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鬼

「いらっしゃいませ~」


「こんばんは」


 今回のお客様は分かりやすい。


 頭に二本の角が生えていて、虎模様のパンツを履いている。


 鬼だ。こてこての鬼だ。


「何か、お探しですか?」


「そうですね。良い鬼が出て来る話とか……」


「良い鬼ですか」


「はい。いつも私達、鬼は悪者として描かれてきました。古くは酒呑童子退治絵巻、近年は桃太郎の悪役。そういえば、最近、近所の子どもから何とかの呼吸・壱の型とか言われて追い払われたこともあります。あれは何だったのでしょうか?」


「ああ、鬼滅の刃ですね。今流行りの漫画です」


「そうだったんですか」


「それで、良い鬼が出て来る話ですよね。……『泣いた赤鬼』とかはどうでしょうか?」


 俺は絵本コーナーから一冊持ってくる。


「泣いた赤鬼? 鬼がいじめられるのでしょうか?」


「いえ、そういう訳ではなく……。とりあえず読んでみてください」


 鬼は、その場で絵本をパラパラと捲る。


「あ、ああ……」


 最後、青鬼が赤鬼のことを思って去っていく場面で涙を流す。


「切ないですけど、良い話ですね。この絵本、買っていきます」


「はい、ありがとうございます」



『鬼滅の刃』でも、鬼になる者は元々、悪人ではなかった場合が多かったですね。

鬼を単純に悪として描かないところ、良いですね。

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