表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ムーンゲーム・リインカーネーション  作者: 剣葉
第一章 混沌ノ拍動ト蓋世ノ血巫女
49/50

日ハ堕チ双月ハ昇ル-5

 わー四月だー(棒







「紹介がてらに全員一人ずつ雑魚と一戦やって……」

「百聞は一見に如かずと言うものね」

「そろそろ開始するとの旨の告知をしておきました。待機画面も出していますよ」

「サンキュ!」

「了解」

「マカロン美味しい〜」

「あ、私にもちょうだい」

「はむはむ。ステータスについては公開するの〜?」

「しない方向……というか、私たちでも見せてないじゃないですか。後デルニエ、食べてから喋って下さいね……あなたそれでも御令嬢でしょう……」

「ニーヴィスは装備がガラッと変わっているから聞かれるんじゃない?」

「まあ、そうですね……そのくらいは良いでしょう。皆も戦闘と共に戦闘スタイルとかを軽く説明してもらう方向性で。私たちでやったものよりも軽くで良いですよ」

「そのくらいやれば十分ですかね……」

「公開する義務は無いから」










 皆さんこんにちは。ニーヴィスです。

 【ガイア】ではそろそろ「こんばんわ」がふさわしい時間になってきました。





 只今、配信についての打ち合わせをしております。

 私が出したテーブルの上に買ってきたお菓子を並べ、頬張りながらですね。

 んー、焼菓子……今度作ってみますかね……。

 こんな感じでわちゃわちゃしていますが、一応真面目にやってます。

 彼女達は私の友人ということで参加してもらう予定です。




 ……今更ですが、友人達のルートからリアバレしませんかねぇ……。

 私と違って彼女達はゲーマーとして学校とかでも知られているので……。

 彼女達は教えないとは思いますが、気付く人がいる可能性はありますね…。

 ん? プルミエ? あ、もう止めようとしても遅いですか。そうですか。









「時間的にも……丁度良いですかね」

「七時……ちょっとギリギリかな?」

「深部に行くなら何戦か戦闘はある」

「うわ、何この【ガイア】各地のリアルタイム生態系調査ってやつ……」

「プロゲーマーではない方達によって結成された大規模なクランが作ったものですね」

「名前はなんだったかしら……」

「《EXPLORATION》。意味は探険、探索とかだってー」

「下手したらその辺のプロゲーマーのクランにも勝るレベルの大きさらしいですよ」

「しかもこれを全プレイヤーに公開しているという……」

「太っ腹ですよね」

「色んな人が集まってるらしいからね。奇人変人の巣窟っていう噂もあるけど」

「Wiki作ってるのもこの人達だってよ……凄いねこの人達」







 有志によって作られたこのゲームのWiki。

 プレイヤーによるボスの討伐などで変動する魔物の生態系を、リアルタイムで調査しマップに表示するという成果を始め、街にある評判の良い店舗の紹介やスキルの検証などの情報を公開し、その情報の有用さから全プレイヤーの生命線とも言える存在です。

 設立されたWikiには、どこかの国家の機密情報としか思えないものも掲載されているとかどうとか……。そこまで行くと怖いです。







「クエストについて発表するのはいつにする?」

「一応天啓の森にもプレイヤーはいると思いますし、配信開始と同時に言ってしまうと先を越される………ことは無いんですかね?」

「正味、このクエストを受けている人しか行っても意味はなさそうだけど……」

「それでも行く人で殺到しそうな気はするよ」

「頃合いを見て言うので良いんじゃないかなー?」

「そうですね。そうしましょう」







 慥かに文脈からしてクエスト受注者しか行っても意味は無いと思いますが、それだけで天啓の森に人が増えることは察せられます。

 それだけで、ね?

 まともに配信なんて出来ませんよ。

 ということで、道中でタイミングを見計らうことにしました。







「というか、そろそろパーティー組みません?」

「誰も言わないのでいつ組むのかと……」

「うん。そろそろしようか」







 メニューを開きながらそう呟きます。

 ずっと埃を被っていたパーティー機能を開き、同時に送られてきたパーティー参加申請を許可します。

 パーティーの人数制限の上限。欄が全て埋まりました。

 フレンドリーファイアは消えませんが、これでお互いの念話や、位置把握など様々な恩恵を受けることができます。






「これで……ここにリス地も設定できるのかな?」

「あ、出来ましたね」

「一応配信が終わったら解散はすると思うので、その際は前回の登録地に戻るそうです。私がログインしていない時にもそのような措置が取られるとのこと」

「オッケー!」

「把握」

「クエストの共有もできましたね」






 ここ、白夢の黒雪霧楼に復活地点の登録も完了したようです。

 ホームにパーティーメンバーもリスポーンできるのは、もし死亡した後に回収に行かなくて済みますね。

 これで私達も例のクエストに参加できると。ソロ限定とは書いていませんでしたしね。







「さてさて、準備は終わりましたか?」

「ええと……うん!大丈夫!」

「良いですよ」

「完了したわ」

「いいよ〜」

「ん」






 付近の花壇やら何やらをパパッと消滅させてからそう問い掛けます。

 噴水は……遠くに動かして残しておきますか。

 現在の光景は芝生に遠目に淡い水色の建造物と噴水が少しだけ映っているだけです。


 では、カメラを呼び出しますか。

 メニューを開いて配信準備を開始。レンズの付いた小さな球体が現れます。







「一度画面外に出ておいて下さいねー」

「ここでいいー?」

「はい。大丈夫ですね」







 友人達を画面外へと退去させます。

 確認もしっかりと忘れない。




 タイトルは『【WMO】友人とやります』

 捻るのも面倒でした。

 待機画面のコメント欄を横目で見る。

 待機人数約三十万人。

 ………まだまだ増加し続ける数字。この数秒で一万人増えてますよ。






 装備も着けてる。

 背景についても問題無い。

 予定(スケジュール)は頭に入っています。

 






「よし……では始めますか」







 浮かぶメニューの配信開始の文字が書かれた部分に手を向けます。

 複数の指で同時にタンと触れる。

 カメラが動き始めたことを表す音がなりました。

 私が画面に映った瞬間、急激に加速し流れていくコメントの数々。








『コメント:wktk』

『コメント:同接えぐ』

『コメント:そろそろ?』

『コメント:友達って誰だろ』

『コメント:お、来たぞ!』

『コメント:Foooooooooo!』

『コメント:白雪姫ー!』

『コメント:hshs(*´Д`*)』

『コメント:ドレス⁉︎』







「皆さん、こんにちは。人によってはこんばんは。ニーヴィスです」





 優雅にドレスの端を摘んで一礼。

 レザーの初心者装備では出来なかった挨拶です。

 白雪姫と呼ばれているので……似非のお姫様ですが、許容して下さいね?






『コメント:こんにちは!』

『コメント:Hello』

『コメント:おはようございます』

『コメント:こんにちは』

『コメント:こんばんわ』






 あ、『Hello』は日本語訳されないんですね。

 その他いくつかの外国語も翻訳されないみたいです。

 きちんと海外の人も見に来ているという雰囲気を味わってほしい、みたいな理由でしたっけ?


 当然これは一部抜粋です。

 現在は私の着ているドレスや、所在地について動揺する、狂乱に包まれた文字列が流れていきます。

 いや、速さから言えば飛んでいると称した方が良いかもしれませんね。

 肉眼で捉えることが不可能な速度で上にコメントが消えていく。

 自動更新オフにしないと読めませんよ、これ。






「皆さんの疑問については後々答えるとして、まずは今日の配信の趣旨について話しましょうか」






 ここで一旦収束させようと試みます。

 加速が落ち着いてきた──まあ、そもそもの人数が多いのでそれでも速いのですが、そろそろ良いですかね?







「今日は配信タイトルにもあるように、私の友人とパーティーを組んでプレイしていこうと思います。友人は五人。私を入れて丁度パーティーの人数制限六人ですね」






『コメント:誰ー?』

『コメント:白雪姫の友人とか裏山』

『コメント:リアルでの友人?』

『コメント:白雪姫に肩並べることできる奴いんの?』

『コメント:ドレスhshs(*´Д`*)』

『コメント:さっきから変態湧いてない?』

『コメント:男だったら泣く……ソロモン?お前じゃねぇよな?』

『コメント:↑は?あいつにニーヴィス寝取らせるもんかよ』

『コメント:男いたらソイツのWMO人生終わらせる』

『コメント:おい過激派!奇遇だな俺もだ』

『コメント:まだ男がいると決まった訳ではないから……いたら殺るけど』

『コメント:フレンド申請送りたい』






 わー男性へのヘイトが凄い。

 私に男友達と言える様な人……それ以前に男性と全くもって関わっていませんね?

 あるとすれば告白。ただし興味ないので全部お断りです。円滑な人間関係を構築したいので丁寧に対応はしますが。

 他人への興味が薄い私が恋を感じることはあるのでしょうかね?

 友人との関係は話しません。リアバレの危険性に怖気付きました。






「友人との詳しい関係についてはノーコメントです。では、登場して貰いましょうか」






「皆さん初めましてー、モーヴです! ニーヴィスの一番の親友です! 所属はどこにもしていませんー! よろしくお願いしまーす!」

「プルミエです。デルニエの双子の姉です。同じく無所属です。どうぞお見知り置き下さい」

「デルニエだよ〜。プルミエの妹です〜。よろしくね〜」

「ファウンテンよ。私も何処にも所属していないわ。よろしくお願いしますね」

「ヴァルヨ。無所属。宜しく」







『コメント:全員そこそこ有名な奴らじゃねぇか!w』

『コメント:よりにもよって全員無所属』

『コメント:スカウトマン勧誘必死の集団』

『コメント:過剰戦力で草』

『コメント:美少女集団hshs』

『コメント:知らないんだけどどんな人達?』

『コメント:↑アマでちょっと調べると出てくると思うよ……』

『コメント:別ゲーで有名だったけど最近ここでも強いことが判明した人達』

『コメント:ワールドアナウンスで名前流れていた気が…』

『コメント:装備とかで既に強そうなんですがそれは』

『コメント:調べたけどここのトッププレイヤーかよwww』

『コメント:しかもトッププレイヤーの中でも結構上の方っていうね』

『コメント:ボス討伐歴あるぞ』






「ふふふ。皆、ちゃんと強いのでご安心を。種族などの詳しい自己紹介はこの後戦闘をして貰うので、その際に行いますね」






 さらっとワールドアナウンスに彼女達の名前が載っていたというコメントが見えたのですが。何したんですか?

 あ、モーヴ、露骨に目を逸らしましたね? あなたですか。 

 後で以前のログでも見直すとしましょう。






「そうですね……では先程から質問が沢山届いているので、いくつか答えていきましょうか」






 私の意図を読み取ったのかカメラが複数に分裂して、その一つが急上昇しそのまま上空に留まります。

 それを見て視聴者の皆さんの疑問に答えていきます。






「先ずはこの場所についてですね。ここは私のホーム、白夢の黒雪霧楼です。所謂神界といった別次元……キャラメイクやチュートリアルで訪れた場所の付近ですかね。世界神であるルナリア様から頂いたものです。」






 カメラが自動的に少しずつアングルを変えながら、配信する様子を眺めます。

 空の上からの俯瞰的な映像から、しっかり凝られた内装まで。

 説明については、こんなところで良いでしょう。

 これに関しては下手に口を開くと失敗する気がします。

 家とか家具とか好きに出せて面積無限とか言える筈がありませんよ。

 ついでに言えば、プレイヤー御用達の噴水の完全上位互換の転移能力までついている有様。

 氷の宮殿だけでも十分嫉妬されそうですから……口は災いの元。

 ………これもノーコメントでよかったですかねぇ?

 私が言いたかったから良いですか。






『コメント:な に こ れ』

『コメント:敷地面積何坪よこれ……』

『コメント:全部氷? これ』

『コメント:神界とか反則だろ!』

『コメント:必死に金策して立派なお家建てようとしたクランが居た堪れない……』

『コメント:何処ぞのクランのと比べるとお腹痛いw』

『コメント:8分の1スケールの王都のお城www』

『コメント:8分の1って人入れるのか……?(困惑)』

『コメント:ま、まあ元が広いから……(尚狭い模様)』

『コメント:国家反逆罪の疑いがどうとかって騎士団が出動して、実物見て失笑してたぞww』

『コメント:あれは結構シュールw』

『コメント:これって神の使徒特権だよな?』

『コメント:神の使徒ってどうやったらなれますか!』







 これでもデザインしたのは私なんですが、それを言ってしまうと面倒なことになりそうなので我慢します。

 ホーム設営で失敗したクランの実話……掲示板でかなり笑い話にされてましたね。

 それをネタにして知名度アップを図るなど、上手く活用できなかった当のクランのプロゲーミングチームは、スポンサーの支援が切られるとかいう死活問題に直面している様ですが。

 






「その気持ち分かる。私達も困惑したよー」

「流石に少し嫉妬したわ……」

「あはは……。ああ、お察しの通りこれは神の使徒が貰える物ですね。……神の使徒になる方法、ですか……。私も何故か成り行きでなっちゃったんで……。ただ、欲望ただ漏れでルナリア様と相対した人の末路をお考え頂ければと」







 何となく理由は分かってますがね! 理由の九割は見た目。

 話す訳がありませんが。

 ルナリア様に「神の使徒なりたい!」と、凸するのは被虐趣味者(マゾヒスト)の人だけでどうぞ。







『コメント:アッハイ』

『コメント:私欲ダメゼッタイ』

『コメント:人族強制スタートの悲劇』

『コメント:因果応報自業自得』

『コメント:最悪土下座して懇願した方がいい気がする』







 慥かに素直に頭下げた方がまだ可能性は……。

 零が零になるだけ……土下座していても胸中が打算塗れなら寧ろ悪化しそうな気がしますが。

 まあ、次行きましょう。次。






「あ、因みにこのドレスと剣はオフェリア様に作って貰いました。えぇ、この前の配信にて出たあのエルフの女性です。先日のボスの素材を使用しています。」






『コメント:やりやがったな⁉︎』

『コメント:どうせぶっ壊れているんだろ? 知ってる』

『コメント:ゲーム準最強格に作って貰った装備とかさぁ……』

『コメント:はい全部ユニーク確定ですね』

『コメント:ドレスかわゆい(思考放棄)』

『コメント:オフェリアちゃん……装備を作れるのか……成長したなぁ……』

『コメント:保護者湧いてて草』





「……はい、全部ユニークですね。どんなことがあっても私の手からは離れませんよ? ルナリア様が作成するのは流石に拒否したと弁解しておきます。能力は一応常識の範囲内?ですかね……。後で戦闘で使って見せましょうか」







『コメント:世 界 神 は ダ メ だ ろ』

『コメント:それにしてもどうやってあの神を攻略したのよ……』

『コメント:THE 女神って感じで優しいけど実は好感度上げるのムズイタイプ』

『コメント:マジで対応間違えると死ぬからな。余程バカでない限り大丈夫だが』

『コメント:母性溢れる美女だし我々の界隈ではご褒美』

『コメント:↑どこの界隈よそれ』

『コメント:人脈チートもあるって主人公ですか?』

『コメント:このゲームはなろう系だった』

『コメント:ん?語尾上がったよな?』

『コメント:クエスチョンマークが透けて見えたぞ!』

『コメント:【定期】こういう人の常識は信用できない』

『コメント:それな』







 他人から見たルナリア様ってそんな印象……?

 誰にも裏の顔ってあるんですね──。へ──。つい棒読みになってしまいました。

 あの状態が俗に言うギャップ萌えとか………絶対違いますね。

 住民に特殊趣味の持ち主と教えたらどんな反応がされるのか……。そういえば、聖女様も神の使徒と言っていましたっけ? 初対面でのルナリア様の理想像が崩れる瞬間が見てみたい。





 あー……雪華剣の方は未だ数千歩譲って範囲内ですかね……星雪の姫神子装束も同様。

 ただし繃黒剣、あなたは壊れてます。弁解のしようが無い。

 言ってしまえば、どれも序盤で持ってはいけないような性質してますけどね。既に常識が崩壊しているのは否定できませんが。

 そして友人達。何無言になって顔を見合わせているんですか。

 ステータスの強化値については何も教えていませんが、何故か悟った様な表情をしています。






 まあ、取り敢えず答えるだけは答えたので、ささっと天啓の森に移動しましょうか。

 彼女達の戦闘も見ていませんし、意外と時間も拙い。

 私の【霏刻の氷鍵】でも深部には辿り着いていなかったと思うので、ギリギリまで行ってからは徒歩での移動。私は浮くこともできるので歩くかどうかは知りませんが。

 そこそこ急がなければなりません。










「まあ、こんなところでしょうかね。では、早速移動して……」















「ニーヴィスちゃーんっ!」










 そう切り出した私の声が突然遮られます。

 幾度となくこの世界で耳にした明朗とした声。

 真逆……と心の中で慌てながら反芻すると共に私の体が圧迫され、顔が羞恥心で赤く染まる。






『コメント:え……?』

『コメント:え』

『コメント:?』

『コメント:何 か 来 た』

『コメント:何してるん女神』

『コメント:WTF』

『コメント:イメージぶち壊したなwwww』







 恐らく配信開始直後よりも困惑で埋め尽くされたコメント欄。

 モーヴ達も「え……? え?」などと最早錯乱状態。私も人のこと言えませんが。

 どう見てもその表情、この()が何でこんなところに?の顔ではないですよね?









「は──……一日振りのニーヴィスちゃん成分補充……」

「ちょっ……()()()()()っ……」

「むふぅ……! はい、どうしましたー?」

「いや、あの、そのぉ………」









 全世界に向けて配信中です、と言おうとしても既に後の祭り。私の存在以外目に入っていません。半分放心状態、半分羞恥心の絶妙な顔を戻せない。彼女の豊満な胸の中でされるがままになっています。



 今までのイメージを完全に破壊する形で突然転移して来た金髪の美女。

 えぇ、この【ガイア】の世界神であるルナリア様がこのタイミングで乱入して来ました……。











「はぁ〜……ニーヴィスちゃ〜ん……」

「る、ルナリア様……」











 何だろう。積み重ねてきた物を塵にしてしまった物凄い背徳感を感じます。

 不可抗力と心中で誤魔化しながら、現実逃避したくなりました。















 ◇ ・- --- -・-・・ ・・ -・・-- ・・・ ・--・- ◇














 気味が悪い程に清々しい蒼穹。

 おどろおどろしい時計の淵に腰掛け、身を寄せる白き少女。

 狂い歪みし針が、時を刻む度に僅かに揺れるのを瞑目して身を預ける。

 眠り姫とも言える儚く美しい存在。

 外見で判断するのなら、囚われの(ダムゼル・イン・)姫君(ディストレス)という呼称も相応しいかもしれない。

 本当に外見のみを鑑みるのならば。





「………跳ね除けられ、た?」







 何の前触れもなく覚醒した白の厄災、カムイはそう呟く。

 年齢の割に幼い容貌に不釣り合いな無表情は変わらないまま。

 その胸中が図り知れない。凡人が超人の思考を理解しようとすることは不可能なのか。





「……世界神の軽度の対抗(レジスト)……思考誘導は完全に解けていない。認識障害も有効」





 状況確認を行なったカムイは抑揚のない声で言葉を発する。

 至って冷静。微塵も動揺していない。





「………残念ながら………私達が事を進めるのに支障は無い」





 想定外を望むかのような発言。

 つまらなさそうな顔をして、彼女はそう言う。

 




「まだ……役者も…舞台も…戯曲も……全然足りない……。脚本をひっくり返したいのでしょう?………でも、基準点はまだ遠いよ?」





 【ガイア】の住民、救世主(プレイヤー)、世界神。

 これから彼女達が屠るであろう対象に足掻くことを要求する。

 全ては血月の使徒の掌の上。

 だからこそ、一方的な蹂躙も面白く無いのであろう。




「……失望するのはまだ早い。……だって開演もしていないもの」




 首を一度だけ横に振り、まだまだこれからと繰り返した。

 漸く薄暮も終わり、悪夢の夜が訪れる。

 及第点に到達にするのは、それからでも遅くない。



 それらを踏まえて神界を見下ろすカムイ。

 白雪姫と世界神や友人の織り成す微笑ましい空間を、過去の柵を、冷たい瞳になって見下ろす。









「ねぇ?……お願いだから、私達(監督)を楽しませて?」









 作り物めいた少女はそう嗤う。

 彼女らが綴った台本を超える展開を求めて。


















 焉月時計の針が『I』に掛かろうとしている───。












 リアバレについては神楽がニッコリ嗤って認識障害かけてます。友人ルートからもバレないように。

 本人の杞憂です。というかリアバレはしなくても関係性はモーヴが話しそう。



 前回の投稿から3週間も空いてしまいました……すみません!

 修学旅行やら何やら忙しかったんです(言い訳)

 取り敢えず先生? CPの仕事を何でこっちにばかり持って来るんですか?

 これも隙間時間で書きました……。

 毎日投稿している人のスケジュールが知りたい。切実に。


 今年度は更に忙しい……投稿頻度は二週間に一回出来たら良い方かも……。

 ここからは作者が書きたかった所なので執筆が進むかもしれませんが。

 代わりに文字数をボリュームアップさせようかなと思います!



 因みにこの話9000文字。

 正直作者もこの話の出来に納得いっていないので多分改稿します。



 作者の投稿を待って下さった皆さんありがとうございます!

 今後ともよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ