なぜ異世界へ行くことになったのか。
書きたくなったから書き始めた。
という完全見切り発車ですので、それでも読んで頂ければ幸いです。
あざとい表現などもあったりすると思いますが本人は至って真剣ですのでどうか生ぬるく見守って頂ければこれほど有難いことは御座いません。
俺は結城 颯。
地方の平凡な家庭に育ち、都会に憧れて上京したが30歳を過ぎても定職に付かずアルバイトでその日暮らしをしていた。
こんな俺でも結婚を約束した女性はいるが、このままアルバイトを続けて定職に就かないようなら別れることを視野にいれていることを示唆され、俺は正直焦っていた。
学歴は高卒。資格は車の免許だけ。
こんな俺でも大企業に就職したいと儚い夢を抱く・・・が、大した職に就くことはできなかった。
だが俺は諦めない。なんとしてでも結婚したいのだ。ちゃんとした会社に正社員として働き愛する女性にプロポーズする。そんな思いを胸に秘め俺はがむしゃらに就職活動をした。
そして何十社にも及ぶ面接に挑み、ようやく薬品会社の営業職で就職することができた。
だが俺の就職した会社は思っている以上に過酷で一年耐えられたらベテランなどと言われる…いわゆるブラック企業だった。
就職して一ヶ月ほど経ち精神的にも体力的にも燃え尽きようとしていた。
そんなある日のこと、俺は仕事で取引先に向かう途中車内で睡魔に襲われた。
一瞬だけの居眠り・・・をしてしまった故の交通事故。
俺は即死たっだ。
今までの人生誇れるものも何もない。愛する人を幸せにすることもできなかった。俺は人生の幕をあっさりと落としてしまった。
死の瞬間というのは時間がスローモーションに流れる。と、以前本で読んだことがある。まさにその瞬間を実体験するとは思わなかった。
脳裏に人生への失望と、こんな自分を愛してくれた女性を一人残しこの世を去るのか…という未練を浮かべながら意識が遠のいていった。
ふわふわした感覚だ。雲の中とも雲の上とも表現できるような白い世界で俺は目を覚ました。視界も思考もひどく朦朧としている。
「ようやく気が付いたようですね」
目の前に光が現れ、より一層輝きを放つ所から優しそうな女性の声が聞こえてきた。
声と表現したが頭の中に直接響くような感覚だ。
「時間が余りありませんので簡潔に説明します。あなたは事故に遭って死にました。ですが、再起のチャンスが与えられます。これは1000年に一度地球で生を終えた人類の中でたった一人だけに与えられる権利のようなものです。権利とは言いましたが残念ながら拒否権のようなものはなく強制的なものですのでご了承下さい。あなたはこれからいわゆる“異世界”に送られ肉体年齢が15歳の状態でスタートすることになります。これは年齢が高いまま送られると異世界にうまくなじめなかったり、低い状態で送られるとそもそも生きていけないということで送還される人間は15歳からのスタートと決められているからです」
説明されていることは何となく理解できる。頭で考えるというよりは内容が自然と自分の中に入ってくる。疑問などを感じないのは思考が朦朧としていることが原因かもしれない。
「あなたが向かう“異世界”ですが、あなたが生前読んでいた小説などを参考に“剣と魔法の世界”に決定しました。これはせめてあなたが興味をもっていた世界にお送りしようという私からの心遣いです。さらにあなたには特殊スキルとして“神眼”というものをお付けすることにしました。これは向こうの世界でもあなた一人だけが持つものであり特別なものだと言うことは覚えておいて下さい。詳しい使用方法などは時間がない為、説明は省かせてもらいますがとてつもなく優秀なスキルですから向こうに着いてから色々と試してみるといいでしょう」
どうして俺の好みがわかるんだ?・・と微かに思ったが、思考が朦朧としているせいでそれ以上の疑問を感じることはなかった。
「もうそろそろ時間になりますので最後に一つ、あなたは何も気にすることなく向こうの世界で自分の思うまま生きると良いでしょう。…それでは、いってらっしゃい」
いってらっしゃいを聞いた直後に急激に視界が狭まりそのまま俺の視界と思考は暗転した。
誰もいなくなった白い世界の中で光はつぶやく。
「私が一から作成したスキルの“神眼”がどう成長していくかはあなたの行動にかかっています。あなたとスキルがどう成長するのか楽しみにさせてもらいますよ。地球より過酷な世界ですが…直ぐに死んで私をがっかりさせないようにお願いしますね…」
ふぅ…。
読むのと書くのって大違いなんだなと痛感しています…。




