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CALL  作者: スピカ
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59/190

(52)clossing

 その日、威咲(いさき)は散歩に行こうと一夜(いちや)を誘った。

 花や草木を眺めたり鳥の鳴き声を聞いたりしながら二人で歩いた。

「少し遠くまで行ってみようよ」

 威咲がそんなことを言うのは珍しい。

「いいのか?」

「少しなら大丈夫だよ」




 威咲が少し前を歩き、いつの間にか割と街の方まで来た。

 そろそろ帰ろうと声をかけようとしたら威咲が先に交差点を渡ってしまった。

 信号が赤になり、道路の反対側に別れてしまった。

 なぜか嫌な予感がしてきて早く信号が変われと思った。

 その時、急に聞こえてきた音に空を見上げると、飛行機が二機飛んできて何かバラバラと落とした。

 街の方まであちこちで爆発が起き、粉塵(ふんじん)が舞い上がっていく。スローモーションのようだった。

 威咲を見ると、もうそこにいなくなっていて、一夜の背筋を冷たいものがかける。

 早く探さないといけないのに車の往来(おうらい)で渡れない。逃げてくる人と車が街に溢れ出した。

 ようやく道を渡り、威咲を探す。

 だがどこに行ったのかまるで分からない。

 広がった粉塵で辺りが包まれる。

 初めからこうするつもりで機会をうかがっていたのか。

 一夜はとにかく人でごった返し始めた中を走り出した。




 爆発した市街地を駆け抜けて、威咲は破壊されていない区域の方まで来た。

「ここまで来れば…」

 ハァハァと肩で息をつぎ、休める場所を探して歩きだした。

「何してるの?」

 ギクッとして振り返ると男が二人ニヤニヤしながら立っていた。

 反射的に逃げるがすぐに捕(つか)まってしまった。

「声を立てるなよ」

「!」

 男の一人が小さなナイフを見せた。もう一人の腕を掴(つか)んでいる方が嫌な笑い方をして言う。

「あそこ行こうぜ」

 威咲は声も立てられずに連れて行かれた。




 一夜は付近をざっと見たが、威咲は見つけられずに途方(とほう)に暮れた。

 手の平を握り込み垂華(すいか)に念じる。

―――――威咲がいなくなった

 少しして返事が聞こえる。

―――――一夜、今どこにいる?

 一夜は奥歯を噛んだ。威咲が誘って止めずに一緒に街に来たことを伝えると少し間が空いた。

 一夜は聞いてみる。

―――――垂華、お前の力で威咲がどこにいるか分からないか?

 垂華の落胆した声がした。

―――――それは無理だ。

―――――なんで、俺が牢屋(ろうや)に入れられた時は声が聞こえたのに。

―――――あれは一夜の居場所が分かっていたからだ。今みたいな場合は…

 一夜は焦燥感に駆(か)られながら立ち尽くした。垂華の声がする。

―――――俺も探しに行く。それでもなんとか気を探ってみるから。

―――――頼む。

「…っ」

 一夜はまた走り出した。




 威咲は人気(ひとけ)のなさそうな空地の一角に連れてこられた。

「声を出すなよ」

 そう言って押し倒され、体を触(さわ)られた。

「…っ!」

「声を立てるな」

 またナイフを見せつけられる。

 衣の合わせ目に男の手が入り体を弄(いじ)られる。

 一夜の顔が浮かんだ。一夜、助けて―――――

 威咲はぎゅっと目を閉じた。涙が頬を伝う。こんなことなら好きだと言えば良かった。たとえ返事がどうでも。だが今更後悔したって遅い。

 男の舌や指の感触が肌を這(は)う。


助けて


 その時一夜は何か聞こえた気がして立ち止まった。

「…」

 威咲だと思った。そんなはずは無いのだがなぜだかそんな気がした。

 そしてまた走り出す。なんとなくこっちのような気がした。





clossingは交差点て意味。


街が爆発してるのにあんなことあるか?とは考えないで下さい…きっとラリってるんだよ。たぶん…


このシーンはcallができたばっかの頃にできてた。当時はアートスクールのスカーレットという曲を聴きながら考えてたな。いい曲だからぜひ聴いてみて下さい。

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