1 お約束の白い部屋
まばゆい光が収まったとき、私ーー龍崎しおりと、高校時代からの友人である十鳥アキは、大理石のような床が広がる「真っ白な空間」に立っていた。
「……うそ、でしょ」
アキが唖然とした声を漏らす。彼女の視線の先には、背中に大きな白い翼を生やし、神々しい光を放つ絶世の美女が浮いていた。
『ようこそ、来訪者よ。私はこの世界を統べる女神ーー』
「キタアアアアアアア!!!」
女神の言葉を遮って、私は拳を突き上げた。
私の本職はライトノベル作家。ペンネームは『しおりん星人』。主に異世界転生・召喚モノを主戦場にしている業界人だ。
「ちょっと、しおり!? 何よここ、あのコスプレお姉さんは誰!?」
「落ち着いてアキ! これは数多のラノベで擦り切れるほど描写された『神界の面談室』よ! つまり私たちは今、異世界召喚のスターティングラインに立っているの!」
私は興奮冷めやらぬまま、浮いている女神に向かって指をさした。
「さあ女神様! 挨拶は省いて本題に入りましょう! 魔王を倒してほしいんでしょ? 私に与えられる『初期チートスキル』は何!? 『全属性魔法』? それとも『ステータス一万倍』!? ちなみに私は脳内プロットが完璧だから、内政チートでも無双できるわよ!」
女神は完全に引いていた。美貌を歪ませ、少し引き気味にパタパタと羽ばたいている。
『え、あ、ええと……。大変ノリが良くて助かります……。では、そちらの熱い要望に応えまして、あなたには【あらゆる概念を文字として具現化する特級スキル】を授けましょう』
「最高!!! 完全に主人公の能力じゃん!」
『そして、もう一方の……十鳥アキさん、ですね? あなたには、その……余り物ですが【物理攻撃をすべて100倍にして反射するパッシブスキル】を……』
「余り物のレベルがおかしいでしょ」
アキの冷静なツッコミを置き去りにしたまま、私たちの足元に魔法陣が輝きだした。
「待って、まだ心の準備が!」と叫ぶアキの手を握り締め、私は満面の笑みを浮かべた。
「大丈夫よアキ! 異世界の歩き方は、この私が一番よく知っているんだから!」
私たちは、またしてもまばゆい光に吸い込まれていった。
なろうに、読み専の私が初投稿、初長編(予定)です。
週1〜2回の投稿になりますが、よろしくお願いします。




