プロローグ 天才家電開発者、すべての生き物を幸せにするため、もふもふ白狐に転生する
初めまして、みるふぃです。
本作を見つけていただき、本当にありがとうございます。
本作品は、前世で家電開発者だった男が、異世界で「もふもふな子狐」に転生し、魔法と家電の知識で世界をまったり(時にダイナミックに)幸せにしていくお話です。
少しでも癒やされたり、笑顔になっていただけたら嬉しいです。
大手家電メーカー会社の陽の光も当たらない暗い開発室で、ある男がパソコンの画面と格闘していた。
カチカチと室内に響くのは、無機質なキーボードの打鍵音だけ。
「……よし、新型マイナスイオンドライヤーの回路図、修正完了」
赤く充血した目をこすりながら、男は満足げに小さく呟いた。
男の名は、自他共に認める重度の「家電オタク」であり、社内随一の天才開発者だった。
「みんなを、人、動物関係なく全ての生き物を幸せにしたい」その一心で、新型の冷蔵庫やエアコン、掃除機など、あらゆる生活家電の開発に文字通り命を削ってきたのだ。
ふと壁の時計を見上げると、針はとっくに深夜3時を回っている。
ここ数ヶ月、まともな休みなんて取っていない。限界を迎えた体に鞭を打ち、男がようやく立ち上がろうとしたその時、頭を殴られたような強烈な目眩が襲った。
視界がぐにゃりと歪み、胸が締め付けられるように苦しくなる。床へ倒れ込む男の目に最後に映ったのは、デスクの上で優しく点滅する、自分が開発した試作機の小さなLEDの明かりだけだった。
(ああ、せめて……次の新製品の発売日までは、生きていたかったな……)
遠のく意識の中で、男は静かに目を閉じた。
ーーどれくらいの時間が流れたのだろう...。
深い暗闇の底から上を見上げると、一筋の光が...
ゆっくりと意識が浮上してくるのを感じながら、男はぼんやりと思う。
「ここは……どこだ……?」
鼻をくすぐったのは、焦げた回路の匂いではない。瑞々しい土の匂いや、青々とした草の匂い。
目をそっと開けると、そこは見たこともない自然豊かな森の中だった。
(……あれ? でも、なんかやたらと目線が低くないか?)
覚悟していた死の痛みは、どこにもない。
目の前にあるのは、開発室の冷たいコンクリートの床ではなく、朝露に濡れた苔の絨毯だった。顔のすぐ目の前に葉っぱの筋が見えるほど、視界が地面にすれすれなのだ。
違和感を覚えて、男は自分の手元を見ようとして、完全に硬直した。
(――は!? なんだこれ……僕の手が、短くて、真っ白で、ぷにぷにの肉球がついてるーーー!?)
混乱しながら慌てて後ろを振り返ると、そこには自分の小さな体よりもずっと大きな、フカフカで真っ白な尻尾が一本、驚きでピーンと垂直に直立していた。
(ウサギ...?いや、キ、キツネ……!? しかもこれ、まだ掌サイズの子狐じゃないか!)
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
ブラック企業で倒れた男ですが、無事(?)可愛い子狐に転生することができました。これからは全ての生き物を幸せにするために、異世界で家電作りに励みます!
次回、さっそく運命の出会いが……!?
【作者からのお願い】
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