47.つやつやのふさふさ
いやまあ、早い話、冒険者ギルドが金ぴかの問い合わせに応じてました。
わたしのこの街での滞在先。ラザレイム叔父サマ宅だって。
お知らせしてあったんだよね。武闘大会出場のために来てるんで。
普通はそうホイホイ教えたりしないんだけどねー。
竜人族様から聞かれたんじゃ、ハイハイと二つ返事ですわなあ。
受付に問い合わせ照会した直後だから、王都ギルド側もわたしが誰かはすぐ確認とれただろうし。
しかも用件が契約どうこう。竜人族側から申し込んでいたと。
ギルドからしたらねぇ。所属がこの街じゃなかろうと、少なくとも国内のギルド員であるなら。是が非でも契約させたいわけですよ。わたしに。竜人族様と。断るとかあり得ないわけですよ。
だもんでわざわざ叔父サマ宅まで金ぴかを案内してくる始末。
案内役は立会いしてくれた人だった。成り行きで強引に案内させられたんじゃなく自ら買って出た風だった。土地っ子なのか、相当うまく近道してきたに違いない。レンさんの急ぎ足にかなうとは。
断らせまいと必死なのは魔術師協会もでしてね。先回りしてた金ぴかたちと玄関先でもめてたら、あとから揃ってやってきましたよ。冒険者ギルドのちょっとえらそうな人と魔術師協会のそこそこえらそうな人が。ハハハハハハハ……。
……なんのフラグなのさ。
もう両手両足ぜんぶ埋まってます!(契約の証で)とかわそうとした。すかさずえらそうな魔術師の一言。まだ胴体と頭があるだろう、だってさ。くっ。顔に模様が出るのは絶対絶対にイヤ!!と半泣きで訴えたら、まぁ女だしなーとそこは認めてもらえたが。
ならば胴体だな、って! 勝手に決めんなぁああ!
「うむ。それはよい」
それを聞いた金ぴかはご満悦だった。
「女は胎に子の宮をもつという。我の証を宿すに相応しい」
う。ちょっと生々しいんですが。なに。子宮がどうしてふさわしいって?
胡乱なことをほざく金ぴかをじとーっと非難がましく見てやった。
すると隣の極彩色のお供が美しい羽飾りのある腕をのべた。その腕そのものの美麗さもさることながら、所作も優雅ですばらしかった。まるで舞いのようだった。あんな状況でなければ余韻にひたりたかったよ。
「こちら、クシェビュイア国が王弟、シェスティハロルナディアス殿下にあらせられます」
……絶望した!
冗談じゃなく、血の気がひいた。
おうてい――王弟って……王様の弟ってことだよね? つまり王侯貴族ってことよね? え、それってこの手の中世風ファンタジーな世界じゃ逆らっちゃまずい相手TOP3に入るんじゃないですか?
え、なにこれ? 拒絶不可ってことですか?
めずらしい竜人族かつ王族を従えるなんて、なし崩しに国家的陰謀とかに巻き込まれるフラグにしか思えないんですけど?
え……ちょ、ちょっと待って、待ってよ……わたし、わたし静かに平和に暮らしたいだけ――
ごくりと唾をのむのが精一杯。
それはそれは大変失礼をばと、あらたまった挨拶をするだけの頭も働かなかった。
わたしが硬直したのを心配してだろう、それまですぐ隣で黙って成り行きを見守っていたレンハルトが強硬姿勢に打って出た。わたしを背にかばい、ドス低い声で鋭く金ぴかを咎めた。
「あんたは誓約に他者が口を挟むのをゆるすのか」
「ここは人族の地よ。彼らはそれを許すものだと思うたが? また、何処でも年長者が口やかましいのはよくあることではないか。それについても、若年者は耳を傾けてみせるのが人族の礼儀というものではなかったか。無論、ここが我らが土地であれば、誓約の儀については何人たりとも口出しせぬものだが、我が主と仰ごうという御仁が人族ならば人族の仕儀に従うまで」
滔々とくっちゃべる金ぴかに、絶対ウソだな、そう思った。
言いがかりかもしれないが。こいつ、えらいさん達の後押しをいいように利用してるだけだ。わたしへの影響力的にも、レンハルトからの非難の封じ込めにも。人族のならわしを尊重するなんて口先だけ。レンハルトを言い籠めて自分の意見を通そうとしてるだけ。
レンハルトはぐっと言葉に詰まった。背中がこわばったように見えた。きっと悔しいに違いない。
それを認識した途端、えらい攻撃的な気分になった。かばってくれてたレンさんの前に――はビビリだから無理なので、隣に並んだ。もふっとした腕をこっそりつかみながら。
以下は、カッとなってやりました、ってやつだ。
せっかく言質もとれたことだしね!
「……なるほど。そうですか。つまり、もし契約したら、人族であるわたしの流儀に従ってくださるというわけですね。ここにいるレンハルトと同じく粛々と仕えてくださると、そういう解釈でよろしいんですよね?」
レンさんいじめるヤツは ゆ る さ な い よ !
「それはそれは随分と譲歩してくださること。竜人族の方との契約ともなれば相当の優遇を期待されるのではないかと、わたくし怯えておりました。ええ。そのような厚遇の手配など一介の魔術師の手には余りますから」
にやついたりはしなかった。殊勝そうなまじめ面は得意だ。
「他の獣僕たちと同等の扱いでよろしいと言っていただけるのであれば構いませんとも。なにしろ我が家は部屋も余ってませんしね。まず相部屋で我慢していただかなければなりません。着替えだの何だの日常のことは各自でやってもらってますし、日々の糧を得るためには仕事もしてもらわないといけませんよね」
若干1名、なんもしてないひともいるけど……いいのだ! テレスさんは愛玩枠だから!
んん。ほかの人たちも愛玩してる(気もち的に)のはまぁおいといて。
「あぁそう、糧といえば。竜人族サマのお口にあう料理が如何ほどのものか、わたしには想像もつきません。料理人を雇う財力もございませんから、わたしと同じ食事をとっていただくことになりますよね。それでご納得いただけたらいいんですけど。味も量も、それほど破格のものをご用意することは、一地方都市住まいの魔術師風情には無理ですから」
アルトのごはんは美味しいけどね~。そこは伏せた。うちのごはん美味しいんだからね!なんて言ったら脅しにならん。王弟サマともなれば食の苦労はつらかろう。ほれほれ諦めなされ。浅はかな考えは捨てて。
「それこそ望むところ!」
えええぇええぇぇええええぇぇぇ。
「アサヒナ様。ご心配には及びません。ハル様は何でもご自分で御出来になられます」
「うむ。そうだぞ。何しろ人族の竜僕となるのはこれが二度目であるからな」
極彩色さんのフォローもむなしい。金ぴかの相槌などもっとむなしかった。
ああ……やっぱ「りゅうぼく」なんだ。そうか。思わず流木って漢字変換しちゃうな。まぁこれは、獣僕もそーだけど、わたしの脳内翻訳だけの話で……。
つい現実逃避しかけて思考がよそごとに流れた。
って、あれ? 二度目?
「お食事につきましても問題なく。こちらに着きましてから、表通りから下町まで食べ歩きなど致しましたが、前回のご契約滞在時にて嗜まれた感覚は鈍っていなかったとのことでした」
竜人族は人族と契約した例がないんじゃなかったんですかーーー!!
そりゃ契約できるってわかってるってことは、あるにはあったんだろうけどさ。滅多にないだけで。
前回っていつよ? どうしてそんな話が世に伝わってないのよ?
「ああ、前回のご契約はとても長閑な地にてのご滞在でしたので……」
極彩色さんはびっくり仰天してるえらそうな魔術師さんに補足説明をしてあげてた。金ぴかも意外と律儀に説明を追加した。ひとに自分の話を聞かせるのが好きなだけのような気もするが。
「もう7、80年は前のことだ。前主は独居にて人づきあいも断っておったからな。我はふもとの村々にも参ったが、あまり歓迎されぬでなぁ。食事や買い物とやらをしただけで、ご近所づきあいというものはとんと」
「前主殿はご老体でしたから、ハル様のご滞在も十年に満たないほどでございました」
「此度はまだ肉も柔らかそうな娘御だ。少しは長く居られるであろう」
やめいっ! なにが肉も柔らかそうだ! 生々しいどころかグロイんだよぉおおおおお!
「八十年ほどはいけますかね?」
「百まで生きる人族は珍しいそうだ」
「然様でございますか。さすがはハル様、よくご存知で。では五、六十年といったところですかね」
気軽にひとの寿命の話をしないでほしい。不躾だろ、おい。
憮然として二人の会話を聞いていたら、金ぴかがピカッとした笑顔らしき表情でこちらを向いた。向き直ってもやや斜めに構えるのは竜人族ならではのクセなのかもしれない。
金色猫目で、ひたとわたしを見つめた。
こわい。こわいよ。喰われそうだよ。
あの時、レンさんが背中に手を当てていてくれなかったら、あからさまに後退ってたと思う。
「さて、アサヒナ。ここで一考してもらおうか。我との契約を拒む理由は無くなったな?」
「……ありますよ」
「ほう。何だ。申してみよ」
「べつにこれ以上の助け手を必要としていません」
「これより必要になる」
「何故?」
「我に契約を求められたと知れれば、そなたに興味をもつ輩が格段に増えるからだ。竜人族の護りが必要となる」
え、それなんてマッチポンプ。
呆れ果てた。
そこそこ気位の高そうなこの金ぴかが脅し文句めいたことまで口にして得たいものって何なんだろう。どうも違和感があった。わたしの竜僕って立場がそんなにイイモノだとは思えなかった。
「我と契約せよ、アサヒナ。……返事は?」
「はいはい」
返事は一回! とは言われなかった。竜人族的にはどうでもいいことなのだろう。
わたしにうんと言わせるっていう、己の願いは達成したんだもんな。
「それで……」
極彩色さんに問いかける。
「竜人族のお手入れってどうするんですか?」
極彩色の鳳凰さんは大きく満足げにうなずいた。我が意を得たり、ってな気もちだったのだろう。
だってほら、何でも出来るハル様とはいえ、やんごとなきご身分なわけだし。まったく世話をされなかったら、みすぼらしくなっちゃうかもしれないじゃない。それまで面倒見てきた身としては心配じゃない。
生きもののお世話だ、手は抜けない。たとえ押しかけ竜僕であっても。
心底あきれた、とでも言いたげに、テレスは深いため息をついた。ヤマネコたんなので鼻息で。おひげもひこひこしてた。やれやれ顔なのに、鶯色の瞳はふしぎと艶めいて見える。
「何でも拾ってきちゃダメだって言ったよね、主」
「言われてないし。拾ってないし」
口応えしたら、ほっぺたつつかれた。ぶに。ついでになでなでされた。手の甲で。もふふ。
たぶん外での騒ぎに気づいて様子を窺いにきてくれたんだろう。加勢がいるかどうかの確認に。
ふつうなら、テレスさん、真っ先にお出迎えするようなタイプじゃないもんね。
まだギスギスごたごたしてるようなら、場をひっかきまわして気をそらすとかするつもりだったんじゃないかな。何もしなくてもテレスが居るだけで多かれ少なかれ気は散らされるしね。
そこまでの状況じゃなかったから、ご褒美に撫でてくれたんだろう。ん。ご褒美でいいのか。……いいか。もっと撫でてほしかった。癒されたかった。あとでレンさんに頼もうと思った。
「主、お客様?」
「あ、うん。……うん……(なんか腑に落ちないなぁ)」
「応接室でいいよね」
こちらへどうぞ、とテレスは態度をわきまえたものに変えて廊下を先導した。
えらそうな魔術師さんも感心していた。
「見事な毛並みだ。手入れが行き届いていると見える」
一部は王弟だという竜人族様へのアピール(コイツしっかりやってますよ的な)もあったんだろうけど、テレスを誉められて悪い気はしなかった。レンさんだって毛並み美しいだろ、誉めてくれよと思わなくもないが。テレスにばっか目が行っちゃうのは仕方ないか。
よくある世間話は出来そうもなかったので、獣僕のお手入れについて思うところを語り合った。
ううーん……毛艶は本人の健康についてくるものだと思ってるので……特定の食物に偏食させるのは一定の効果はあるかもしれませんが、ばっかり食いはストレスが溜まるのでは……食性にもよりますが、やはり旬のものをとりいれた幅広い食生活には意味があると……。
思いがけず有意義な会話になった。ふむふむ。そうかー。
ん?
ああ、金ぴかね。金ぴかとは契約したよ。
ひとまえでお腹出すのはムリと渋ったら、布の一枚二枚で遮られることはないとかで。
派手だった……実に派手だった。
誓約のときの光の乱舞はもう目がつぶれるかって目映さでもう。
あとで確認したら、金ぴかだけに金色の模様でした。ドラゴンらしく雄々しく猛々しく。
さくっと済ませてギルドのひとや魔術師さんには帰ってもらった。
以降は夕方の約束まで時間が空いた。散々待たせたメルトを捜して(いじけて隠れてた)出掛けようとしてたら、今度は魔力をよこせーよこせーとうるさかったんだよね、金ぴかが。それを「後で!」と一蹴して。
ああ、なるほど。あれを「待て」と言われたと思ったわけか……。
ちょっと短気でした?
うん。短気だった。しつれーだった。
テオドール相手のときもそうなんだけど、なんかどうも怖いなって思うひとには攻撃的になっちゃうんだよなー。逆ギレっていうか、弱い犬ほどよく吠えるっていうか。テンション高めに保ってないと気をのまれるっていうの?
金ぴかについても、なるべく関わりあいを少なくしたいと思う余り態度がおかしくなる……。
それが露骨すぎたようで、テレスさんには笑われた。
「それにしても、めずらしいよね。主がひとをあんなに無碍にあつかうなんて」
「う……たしかに態度わるかったデスよ」
王都観光しよう!と目抜き通りに向かう道すがら。もごもごと反省を口にしたら、頭ぽんぽんされた。ぬ。今日のテレスは保護者モードだったのかもしれない。
「あっちも大概だし、いいんじゃないの」
だよね! ひと脅しといてやさしくしてもらえるはずないよね!
あやうく声に出しかけたが、物騒な話だし、ぐっとこらえた。メルトがいたので。
メルトはテオドールに肩車してもらいながら、あっちこっちきょろきょろと見回してた。しっぽ、ぴーん。機嫌なおってよかった。あ、肩車はわたしが頼みました。興奮してて自分で歩かせとくと迷子になりそうだったもんで。
きらびやかなお店が並ぶメインストリートをぶらぶらっと抜けて、王城見物(正面の門をかなり離れたとこから眺めただけw)して、大きな鐘のある時計台を見学(これは中も入れた)した。
お昼ごはんは下町のお店。店頭にテーブルセット出してる、獣僕OKなとこで。
オススメはやけに具だくさんなホットサンドで、味も食べごたえも大満足。飲み物はクァティのジュースにした。レモンとマスカットを混ぜたみたいな味でお気に入り。
男性陣は大きな焼き鳥(骨つきトリモモ肉)も平らげてた。味見させてもらったら、ジャークチキンっぽかった。焼き鳥についてきた焼き野菜は、お肉といっしょにオーブンで調理されたものらしく、香ばしくて甘くて、とろとろだったり、ほくほくだったりした。
「主はお野菜好きだよねぇ」
アルトはお肉好きだよねぇ。柴わんこだから? みよしさんは大根とかキャベツもよろこんで食べてたよ。
お昼のあとはメインストリート以外の、獣僕さんたちも入って大丈夫なお店をまわった。
武器・防具や魔道具のお店なんかはどこでも大抵入店OKだ。お客さんも店員さんも、魔術師や獣僕に慣れてるので。それでも表通りにお店出してるようなとこだと相当きちんとした服装じゃないと入りにくいフンイキではある。ええと、舞踏会の時みたいな盛装なら大丈夫そうなんだけど……あのカッコでショッピングなんて目立つなんてもんじゃないよねー。ムリムリムリ。
お土産もの屋さんはどうかなぁと店先をチラ見してたら、さすが観光地、どーぞどーぞと入れてくれた。都会はちがうなー。おかげで目当てのものが見つかった。女性用のお土産は買うもの決めてたんだ。
結晶花のコサージュ。ええと、ナンタラゆー薬品を水の中に入れておくと花みたいな結晶ができるんだって。それをまたナンタラって薬品で安定化させたもの。色形ともに多種多様の結晶のお花が手軽に作れちゃう。むかし王都の工房が発明して売り出して以来、王都土産の定番になってる。
若いお嬢さんでも買えるような手頃なお値段で、結晶だけにちょっとずつ違ってて種類が豊富。髪飾りやブローチをいっぱい買った。自分用には髪ヒモを購入。たまに髪をくくることがあるんで。こういう実用的な方がいいってひともいるかと思って、それも追加した。
同じ技術をつかって、より華やかに造られた高級品もある。色とか形とかこだわってね。お土産ものはコインくらいの小さな花なんだけど、本格的な工芸品はだいたい手のひらサイズ以上。それを複数くみあわせてたりもする。
男性へのお土産は消えものだな! お菓子とおつまみになりそうな乾物でも買って行こう。子どもたちにもお菓子だ。まだ滞在日数があるから、それはまた今度にした。
いい買い物ができたとほくほくしてたら、店の奥(バックヤード的なとこ?)がざわついた。丁度買ったものを包んでもらってるとこだったので、なんとなく耳を傾けてしまった。困りごとっぽかったし。
「……どうかしたんですか?」
眉をさげて奥から戻ってきたもう一人の店員さんに尋ねる。
「いえ、それが……あ! お客さん、魔術師さんですよね!」
「え、ええ」
「すみません、お時間あったら、少しばかり魔力を分けていただけませんか!」
まさしく結晶花をつくってる工房で魔力不足が起きてるそうだった。
契約してる魔術師さんが急遽、結界修復に駆り出されてしまったとか。即位式関係で人手不足気味らしく、代わりの魔術師さんもすぐには見つからず、魔力のこもった魔石の類は高価すぎるしで困ってると。
図らずも、この日の王都観光は工房見学コースと相成りました。
棚いっぱいに並んだ出来かけの結晶花入りのビンとか壮観でしたわー。わたしが買ったお土産もの程度の大きさだと3日くらいで出来るそう。静かに置いとくだけだけどね。その際、敢えてかき混ぜたり、揺らしたりして造った変わった形のものもあるけど、あまり一般ウケしてないそうな。たしかに地味だ……メンズならこっちの方がよさそうだけどね。
で、わたしのお仕事は、お貴族様向けの特注品。えええー。そんな高級品を?
あ、結晶を安定化させるのって魔力で反応起こしてんだってさ。小さいものは短期間で出来るし、観光客が増えることは見越して在庫も蓄えてた。でもこの仕事は急ぎで頼まれたらしく……。
いま王都じゃ、ぱーちーとかいっぱいあるからかな? わたしも出たぜーと思いつつ、おそるおそる特大ビンに触ってみると、いつものイケる!って感じがしたのでやってみた。不発で失敗しても薬品の在庫もあるからと言ってくれたんで。
ちゃんと成功しました。チートべんり!
気分よかったんで他にもあればーって申し出て小さいのたくさんもやってあげた。へへへ。これがあのキレイでかわいい商品になるのね♪
お礼に小さな結晶花をいくつか貰いました。試作品だという変わった形のも。やった!
そんなこんなで時間は過ぎ、最後にアイスクリーム屋さんで買い食いしつつ、叔父サマ宅へ戻りま――せんでした。わたしとレンハルトとテオドールは。家の前までメルトたちを送って、無事になかに入るまで見守ってたけどね。(過保護? でも都会はこわいからね! え、それが過保護ですか?)
うるさい金ぴかにつかまらないよう、そのまま踵をかえしてギルドへ向かった。
遼平さんとの約束は、夕方ギルドの前でってことだったんで。
いつもはわりと常識人で、わたしがヘンなことするとたしなめるレンさんだけど、このときは何も言わなかった。レンさんもあの金ぴかのことは気に喰わないのかもしれない。
で、あとは遼平さんたちと居酒屋でお話して……。
今度こそほんとうに帰宅したらば。
増えていたのである。
竜人族サマが。
おいいいいいぃいぃぃいいいいい!
すごくめずらしいんじゃなかったのかよおおおおおおおぉおぉおお!!




