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特性の検証

 まずは手持ちの資金だ。

 スキルスクロールに50万G(ゴルド)を費やしたため、残りは10万G(ゴルド)ほど。

 これを元手に、俺は街中の武具屋や、冒険者から直接ガラクタを買い取る露店を巡り始めた。


「おっさん、この錆びた剣、まとめて買うから安くしてくれ」

「おう、アルゼストじゃないか。珍しいな、そんなボロクソを集めてどうするんだ?」

「ちょっとした実験だ。それと、そっちのひび割れた革鎧も全部もらう」


 冒険者仲間からは奇異の目で見られたが、今の俺にそんなものは関係ない。

 目的はただ一つ、分解するための『素材』の確保だ。


 俺は5万G(ゴルド)ほどを使い、持ち物袋がはち切れんばかりのガラクタ武具を買い集め、宿屋へと戻った。

 部屋に戻るなり、俺はベッドの上に武具を広げ、黙々と《武具分解》を開始した。


『――特性《斬撃力(劣化)》を抽出しました』

『――特性《耐久力(欠片)》を抽出しました』

『――特性《魔力伝導(劣化)》を抽出しました』

『――特性《俊敏性(劣化)》を抽出しました』

『――特性《毒耐性(微)》を抽出しました』


 部屋の中に、様々な色と名前を持つ光の玉が、無数に浮かび始める。その光景はどこか幻想的ですらあった。

 やはりガラクタからは、まともな特性はほとんど抽出できない。

『劣化』『欠片』『微』。どれも最低ランクの特性ばかりだ。


「まあ、予想通りだな」


 俺はまず、自分のロングソードを取り出した。

 そして、抽出した15個の『斬撃力(劣化)』を、一つ、また一つと

 《武具融合》させていく。


 1個目。剣身がかすかに輝く。

 2個目。変化は感じられない。

 3個目、4個目……。見た目にはほとんど変化がなく、本当に効果があるのか不安になってくる。


 だが、10個目の『斬れ味(劣化)』を融合させた時だった。


 カチッ、と小さな音がして、ロングソードがそれまでとは明らかに違う、鋭い光を放った。


「お……?」


 鑑定してみると、特性の欄には新しい記述が加わっていた。


『特性:斬撃力(微)』


「そうか! 『劣化』を10個集めると、一つ上のランクの『微』になるのか!」


 この発見は大きかった。

 つまり、どんなに質の悪い特性でも、数を集めれば上位の特性へと昇華させられるということだ。

 俺は興奮を抑えきれず、残りの5個も融合させた。


「なるほど。『斬撃力(微)』にランクアップした後も、同系統の特性を融合させれば、その効果をさらに高められるわけか」


 次に俺は、愛用の大盾を手に取った。

 こちらには、『物理耐性(微)』を20個、『耐久力(欠片)』を30個、融合させてみることにした。


『物理耐性(微)』を10個融合させた時点で、特性は『物理耐性(小)』にランクアップした。


「ランクアップに必要な個数は、特性の種類によって違うのか……? いや、あるいは……」


 俺は『頑丈さ(欠片)』を融合させていく。

 どうやら『欠片』は『劣化』や『微』よりもさらに下のランクのようだ。


 つまり……

 欠片<劣化<微<小

 の順に強くなっていくわけか。


 10個融合させても、ランクは『欠片』のまま。

 20個融合させても、まだ変わらない。

 そして、30個目の『頑丈さ(欠片)』を融合させた瞬間、ようやく特性が『頑丈さ(劣化)』へと進化した。


「そういうことか。特性のランクが低いほど、ランクアップに必要な個数も多くなるんだ」


 この法則を発見したことで、俺の検証はさらに加速した。

 次は、鎧や兜、手甲といった防具だ。これらには『物理耐性』や『耐久力』といった防御系の特性しか融合できない。

 俺は残っていた特性を全て、それぞれの防具に振り分けて融合させていった。


 全ての作業を終えた頃には窓の外はとっくに白んでいた。俺は一睡もしていなかったが、疲労感は全くなかった。

 むしろ、全身に力がみなぎっている。


 俺は生まれ変わった装備を身につけた。見た目は昨日までと何も変わらない。だが、その中身は全くの別物だ。


「さて……効果を試しに行くか」

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