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009⚫️できるけど、しない

「ねえ、副長。パンチやキックだけじゃあ、ないんですね。」

僕が稽古をつけてもらって、まだ3回目だ。

互いの非番の時に無理をお願いした。

副長が快く引き受けてくれたのがうれしい。

「そうですな。わたしが修めた流派は万一、組まれた場合も想定してるんです。」

「一撃必殺、じゃないんですか?」

「ふふぅ。ルドルフ、例えば3歳の子どもが相手なら、一発でノックアウト、っていうこともありえますね。まあ、そんなことはしませんが。」

「なるほど。実力差がない、あるいは相手の方が強いってことを考えないといけない、っていうことかあ。」

「まあ、一番いいのは’逃げる’ってことですな。」

「それはそうだけど・・・。’逃げられない’時もありますよね。」

「そのとおり。だから格闘術、護身術が生まれたということですね。」

「うぅん。使わないのが一番なんだ。」

「わたしなんぞ、実戦で使ったのは数えるぐらいですからな。」

ええぇえ?!’木製ヒト型’、バッタバッタと切り倒し、蹴り倒し、殴り倒してたのに?

「できるけれども、しない、使わない、っていうのが理想だと思うな、わたしは。」

深いなあ、副長・・・。


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