1 祖父の独り言
儂はマイノール辺境伯の前当主、グラバー。
どうしてこうなった。
儂には息子が2人。
長男ノイバーは優秀だった。学園で良い結果を残し、その時に出会ったマリアンナと結婚した。義娘になったからマリアンナと呼ぶようになったが、彼女は隣国の第2王女だった。この国では魔法を使える者はほとんどいないが、隣国では貴族なら魔法を使える者が多いと聞いている。その中でも彼女の魔力量は莫大で、王位継承者問題へと発展した。何度か命の危険にあった彼女は陛下と話し合った結果、この国に留学することになった。
結婚式はこの国の王族 (1学年下に王太子がいて、婚約者がいるのにマリアンナを狙っていたらしい )、隣国の王族( 王位継承で揉めていたのに )も参加する事になり、予定していた式よりも大きく、華やかになった。
そんな緊張の結婚式も無事に終わり、2人の仲も順調ですぐにマリアンナは腹に子供を授かった。日々が順調で笑顔で溢れていた時に、突然不幸が襲ってきた。
儂の最愛の妻と長男ノイバーが馬車の事故で2人とも亡くなってしまった。
妻と長男がいなくなった屋敷は暗く、儂は悲しみでどうにもならない放心状態だったが、マリアンナの方が先に立ち上がり、泣きながらの叱咤激励を受け、葬式の手配をした。
どうにか終わらせたが、無気力になって落ち込んでいる状態でいることもできなかった。マリアンナの今後を決める事と、次男のハイヤーを次期当主として据え、鍛え直す事だ。次男もスペアとして教育を受けていたし、辺境伯騎士団の中での剣の実力は長男よりもあったので申し分なかったが、今までとこれからでは心構えから違ってくる。ハイヤーも母と兄が亡くなって落ち込んでいたが、状況と立場を受け入れ次期当主としてなんとか前を向き動き出した。
我が国の王太子がマリアンナを妻に迎えたいと内密に言ってきたが、王太子には来月に挙式予定の公爵家の婚約者がいる。コイツはアホか? それともバカか? 国を混乱させたいのか?と本気で言ってやろうと思っていたが、流石に陛下からお叱りを受けたらしい。陛下はまともでホッとした。
隣国からは第1王子と第2王子は嫁いだのだから帰ってくるなと言い、陛下と第1王女は帰ってきても良いと言ったが、王妃様の言葉はこちらに届いてこない。まだまだ継承者問題でギスギスしている感じがひしひしと伝わってきた。
おー、怖い。
マリアンナが悲しみの中で、考えを巡らせ、出した答えはハイヤーとの結婚だった。
幸いハイヤーに婚約者はいなかった。儂と2人きりの時にハイヤーに確認したら、好いた女性もいないと返事があり、マリアンナを嫁に迎える事も受け入れると答えた。
ハイヤーには悪いが、マリアンナは2度目の結婚になるので教会で簡単に終わらせた。隣国の状況と、王太子がバカな事を言う前に、マリアンナといつ産まれてもおかしくない腹の子供をを守る為には婚約期間を飛ばして、直ぐに婚姻しなければならない状況だった。
ハイヤーと結婚してから1週間後、マリアンナは無事に出産した。性別は男でノルンと名付けられた。金髪碧眼のマリアンナの色ではなく、紺の髪色に紫色の瞳を持つ儂や息子2人と同じ色を受け継ぎ、ノイバーとマリアンナのそれぞれに似た顔立ちで、とても可愛らしい初孫だ。
それからやはりと言うべきか、魔力もマリアンナ程はないと言っていたが、隣国に行けば魔力量で爵位がもらえるくらいはあるという量の魔力が息子ノルンへ受け継がれた。
儂には魔法の事はさっぱりわからんが、攫われないように守るとハイヤーとマリアンナに誓った。
ハイヤーとマリアンナの夫婦関係も、最初はぎこちないものだったが、時を重ねて行くにつれ、自然な感じになった。これなら辺境伯家も安泰だとハイヤーに当主を譲った所で次々に問題が起きた。
あー、もう面倒じゃ。
いいか? 一気に言うぞ?
まず、マリアンナのストーカー?って感じの男が隣国から来た。ハンサムな男だったが、気持ちの悪い男だった。
マリアンナが妊娠し、金髪碧眼のマリアンナにそっくりな女の子を出産してアルマリンと名付けられた。魔力量はマリアンナよりもあるそうだ。
え? なんで?
マリアンナは一時姿を消して、その後亡くなってしまった。
この件がややこしさを倍増させたな・・・。
ハイヤーにもストーカー?って感じの我が国の子爵家の女がつきまとうになって、子供ができたから責任をとれと言ってきた。
どうしてこうなった???
産まれた子供は色も顔も全く似ていなかったが、その後ハイヤーは再婚する事になった。
儂は反対した! まだ儂が当主でいるべきだった!
ノルンとアルマリンは儂が生きている限り守ると誓えるが、あの孫は可愛がれる自信が儂にはない。
ねぇ、誰か儂に教えて。
どうしてこうなった???




