ショッピング!
街でショッピングー
街に着き、馬を預ける。
『わぁ~素敵!』
レンガ造りの建物が建ち
色んなお店が並んでる。
たくさんの人や獣人がいる。
野菜のお店に果物のお店
魚屋さんにお肉屋さん
お花屋さんお菓子屋さん
少し離れた所に
服屋さんに靴屋さん
本屋さん、武器屋さんもある!
わくわくしてどんどん進んでいると
パシッと腕を掴まれた。
「おいっ勝手に離れないでくれ」
『あっごめんなさいっ
あまりに素敵でっ』
「時間はある、ゆっくり見て回ろう」
クインス視点
無事街についた。道中地獄だった。
アキの柔らかい身体が自分に密着していて
石鹸の良い香りの中に花のような匂いも混じって
理性を保つので必死だった。
アキは良く謝るし、感謝の言葉を
言ってくる。それが妙に惹かれる。
ここの女たちは、母は例外だが
偉そうなやつが多い。
大事に大事に甘やかされ
ワガママ放題の女が多いのだ。
だから今までの縁談は断った。
弟達も同じだろう。母をみて育ったのだ。
ワガママ放題の女たちは合わない。
だが、番ということを別にしても
アキは魅力的だ。
感謝の言葉を言い、いつも謙虚だ。
今も街をみて、嬉しそうな顔も
みている者の目を惹く。
「おい、みろよ!あの子めっちゃ可愛いぞ!」
「珍しい瞳の色と肌だな」
「しかも、夫がいる証もないぜ!!」
まずいな。男どもが目をつけだした。
慌ててアキを追いかけ腕を掴む。
無邪気で可愛いが、もう少し警戒してほしい。
早速、俺から離れているし。
「ちっ」
「夫候補がいるのか」
さっきの奴らが舌打ちをして睨みつけてくる。
アキは街に夢中で気づいていない。
とりあえず、こっちも睨みつけておく。
男どもはビビったのか
目をそらして逃げていく。
はぁ、街に入ってすぐこれか。
先が思いやられるな…
クインス視点終了
『クインスさん!
あっちにも行ってみましょう!』
私は興奮して、彼の腕をひっぱる。
「少し落ち着け、街は逃げないし時間はある」
『ごめんなさい!』
「まず、必要な物を買おう。
街を見て回るのはその後でも時間はある」
『わかりました!じゃあまず、子ども達の服!
みてもいいですか?』
「あぁ、いいぞ。行こう。」
それから私たちは必要な物を
色んなお店に行って買った。
荷物は全部、明日家まで届けてくれるらしい。
『本当にすみません。
全部買ってもらっちゃって。』
「気にするなって言っただろう?
こんなもんでいいのか?他に必要なものは?」
『もう大丈夫です!
あ、一カ所行きたい所があるのですが・・・』
「どこだ?」
『換金所にこれを持って行きたいんです』
「それは・・・涙の宝石か。」
『はい。』
「何か他に必要なものがあるのか?
金なら出すぞ。」
『いえ、これを換金して
皆さんにお土産を買いたいんです。』
「そうか。わかったよ。
俺が換金してきてやる。
女のアキが行くと怪しまれる。」
『わかりました。お願いします』
「そこのカフェで待っててくれ。
女店主もいるから安心だ」
『はい!カフェで待ってますね!』
クインスさんと別れてカフェに向かう。
カランカラン
「いらっしゃい。あなた一人?」
30代くらいのキレイな獣人のお姉さんだ。
『いえ、連れがいるのですが、
ちょっと私が用事を頼んでしまって』
「そうなの?ここ、どうぞ座って」
『ありがとうございます。
素敵なカフェですね!』
「ええ、旦那達とやってるの!」
『そうなんですね!
あ、じゃあおすすめの紅茶いただけますか?』
「もちろん!少々お待ちを!」
カランカラン
「すみません」
『はい?』
獣人の男性が声をかけてきた。
「獣人のクインスの連れの子だよね?」
『はい、そうです。
クインスさんのお知りあいですか?何か?』
「クインスに頼まれて呼びにきたんだ」
『えっ?』
「すぐ戻れそうにないから呼んできてくれって」
『なるほど!わかりました!』
「お待たせ~」
『すみません、連れに呼ばれてしまって!
すぐ行かないと。』
「そう、紅茶是非飲んで欲しかったんだけど。」
『ほんとにすみませんっ
また後でお邪魔してもいいですか?
あ、あとお代を。いくらでしょう?』
「お代はいいわ!また絶対きてね!」
『そんな、いいんですか?』
「ええ、約束よ!」
『ありがとうございます!
絶対また来ますね!!』
『すみません!お待たせして』
「いや、大丈夫だよ。こっち、ついてきて」
『はい』
獣人の男性についていく
『あの、こっちなんですか?
ここって裏路地?』
すると獣人の男性がいきなり振り返り
『んー!!』
口に布を当てられる
『んー!んー!』
何、なんだか意識が!涙が一粒こぼれる。
「眠ったか。ははっ運がいいぜ!
王都で有名なクインスを見かけたと思ったら
こんな上玉も一緒だなんてな!
しかも、簡単に嘘に騙されてくれてよ!
よし、このまま根城まで連れて行っちまおう。
早くしねーとバレちまう」
獣人の男は、アキを担ぎ上げ
自分の馬に乗せ街から出て行った。
クインス視点
アキをカフェに行かせて換金所に急ぐ。
あのカフェは、女店主がいる。
気さくで一人の女がいたら相手をするはずだ。
換金所は思いのほか混んでいた。
換金が終わったのは、アキと別れて
30分後くらいだった。
「時間がかかった!」
カランカラン
「いらっしゃい。あら?クインスさん久しぶりね?
ここの席どうぞ!」
「いや、ここに黒い瞳の女がきてないか?」
「あぁ~あの可愛い子!
来てすぐ、獣人の男の人が呼びにきて
行っちゃったわよ?
連れがいるって言ってたけど、
その連れの知り合いだったみたいね」
「なんだと!?くそっ」
「なに、どうしたの?」
「あいつはこの街にはじめてきた。
連れは俺だ。
俺の知り合いにあいつを知ってる奴はいない」
「そんな!誘拐されたってこと!?」
「まだわからんが、いやな予感がする」
カランカラン
どこにいったんだ!?
とりあえず、その辺のやつにきいてみるか
「おい、すまないが
茶色の髪に黒の瞳の女をみなかったか?」
「あぁーさっきみたぞ!
珍しい瞳と肌の色だなーって思ったんだ」
「どこにいった!?」
「獣人の男と裏路地のほうに行ってたぞ」
裏路地に入る。誰もいないか。
「?なんだ」
何かが光った気がする。
近づいてみると涙の形の宝石だ!
「ここにいたのか!!」
どこにいったんだ!くそ!!
「いた!ちょっと!!」
カフェの女店主と人間の男
「なんだ」
「あなたが探してる子!
旦那が見かけたらしいの!」
「どこで!?」
「街の出口で、獣人の男の馬に乗せられてた。
眠ってるのか目を閉じてたが、肌の色が珍しくてな。
妻が騒いでるから聞いたらたぶんあの子の事だろう」
「どっちに向かった!?」
「王都の方角だったぞ」
「わかった!助かった!」
「ごめんなさい!私がもう少し引き止めてたら」
「いや、一人にした俺が悪い。
情報助かった。ありがとう。」
急いで、馬小屋に行き馬を受け取る。
ここから王都まで街や村はない。
だったら行き先は確実に王都だ。
急がないと!!
だが、獣人の男は誰だ!?
ただたんに女欲しさの行動か、
王都の奴なら
俺の名前を知ってても可笑しくはない。
とにかく、早く王都へ!!
主人公、誘拐されちゃった!
ありがちな展開ごめんなさい。