破壊されてしまっていた。
あちこちの建物が瓦礫と化していた。
金髪ショートカットの女が外で市街地の空を眺めながら腕を組んでいる。黒服の若い男も一緒だ。
街の大規模破壊は市街地から離れたこの研究所の窓からも舞い上がった粉塵がよく見えた。
体が芯の方からうち震えるのを出来るだけ抑えながら女が話す。
「これだけ破壊されればかなりの人数が死んだだろうな。血も大地に染みたはずだ。
これでこの地に眠る魔物達が目覚めやすくなるだろう。この地の封印を解くのにこれ以上相応しい日は無い」
「その通りだな」
「丁度ターゲットも手をつけ易い状況にあるようだし、それも自ら進んでな」
二人は目を合わせる。
「実行は前倒しで今夜に決定する。みんなにそう伝えてくれ。私はこれからその準備にかかる」
「わかった」
そして二人は風に服の裾を翻した。
威咲ちゃんギリギリセーフ!ナイスだ一夜☆
昨日からアートスクール「君は今光の中に」聴きまくり。曲の造りも歌詞も良い隠れた名曲!なぜか心が休まります☆良かったら聴いてみて☆(CDはイルマティックベイビー。この曲だけ異質かな)でもこのシーン辺りは作った時は前にも書いたけどスカーレット聴いてたよ。




