日ハ堕チ双月ハ昇ル-4
本日二話目……です(震え声)
(((2/2)))
「あ、次、私たち〜?」
「私達の種族は特殊なものだから、同時にしようと思うのだけど……」
何処までもマイペースなデルニエを尻目に、言い淀むプルミエ。
彼女達の姿は髪と瞳の色が変わっているだけで、髪型が現実と違って揃えてあるので、顔立ちがとてもそっくりです。
改めて彼女達が双子ということを思い知らされます。それでも雰囲気はかなり違いますが。
「あ、問題無いみたいだから始めますね? 私の名前はプルミエ」
「私の名前はデルニエだよー!」
プルミエの濃緑とデルニエの薄紅色。
対になった補色である彼女達の神の色が透けて、背後の景色が見えています。
霊体と言っていましたっけ。
「レベルは私が49で」
「私が51だよ〜」
「種族は、幽双霊。二人一組の種族ですね」
「え、何それ……」
「そんな種族、プレイヤーにもあるんだ……」
二人で一組の種族。
そんな敵はある意味お約束とも言えますが、まさかプレイヤー側の種族に実装されているとは思いませんでした。
「詳しく説明すると、死霊の一つで常に霊体。物理攻撃が効きません」
「まあ、ここまではお馴染みだね〜」
「私達の種族は、希少種の双子の霊。本当に運命共同体のような能力を所持していますね……」
「あれ? テンション低いね?」
「これ、強いには強いのですが、デメリットも大きいんですよ……」
「主な能力を説明すると〜、相互転移、相互行動予知だね〜」
「え、行動予知?」
「モーヴ、それは触れたらダメなものだと思うわ」
「運営の闇」
「因みに、魔力消費もクールタイムもゼロですね。ただ、体力が低い上にどちらかが死ぬと両方とも死にます」
「体力共有とかじゃなかったのがキツいね〜」
お互いの場所にノーコストで転移できて、お互いの行動を予知出来る。
連携が得意な二人には鬼に金棒ですね……。
正直、二人とも私に負けず劣らずの強さを持っており、この二人のタッグは相当強いです。
十字砲火に入れ替わり……その二人にテレポートまで与えたら、ねぇ?
ただ、片方が死ぬと両方とも死ぬと。
それでも、彼女達には問題無いと思うのですが……。
「物理無効だからまだマシなのですけれど、捨て身で相打ち狙いされた時点で詰みます。本当に一発で死ぬんですよね……。魔法は全て弱点です」
「一つでもミスしたら終わりだし、小回り効かなくて操作が難しいんだよね〜」
彼女達もかなり苦労している模様。
動かし辛さは詳しく言うと、ピッタリ止まれない。
氷の上にいるような感じで、方向転換もままならないそうです。
「まあ、後は……言いたくはなかったけれども、私達は体力にダメージを与えません。魔力にダメージを与えます」
「それは……つまり、魔力をゼロにしたら倒せると言うことかしら?」
「ざっつらいと〜」
「全ての攻撃が魔法攻撃と見做されます。そもそも魔力が無い相手はワンパンですね」
「普通に最強種族な気もする……」
「そうでもありませんよ? そもそもスペックが低いですからね……。相手が魔法とか使えば、自分からHPを削ってくれる感覚なのでありがたいですが、回復された時の絶望感が……」
「火力が低いんだよね……」
同時に項垂れる二人。モーションがそっくりです。
やはり彼女達は双子でした。いつもが似てなさすぎるんですよ。
それにしても、魔力をヒットポイントとして扱う、ですか……。
体力は相当あるのに一撃死とか、初見殺しも良いところですよね……。
物理しか使えない相手なら簡単なのでしょうがね。
【魔力自動回復】とかのスキルレベルが高い相手だと、ただの鼬ごっこになりそうな気がします。
私は確か……十秒に0.5%でしたっけ? そもそも魔力は自動回復ありますからね。
現在の私の魔力は約1800……十秒に30程回復すると見ていいでしょう。
というか精神の高さの時点で……あっ……。
これはそっとしておきましょう。ええ、そうですね。はい。
「普通の武器は持てないので、攻撃方法は私は【鬼焱】」
「私が【鬼冰】だね〜、どちらも魔法の炎、氷の弾を飛ばす感じだよ〜。」
「まあ、応用しているので少し変わっていますが。私達は前衛か中衛と考えて良いですかね。詳しいことは……戦闘で見せましょうか」
「天啓の森に行った時にも、道中で雑魚の戦闘はあるだろうからね。その時がお披露目でいいよ」
その他のスキル構成も連携などに特化したものを選んでいました。
相手によっては相当強いですから頑張って下さい……。
こういう不遇な種族に挫けた人も多いそう。彼女達は勝てる相手が多い分、遥かにマシです。
「最後は私……簡潔に言う」
ヴァルヨがそう呟きます。
長い黒髪に紫の瞳。紫のスカーフにポニーテール。
その装備の影響もあり、忍者のような風貌を晒しだしてます。
「私はヴァルヨ。冒険者。レベルは56。種族は魔族の一つ、幻影人。【影魔法】で影に潜ったり、幻影を見せたりして暗殺する」
寡黙な彼女が淡々とそう言います。
最後の一人も暗殺者、ですか……バランス悪くないですか? このパーティ。
ほぼ全員前衛ですよ。
まあ、一応中衛、後衛として支援できそうな人もいますし、大丈夫ですかね…。
「デッキビルドは器用と敏捷。他の皆と同じく紙装甲。弱点は風、土。武器はこの短剣。毒も使う。スキルも隠密系、機動系を選んでる。以上」
わお、簡潔。
本当にあっさり終わらせましたよ。
王道に基づいています。シンプルな暗殺者スタイルと考えて良いですかね。
黒いナイフを曲芸のようにくるくる回しています。
「あれ? では、私に触れたのは……?」
「装備が耐寒、耐暑持ちだから」
「ああ、そういうことですか……それでも耐え切れないのでは?」
「ダメージ入った。かなり痛かった」
「ダメージ我慢していただけですか……」
痛覚を完全にポーカーフェイスで隠し切っただけ、ですか……。
有志による検証だと、個人差もありますし、種族によっても変わりますが人族は、大抵気温が氷点下になると状態異常にかかります。
状態異常の重度がLv.2でマイナス五度だったらしいので、このまま比例するならば、私の体温を気にしないようにする為には、耐寒 Lv.8が必要になる計算です。
あ、これはややこしいことに状態異常レベル=スキルレベルではありません。
装備の耐寒 Lv.8なら、単純計算でスキル【耐寒 Lv.80】で同等だそうです.
そもそも状態異常ってどのくらいのレベルまで存在するのですかね?
現状プレイヤーが見つけた装備でも毒耐性 Lv.3だったと思います。
「えーと、皆の戦闘スタイルをまとめると……ほぼ攻撃に極振りしてない?」
「治癒役ができそうなのがニーヴィスしかいない……」
「この中での最大火力だと思うのだけれどね〜」
「では、私は後衛に回りましょうか。遠距離攻撃だけでもかなり持ってますし」
「んー、私も頑張れば遠くからできるけど……」
「ファウンテンとヴァルヨは前衛確定でも良いですからね」
「デルニエは前の方が良いですね。私は中距離くらいならできますが」
「モーヴは真ん中あたりなら良いかしらね」
「それならいけると思う」
ここまでをまとめると、デルニエ、ファウンテン、ヴァルヨが前衛。
ファウンテンは敵のヘイトを稼ぐ盾役です。
ただ、デルニエ、ヴァルヨがかなり特殊な攻撃手なんですよね……。
二人とも一撃必殺の攻撃持ちなので、雑魚相手に限っては私達の出る幕もない気がしますが。
そして、モーヴ、プルミエが中衛。
モーヴはともかく、プルミエもその距離からの攻撃手段があるということなのでこうなりました。
で、私が後衛。
剣が振るえないのは不満ですが、繃黒剣なら影刃でいくらでもできますしね。
魔法で粉砕するのとメンバーの回復を行います。
後方支援は本職ではないので色々拙いとは思いますが。
それにしても、やはり編成が事故ってますね。
ソロの後方支援役って強キャラすぎる気がします。
これはもう仕方がない。
しかし、レベルは私が一人飛び抜けてますが、プレイヤー全体で見れば彼女達も上位。
更に全員がPSお化けな為、敵さんが嬲り殺しになる未来が見えてしまいます……。
◇ -・-・ ・・- ・-・ ・・ --- ・・・ ・・ - -・-- / -・- ・・ ・-・・ ・-・・ ・ -・・ / - ・・・・ ・ / -・-・ ・- - ◇
「そろそろ本題に入りましょうか。プルミエ、例のクエストについて詳細を教えてくれない?」
「了解です。ええと……これですね」
これから全員で取り組む予定の怪しいクエスト。
粗方彼女達の戦力の確認と連携についての話し合いは終わったので、そちらに移ろうとプルミエに話しかけます。
彼女がメニューを開いたような素振りを見せ、それを私達にも可視化させクルッと半回転させます。
▼ ▼ ▼
〈クエスト〉【NO NAME】
依頼者 名も無き少女
難易度 G
内容 依頼者に会う
報酬
譛医′隕九∴繧句、懊↓縲∝、ゥ蝠薙?譽ョ縺ョ豺ア驛ィ縺ォ縺ヲ遨コ繧定ヲ倶ク翫£繧
▲ ▲ ▲
「え………何ですかこれ」
「報酬が………空欄?」
「色々と巫山戯てるわね……」
「……これ、どこで見つけたの?」
「ほら、冒険者ギルドのクエストが掲示されているクエストボードって、プレイヤーは混雑しないように建物内にいたらメニューから見れるのよね。だからあまり人がいないのだけど……クエストボードの隅……いや、枠の外に小さな紙で貼ってあったの」
「悪戯かと思ったら受注できたんだよね〜 文字化けしたフレーバーテキストをツールで解読したのがこの前送ったのだよ〜」
クエスト名、無名。
依頼者も不明。
いや、少女と書いてある辺り、女性のみで構成された《血月の使徒》を彷彿とさせます。
報酬も記載されていない。
普通なら幼いNPCが悪戯しようと書いた物、とすぐに興味が失せてしまいそうですが、クエストとしての効力は確かに有った。
そして、決して見逃すことのできない文字化けした文字。
これを解読すると、『月が見える夜に、天啓の森の深部にて空を見上げよ』
暗喩のように捻っていそうでそうでない、単純な指示。
張り出されていた際の写真も見ましたが、その滲んだ洋墨の文字が悍ましき気配を感じさせます。
「天啓の森に何かあるのか、ニーヴィスが世界神に聞いてくれるって言ってましたが……」
「……あれ? すっかり忘れてましたね…。ごめんなさい」
「いえ……大丈夫ですよ」
「今すぐにでも聞いた方が良いと思うけど……」
「そうですね。えーと、念じたら来ますかね」
「え、何それ……」
「便利屋?」
「否定できません……。そんな感じの人ですからね」
普段ならこういうことは忘れないのに……私らしくありませんね。
モーヴが勧めてくれたようにルナリア様のところに確認しに行きましょう。
今更気付きましたが、私、ルナリア様達への連絡手段、一切持ってないんですよね……。
最悪私が困っているという念を送れば気付いて──
『ニーヴィスちゃん! なにー?』
………繋がりました。
『ルナリア様、ちょっと確認したいことがあってですね……』
『え、嘘⁉︎ こんなに⁉︎ ごめんなさいニーヴィスちゃん! 今忙しくて聞く暇無さそうです!』
「あ、反応が無くなりました……」
一方的に切られましたね……。
仕事が立て込んでいるみたいですが……。
オフェリア様はルナリア様の隣にいるのか、それとも別の場所にいるのか分かりませんし……。
「ごめんなさい。ルナリア様に聞けませんでした。今、とても忙しいそうなので難しそうです」
「仕方ないわね」
「大丈夫」
「邪魔するのもいけませんしね」
「だからといって待ってるのもねぇ〜」
「もう、行っちゃう?」
待ちきれなくてどこか浮き足立っている彼女達。
面白そう、といった感情が見え隠れしています。
もし取り返しのつかないことになったらこの世界が──
そんな不安も過ります。しかし、私の心の中で好奇心が怪物のように上から塗り潰し、
「そうですね。そうしますか」
私は彼女達の言葉に頷いていました。
次回配信回ですね
先に言っておくと、ここでは胸糞展開にならないはず……
遅くなってすみません……。
多分もう少し詳しくするために加筆すると思います。
次は土日ですかね……?
水木金が諸事情の為執筆できないので……(言うて平日全然投稿してない)
お読み頂きありがとうございます。




