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異世界極悪レスラー〜感謝されると即死するので、全力でヒール(悪役)を演じてたら世界最強の魔王としてバズっていた件〜  作者: 早野 茂
【第5章】全世界公開処刑〜魔王よ、お前もヒールにしてやる〜

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最終話:悪役(ヒール)は世界を熱くする

魔王ルシファーの消滅から数ヶ月。

世界は劇的に変わっていた。

平和になったのではない。

むしろ、かつてないほど騒がしく、殺伐とし、そして――活気に満ちていた。

「急げ!防壁の強化だ!また『あいつ』が来るぞ!」

「魔導砲の充填完了!今度こそ撃ち落としてやる!」

「あいつを倒すのは俺たちだ!抜け駆けすんなよ!」

王都も、学園都市も、カジノ街も。

人々は怯えて隠れることをやめた。

武器を取り、魔法を磨き、知恵を絞り、一丸となって「共通の敵」に立ち向かっている。

その瞳には、かつての家畜のような虚ろさは微塵もない。

生きる意志。

抗う力。

そして何より自分たちの手で未来を掴み取ろうとする「熱」が宿っていた。

なぜなら、この世界には今「魔王サタン・ゴウダ」という史上最悪にして最高の「目標ボス」が君臨しているからだ。



旧魔王領・新生魔王城(仮)。

かつての瓦礫の山は撤去され、そこには無骨で威圧的な黒鉄の要塞がそびえ立っていた。

その玉座の間――改め「社長室」にて。

「――報告します。本日の『襲撃予約』は15件です」

秘書官のようなスーツを着たアリスがスケジュール帳を開いて言った。

「午前中は北の勇者パーティとの防衛戦。午後は南の連合軍による大規模レイド。夜は……暗殺ギルドによる寝込み襲撃ツアーが組まれています」

「過密スケジュールですね。休息時間が確保できません」

白衣のセレンが、栄養ドリンクを箱ごとドンと置いた。

「轟田の筋肉疲労度はピークに達しています。ですが、世界中の『殺意エネルギー』の供給量が過去最高値を更新中。……理論上、今の彼は不眠不休であと100年は稼働可能です」

「うっわ、ブラック企業すぎっしょ。ウチなら絶対辞めるわ」

ミミが電卓を叩きながらケラケラ笑う。

その手元には山のような金貨や宝石が積み上がっている。

「でも、おかげでグッズの売れ行きは爆上がりだし!『打倒ゴウダTシャツ』と『魔王の生写真(呪い付き)』がバカ売れ!借金返済どころか、あと3回くらい人生遊んで暮らせるし!」

「不潔です。金には雑菌がついています」

マリアが積み上がった金貨に消毒スプレーを噴射しながら顔をしかめる。

「それに最近の来訪者チャレンジャーたちはマナーが悪すぎます。玄関で泥を落とさない、血を撒き散らす……。全員、私の『強制洗浄室』送りにしておきましたから」

「おいおい、ほどほどにしとけよ。客が減ったら商売あがったりだ」

レオが短剣の手入れをしながら苦笑する。

彼らの会話には、悲壮感も使命感もない。

あるのは忙しくも充実した「仕事仲間」としての空気感だ。

そして。

玉座にふんぞり返る巨体の男。

「……カッカッカ!結構なことじゃねぇか」

轟田猛は世界中から届く「果たし状」の山を見下ろし心底楽しそうに笑った。

傷だらけだ。

毎日世界中を飛び回り、破壊し、煽り、そして全力で攻撃を受け止めているのだから当然だ。

だがその肉体は以前よりも一回り大きくそして強靭に見えた。

「どいつもこいつも、いいツラになりやがった。……以前の死んだ魚みてぇな目をしてた連中とは大違いだ」

轟田は立ち上がり、黒いマントを翻した。

「おいアリス。次の現場はどこだ?」

「王都の広場よ。……あんたが最初に壊した大聖堂、再建されたらしいわ。また壊しに行くんでしょ?」

「決まってんだろ。二度あることは三度あるってな!」

轟田はニヤリと笑い、ボキボキと首を鳴らした。

「平和ボケした連中に恐怖と絶望の定期便デリバリーをお届けだ!……準備はいいか、野郎共!」

「「「「「へいへい(御意・りょ・はいはい)!」」」」」

全員が呆れながらも即座に戦闘態勢を取る。

誰も轟田を止めない。

誰も正義を説かない。

彼らは知っているのだ

この男が世界に君臨し続ける限り、人々は「立ち上がる」ことをやめないということを。



王都上空。

黒雲を割って轟田たちが降下する。

「出たぞ!魔王ゴウダだ!」

「総員構えッ!今日こそあいつを倒すぞ!」

地上では数万の兵士と冒険者、そして一般市民たちが武器を構えて待ち構えていた。

恐怖に震える者はいない。

全員が轟田を睨みつけている。

《会場規模の敵対感情ワールド・ヒートを確認。……全ステータス、絶好調マックス!》

「……へっ。最高の出迎えだ」

轟田は空中で両手を広げ、その殺意のシャワーを全身で浴びた。

「聞けェッ!人類!!」

轟田の大音声が、世界中に響き渡る。

「俺様がいる限り!この世界に『平穏』なんて言葉はねぇ!枕を高くして寝られると思うなよ!」

轟田が拳を握りしめる。

「悔しかったら強くなれ!憎かったら立ち上がれ!そして……俺様をブッ倒してみせろォッ!!」

「うおおおおおおおおおおおッ!!!」

「上等だコラァァァッ!!」

「やってやるよ魔王ォッ!!」

世界中から怒号のような歓声が上がった。

それは宣戦布告であり、同時にこの世界で最も熱い「コール&レスポンス」だった。

轟田猛。

職業・プロレスラー。

役割・世界最強の悪役ヒール

彼は今日も世界を平和にしないために戦い続ける。

なぜなら、人々が必死に生き、怒り、熱狂するその瞬間こそが――彼にとっての最高の「リング」なのだから。

「さあ、ゴングだ!!始めようぜ、終わらねぇメインイベントをよォッ!!」

轟田が突っ込む。

世界が彼を受け止める。

ぶつかり合う魂と魂の音は、鳴り止むことはない。


(完)

完結!

最後までお読みいただき感謝です!

全日本プロレスの選手大量離脱騒動、プロレスリング・ノアの旗揚げ興行もリングサイドで観戦したプロレスファンの作者がプロレス愛で書きました。

プロレス最高!と信じている作者の思いのたけをこの作品に込めました!

愛すべきプロレスラー達に愛を込めて・・・。

「サタン・ゴウダ」の伝説を忘れないと思って頂けた方は、最後に評価とブックマークで物語を締めくくってやってください!

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