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鎖国

言い掛かりのお触れが出された後、事の真意に気づいたジーク達はロッツフォードで暴動を起こさせるわけにはいかないと迅速に行動に移した。

まず、町の門番だけでなく通行可能な場所、つまり街道に関所を設けて出入りする人間を管理すようにしたのだ。ロッツフォード領内で窃盗が発生したと適当な理由をでっち上げたのだ。居もしない被害者まで作るよう念には念を入れた。他にも犯罪者集団がロッツフォードに潜伏しようとしていると言う偽情報まで流した。さらに、領内の巡視を強化した。幸い未開拓地がすぐ側であるためいくらでも言い訳が立つ。他にも国民が暴徒化しないようにファニスを中心として情報操作に乗り出した。

ジークは忸怩たる思いだった。

(どうしてこういつも後手に回る! 俺の意図に気づいた誰かが裏で操ってるんじゃねえだろうな!? ホントにこれじゃあ独立が泡沫の夢となっちまう! 何とかしねえと! いつまでもこの泥舟に掴まってらんねぇってのに!!)



スイストリア王国宰相ベリガン=ヨルバーニは期待していた。

国民が暴徒化しロッツフォードへその怒りを向けることを。

紡績業を始めとする数々の産業を国営として利潤を上手く吸い取る事を。

一歩間違えばここ王都で暴動が起こるかもしれないという可能性に気づかず都合のいいことだけを夢想していた。



スイストリア王国宮廷魔術師ガンド=ヘルバーニは不安だった。

国民の怒りが王家はおろか自分達に向かないかと。

奪い取った産業を自分達で御しきれるのかと。

都合のいいことなど夢想できなかった。

他にも手を打とうと行動に移した。



スイストリア王国騎士団長アモンデス=ヘルバーニは浮かれていた。

やっと「自分の」スィーリアを取り戻せると。

彼女は自分にこそふさわしい。

聞けばジークは他にも美女を多数囲っているらしい。

全て俺のものにする。

およそ貴族には相応しくない下卑た笑いをうかべた。



スイストリア王国国王フブカ=スイストリアは考えていた。

宰相、宮廷魔術師、騎士団長、これらを上手く出し抜ける方法を。

掠め取った産業はどれだけの金を生んでくれるのだろう。

ジークとやらが囲っている女は皆美女との事だ。これも手に入れよう。

大丈夫。王族である自分が付いているのだから。



ジーク達は真意を見抜いていたのだ。



結局お触れによる暴動は起きなかった。

理由としてはまず、マテリア平原の戦の詳細が行き渡っていたことだ。

これにより、ロッツフォード騎士隊の行動とお触れとの矛盾を指摘されたのだ。

他にもカユウをジークが討ち取ったのが大きかった。

それほどの剛の者が使えていて、こんなことをするのかと。

これらの理由によってジークが危惧していた事態にはならなかったが、国民の不満は大きくなり王家に対して強い風当たりとなった。



そして、ロッツフォード。

この鎖国によってむしろ事態は好転していた。

お触れの真意を思い切って領民に説明したのだ。

結果、どうしたら奴らが悔しがるかという話になり領内を充実させようという事になったのだ。

農業、紡績業、林業、畜産業、建設業、ありとあらゆる産業が加速度的に発達していったのだ。

元々移住者の数も頭打ちであったし、出て行くものもいなかった。そのため鎖国してもロッツフォード領に損はなかったのだ。

ロッツフォード領内は充実期となったのだ。



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