あとがき
最後まで読んでくださり、誠にありがとうございます。
この物語は、「女性が仕事で生きるとは何か」という自問から始まりました。
現代では、女性の社会進出は進んできています。
そこで、もし幕末に仕事一つで生き抜く女性がいたら、勇気を貰えるのではないかと考えました。
ヌイは、遊郭に売り飛ばされそうになった夜からウィーンに針目が届く日まで、一度も針を置きませんでした。
それは意地ではなく、信念でした。
信念を貫くということは、自分であり続けるということ。
それは、幕末も令和も、変わらないものだと私は思っています。
タイトルにも含まれている『世界を縫え』は、惣兵衛の想いそのものです。
この物語は、惣兵衛の遺言から始まり、針刺しの底に隠された手紙で終わります。
惣兵衛は作中では早くに亡くなり、直接の登場場面はほとんどありません。
惣兵衛がヌイに教えたのは裁縫の技術だけですが、彼の残した“見えない糸”がヌイの物語を紡いでいました。
そしてヌイは、『世界を縫え』という、惣兵衛から託された“夢”を、十年以上かけて果たしました。
また、時代の変化の中で、ミシンという画期的な機械が日本に伝わりました。最終的に、ヌイは自分の信念を貫きつつも、ミシンを活用するという選択をします。
もしみなさんがヌイだったら、どうしたでしょうか?
現代においては日々新しい技術が生み出され続けています。この作品を通して、「新技術とどう共存するか」を考えるきっかけとなってくれれば幸いです。
改めて、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。




