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#94 魔王城、突入

 魔族四天王を打倒した俺たちは、黒い森を突っ切って魔王城を目指していた。

 今は犬神形態となったクロエの背に乗り、疾風のごときスピードで駆けている最中だ。


 すでに日が昇り、辺りには光が差している。

 が、魔領域の総本山ジ・ザーストリアの風景は、ゲーム画面で見た以上に、人の土地とは様相が違っていた。


 まず、大気の透明度が低いため、空気が淀んでいるように感じられ、晴れているのに曇り空の下にいるような感覚になる。

 これは確か、人のいる大陸に比べて大気中の魔粒子の濃度が高いから、という理由だったはず(設定資料集より抜粋)。


 そしてその魔粒子の濃い空気を取り込んでいるためなのか、木々や草花なども黒く染まっている物が多い。

 そのため、光が差した今でも闇夜の中にいるようで、不気味な緊張感があった。


「…………」


 もし、一人でここに来ていたら心細さがあったかもしれない。

 クロエの背中から感じる熱が、今はとてもありがたく思えた。


「クロエ、そろそろ森を抜ける。近いぞ」

「ガルゥ!」


 わき目もふらずに走り続けていると、黒い木立がなくなり、開けた場所に出た。

 視界の先には、天を突くような巨大な尖塔を持つ建造物――魔王城がそびえ立っていた。


「見えるか? あれが魔王城だ」

「ガウ!」


 最終決戦の地、魔王城。

 ついにここまでたどり着いた。


「魔王城……肉眼で見るととんでもない大きさだな」


 見上げるように首を曲げ、視点を上へと運ぶ。

 まだ城の入り口は遠いのにも関わらず、すでに見上げるような高さを誇っている。


 ゲームでは城の全体像を視界に収めることはなかったが、こうして肉眼で見ると、その高さと大きさに驚かされる。


 歴代の魔王が居城とし、その度に様々な改修や増築を施されてきたそうだ(設定資料集より)。


 スキルなども駆使しつつ、俺は魔王城周辺の状況を確認する。


「……どうやら、待ち伏せとかもないらしい」


 四天王を倒してからここに来るまで、不気味なほどに静かだった。

 森で野生の魔物数体とエンカウントした以外、戦闘はなかったのだ。


 魔族には、ついぞ一度も遭遇しないまま。


 あの魔王のことだ、様々な魔法を駆使してこちらの動きをある程度察している可能性もある。

 が、こちらもそれを想定して動いている。


 だからこそ、警戒態勢を敷いていたとしても、対応が後手後手になるであろう深夜から早朝にかけての時間にやってきたのだ。


 だが……。

 それすらも魔王の予測の範囲内なのだとしたら?

 考えたくもないが、全てがヤツの手の内なのだとしたら?

 俺たちは、誘い込まれているのだとしたら?


 いや、そうだとしても後戻りはしない。

 なにが待ち受けていようと、結局は打ち破り前に進むしかないのだ。


 腹を決めて、突き進むのみ。


「いくぞ、魔王城ラストダンジョン

「ガル!」


 気合を入れ直し、クロエと共に魔王城へと足を踏み入れた。


◇◇◇


 ラストダンジョン、魔王城。

 ゲームプレイでもかなり長いダンジョンだと感じたものだが、実際に自分の足で走破するとなると、もっと長く感じる。


「まぁ、出現する敵には負けないからいいけど。な、クロエ」

「ガウ!」


 そう、ここまでの道のりでは、魔物や魔族に苦戦させられることもなく、ほぼなんの問題もなく進めている。

 ここに来て、自分のステータスがかなり図抜けた成長をしていたらしいことが実感される。


 よくやったぞ、俺!


 この調子で、魔王の野郎にも通用……いや、それどころか圧倒できる強さになっているといいのだが。


「おし、この調子で一気にいくぞ!」

「ガウゥゥ!」


 隣を歩くクロエに合図をしつつ、気合の拳を突き上げる。当然だが、苦戦せずに済んでいるのは、クロエの強さに寄るところも大きい。


 魔王城内の魔族の数もかなり少ないところを見ると、二人で粛々と『ジ・アポン』にて魔族狩りを行っていたのも効いているのだろう。


 そうして、俺とクロエは絶好調とも言える速度で、魔王城内を最短経路で突き進んでいった。


 長い階段や大きな扉を幾度か通過し、これまでのものより二回りほど大きく豪華な扉があった。

 その先は、広い体育館のような場所になっていた。


 がらんとした室内は静まり返っており、そこはかとない不気味さに警戒心が高まる。

 ここは……中層階のホールか?


 本来のストーリー上では、ここから四連続で大部屋が続き、四天王との戦いになったはずだが、四天王はすでに撃破している。


 ならば、いったいどんな敵が出現する?

 もはやバトルとなれば魔王以外はあまり恐ろしくはないが、未知数の敵という可能性も捨てきれない。


 俺は周囲に気を配りつつ、ホールへと足を踏み入れた。

 すると、


「――やあ、レオン」


 そこにいたのは。


 ――ルルリラだった。



:【筋力】が上昇しました

:【知力】が上昇しました

:【精神力】が上昇しました

:【運】が上昇しました

:【魔剣王】の職業熟練度が大幅に上昇しました

:【魔法狩猟師】の職業熟練度が上昇しました

:【ジャンパー】の職業熟練度が上昇しました


貴重なお時間をこの作品に使ってくださり、ありがとうございます。

読者の皆様の応援が書く力になっています!

更新がんばります!

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