登場人物
夏姫 ・・・本作の主人公。鄭の穆公と少妃姚子のあいだに生まれた公女。夫の家名「夏」と母国の姓「姫」を合わせて夏姫と呼ばれる。春秋時代を代表する美女として名を残し、「三夫・一君・一子を殺し、一国・二卿を亡ぼす」と史書に記された。しかしその実態は、美しさゆえに権力者たちに翻弄され続けた、愛と平穏を渇望した一人の女性であった。
鄭の穆公 ・・・夏姫の父。鄭の君主。娘の美貌が引き起こす宮中の混乱を恐れ、遠ざけるように夏姫を陳へ嫁がせた。
夏御叔 ・・・夏姫の夫。陳の大夫。温和な人柄で夏姫を大切にしたが、早世した。その死が夏姫の受難の始まりとなった。
夏徴舒/子南 ・・・夏姫と夏御叔のあいだに生まれた息子。母への侮辱に激怒し、紀元前599年に陳の霊公を射殺して自ら陳侯を名乗ったが、翌年、楚の荘王に討伐されて車裂きの刑に処された。
陳の霊公 ・・・陳の君主。夏御叔の死後、夏姫に通じた。孔寧・儀行父とともに淫行にふけり、前599年、夏徴舒に射殺された。
孔寧 ・・・陳の大夫。霊公とともに夏姫と私通し、その関係を公然と誇示した。霊公射殺後、楚に亡命。
儀行父 陳の大夫。孔寧と同様に夏姫と私通した。霊公の宴席で「夏徴舒は君にも似ております」と口走り、徴舒の怒りに火をつけた。
楚の荘王 楚の第二十三代君主。春秋五覇の一人。前598年に徴舒の乱を口実として陳に侵攻し、徴舒を車裂きにして夏姫を楚に連行した。夏姫を後宮に入れようとしたが、巫臣の諫言により断念した。
連尹・襄老 楚の重臣。荘王が夏姫を与えた人物。前597年の邲の戦いで晋軍に射殺され、遺体を奪われた。
黒要 襄老の息子。父の戦死後、継母である夏姫と通じた。
申公巫臣/屈巫 楚の重臣。智謀に長け、荘王・子反に夏姫を娶らぬよう諫めながら、自身は深く夏姫を想い続けた。巧みな外交工作で夏姫を鄭へ帰国させ、前589年に全てを捨てて夏姫と晋へ亡命。晋では邢の大夫として重用された。二人のあいだには娘が生まれ、後に晋の賢臣・叔向(羊舌肸)の妻となった。
子反/公子側 楚の荘王の弟にして将軍。夏姫を欲したが巫臣に阻まれた。巫臣の亡命後、怒りから巫臣の一族を楚で粛清した。
洩冶 陳の大夫。霊公と孔寧・儀行父の醜聞を諫言したために、孔寧と儀行父の手で殺害された。
no+e「小説 傾国の花 ―夏姫伝―」
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