表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
3/5

うぶめ

 綾さんから渡されたシフト表を見る。


 俺は基本的に昼勤務だが、金曜の夜だけは夜勤務がある。


「金曜夜って固定なんですね。七緒さん、何か予定でも?」


「ロードショーとか見たいからね」


 何だ、そんな理由か、と思った。





 金曜日、17時55分。


 早めの夕食を簡単に済まし、俺は、あやかし古書店に到着した。


「よろしくお願いします」


「はい、よろしく」


「じゃ、頑張ってね」


 七緒さんがバイトを上がって帰っていく。ロードショーを見に行くのだろう。




 いつも通り、化け蛙のオトさんが来店する。


 夏目漱石を順調に読み進めているようだ。




 オトさんが帰って数十分が経った頃。


 白い着物の女性が来店した。赤ん坊を抱いていた。


 よく見ると、腰巻が血に染まっている。


「あの、大丈夫ですか?」


「ああ、これですか。仕様ですので。痛くはありませんのよ」


「そうですか」




「彼女はうぶめ。難産で死んだ女性の霊が妖怪化したものさ」


 綾さんが教えてくれる。




 うぶめさんは店内をキョロキョロと探した後、俺に話しかけて来た。


「この子に読んであげる絵本を探しているのですが……」


「絵本ですか……」


 初めてのリクエストだ。この乱雑な並びの書棚から絵本を探し出すのは難しいように思われた。そもそも絵本なんて置いてあるのだろうか。


 お客様である、うぶめさんと一緒に探す。




「綾さん、ここ絵本なんて置いてあるんですか?」


「あるよ。少ないけどね。探してみな」


「手伝って下さいよお」


「頑張れ。これも仕事だ」




 十数分探し回って、やっと見つけたのは「夢水四季」とかいうトンチキな作家の絵本だった。


 題名は「ヌートリアは悪くない!」。何だ、これは。


「あの、こんなのしか見つからなかったのですが……」


「大丈夫です! ヌートリア面白そうじゃないですか!」


「えっ、これでいいんですか?」


「はい!」


 確かに、表紙の絵はポップで面白そうといえばそうかもしれないけれども……。




 うぶめさんは「ヌートリアは悪くない!」を買っていった。


 楽しんでくれるとよいが……。




「綾さん、もっと定番の絵本を入れた方がいいんじゃないですか?」


「そうかねえ……。まあ考えておくよ」


「よろしくお願いします」

「ヌートリアは悪くない!」はカクヨムで読めます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ