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久しぶりに読み返して展開の恥ずかしさに悶え死にそう。

 ああ、頬が痛む。

 自分の左頬をさする、いつも通りの自分の顔で皮膚だ。

 怪我は治した、もう抉れたり腫れたりボコボコになってはいない。

 それなのに……それなのに!

「ああクソッ、滅茶苦茶痛いじゃねぇか!」

 酷い、酷い痛みだ。

 肉を抉られ神経をなぞられているような酷い痛みが少しも収まらない。

 どうして俺が、序列一位であるこの俺が、人目を阻むように夜中に風俗エリアの裏路地を歩いていなければならないのだ。

 いいや分かっている。アイツのせいだ、たかが玩具如きであるアイツに、殺されかけたからだ。

 命乞いをして見逃してもらった以上、すぐに動くワケにはいかない。必死に策を考え圧倒的な力の差がある俺をここまで追い込んでくれやがったアイツが、見逃してそれで終わりな筈が無い。それなのに動いてしまえば、今度は問答無用で殺されるだろう。

「……待て、待て待て待て」

 どうして自分は、次も負けるだなんて決め付けている? 力の差がこんなにもあるのだから、次は簡単に勝てるに決まっている。何ならこちらから仕掛けてもいいくらいだ。

 そうだ、闇討ちでも何でもいい。俺が作戦を立てて逆に殺してしまえばいい。出来るだけ苦しませるように、長引かせて、俺に歯向かった事を後悔させながら殺そう。

「ふ、ふへへへ」

「ヒャハッ、無様なもんだなァ1番!」

「誰だ!」

 誰にも気付かれない様に移動し、誰にも見付からないように忍んでいたのに、どうして俺の場所を!

 上を見上げれば、誰かが俺を見下ろしていた。

「おっと俺の番号をお望みかい? 教えてもどうせ無意味だけど仕方ねぇーから教えてやるよォ……あ、やっぱやめよ」

 気が付けば、俺の心臓は貫かれていた。

「……は?」

 魔術を使われるだろうと思い、準備はしていた。キーボードの出現から状況の判断能力にタイピング速度、それら全てを磨き序列一位の座まで登り詰めた自分は、あの712番すらも翻弄出来る程に強い……はずだった。

「序列一位だから強い、魔術を一秒足らずで発動出来るから強い、身体能力が高いから強い、頭が良いから強い……ねぇ? ばっかじゃねぇのォ?」

「何、を……」

 例え魔術で身体を治せるとは言っても、脳や心臓、首や内臓と言った急所をやられてはひとたまりも無い。例外があるとすれば、派手な見た目の攻撃に紛れて内臓の何個かを消し飛ばしたのに死にもしなかった――リョータだとか番外だとか呼ばれていた――アイツくらいなものだろう。

 だからこそ、自分の外側だけでは無く内側にも防壁を張っていた。そんな事をしなければ、命懸けの攻防なんて出来る筈もない。

 それらを貫ける程の威力があったという事になる。キーボードを叩かずに、一瞬で?

 擬似的に一瞬で発動させる事ならば可能だが、本当の一瞬で魔術を行使する事はどう足掻いても不可能だ。

「魔術魔術と、よくもまァ無駄な鍛錬を積めるよなァお前らは」

「無駄、だと?」

 男は答えず、ヒャハッと笑うだけだった。こんな笑い方をする奴が確か記憶に残っていた気がするが――ああ……駄目だ。意識が朦朧としてきた。既に自分の輪郭がぼやけている。

「ああ、もう死ぬんだな? なら冥土の土産に教えてやるよォ……俺は前回の生存競争における最後の一人だ」

「なん……て……」

 モヤがかかったような頭の中で、淡々と知識と事実が組み合わさっていく。そして分かる、理解してしまう。

「おっと流石に聡明ですねぇ1番さんはァ。まぁもう死ぬんだけどナ?」

 そういう事か、そういう事かよ……なら、俺が今までしていた事もしようとしていた事も全て、全てが――

「ちく、しょう……」

 どう足掻いても、ここは地獄ではないか。そして――

 ――この地獄からは、抜け出せない。

宣言通り更新止まります。またいつか機会があれば

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