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「蒼介ー!今からファミレス行かね?」

「金欠だからパスだな。奢ってくれるなら話は別だが」

「その余裕は俺にはねえな」

「ならこの提案にはNOと言わせてもらう」

「ちぇー」


俺こと『堵咲(とざき)蒼介(そうすけ)』は高校に入学して1ヶ月程経った。

この時期になるとクラスメイト各々が、ある程度クラス内での()()()()的なのが決まってきた。

よく聞く『クラス内カースト』というものだ


陽キャと陰キャ。1軍と2軍。言い方は大抵この2つのどちらかになると思う


そして俺はこのファミレスに誘ってきた『今波(いまなみ)龍斗(りゅうと)』曰く、俺は1.5軍らしいし、陽キャと呼ぶには明るさが足りないけど、コミュ力はあるから陰キャではないという。


まあ要するに俺は個性のない普通の人間ってことだ


「なら私とファミレスに行こう!」


明るい茶髪を靡かせながら、髪色に負けないぐらいの明るい声で会話に乱入してきたのは、『名取(なとり)海乃(うみの)』。苗字が俺と近く席の隣が彼女だった


「名取か……だから金欠なんだって。奢ってくれるなら話は別だが」

「えっ?女の子に奢らせるの?男として終わってない?」

「……その考え方をしてる人と仲良くは出来ないな」

「冗談よ冗談!でも奢る余裕は私にもないかなー」

「ならこの話にも俺はNOを突きつけさせてもらう」

「えーっ……まあ仕方ないかぁ」


ぷくーっと頬を膨らませる名取


「じゃあ海乃ちゃん。俺と2人で行く?」

「おおー。嫌だね!」

「嫌なのかよ‼︎」

「うん!絶対無理〜」

「えぇ……俺なんか嫌われるようなことした?」

「嫌われることはしてないけど、好かれるようなこともしてないよね?」

「積極性が足りないってことか!なら頑張って猛アピールするぜ!」

「あ、普通に面倒いからやめてね」

「やっぱ俺のこと嫌いだよな⁉︎」


こういったやりとりが俺の高校生活での日常になっている。

席が隣になった名取と、なぜか俺に積極的に話しかけてきた龍斗といることがほとんどだ


「イチャイチャを邪魔しちゃ悪いから俺は帰るわ」

「イチャイチャしてない‼︎あ、じゃあせめて一緒に帰ろうよ!」

「校門出てすぐ俺と反対方向に家があるのに、どうやって一緒に帰るんだよ」

「き、気合い!」

「気合いで家の場所は変わりませんのでさようなら」

「あー待って‼︎……もう!」


名取が地団駄を踏んでるのを横目に、俺は帰路に着いた


♢ ♢ ♢


夜。俺は帰りに寄った本屋でたまたま目についた作品を読んだ。表紙の絵柄が良くて題名に『超乱闘』っていうそそられるワードが書いてあったからだ


「……まあまあかな」


題名になっていた『超乱闘』と書かれていた割に乱闘シーンは少ないし、戦闘シーンも躍動感に欠ける。でも話の内容は面白かったし、続きを買ってもいいなと思えた。

まだ第1巻しか発売されてないし、もっと先になれば乱闘シーンも出て、作者も描くことに慣れて躍動感も出てくるだろう


「……暇だ」


さすがに1巻だけだと15分程度しか時間を潰せなかった。


友達と電話をするタイプでもないし、家庭用ゲームも嗜まない。携帯ゲームでハマっているものはあるけど、メンテナンス中でログインが出来ない。

だから本を買って暇を潰そうと思ってたんだけど、手持ちのお金があんまりなかったから1冊しか買えなかった


「なんか違うアプリでも探してみるか」


ストーリーがある物とか、育成があるようなゲームとかじゃなくて隙間時間にサクッと出来るようなゲームが理想的だ


「……一旦「手軽」で検索かけてみるか」


検索すると、ゲームがずらーっと並んだ。想像してるよりこの検索ワードに引っかかるアプリが多かったみたいだ


「利用者順とか評価順、リリース日順に並べ替えられるのか」


せっかくやるならあまり人が触ってないゲームとかいいかもしれない。隠れた良作に当たるかもしれないし、凄まじいぐらいクソゲーに当たるかもしれない


そういう楽しみ方もアリだなと考えた俺はリリース日順になるように検索をかけた


「ん?なんだこれ?」


少しスクロールすると表示されたのは、アイコンが真っ白でゲームめいが「お手軽AI」書かれていた


利用者数は0。利用者がいないのだから、当然評価もないしプラス、作成者によるアプリの説明すらないので、このアプリは何をするかも全く分からないのだ


「詐欺くさいなぁ」


さすがに怪しすぎる。これだけ情報がないと詐欺を疑わざるを得ない……のだが


「……これにするか」


「触るな」と書かれたボタンがあれば興味をそそられるように、俺はこのアプリに興味が湧いた。

個人情報を入力するように言われたりしたら、すぐにアンインストールすればいい


インストールが完了。俺はゲームを開いた

開いてすぐ、既視感のある画面が出てきた


「……メッセージアプリみたいだな」


某有名メッセージアプリに酷似している。違いといえば、友達という欄が無く、『AI少女 千景』としか連絡を取り合うことが出来ないっぽい


「なるほどな……少女を模倣したAIとメッセージでやり取りするアプリか」


ゲームをするつもりだったから消してもいいのだが、これも何かの縁だと思って、ちょっとだけやってみることにした


[こんにちは]


安直すぎたか?というか言葉足らずすぎるな……」


多分本来なら単語1つで返すんじゃなくて、もっと付け加えるのだろうが、とりあえず相手はAIだしAIのお手並み拝見といこう


♢ ♢ ♢


テロンッ

[こんにちハ!メッセージありがとー‼︎私の名前はぁ千景って言うの!よろしくねっ!]


約10分ほど待った末に、AI少女から今どきのJKになりきろうと頑張って送ったようなメッセージが届いた


「AIのくせに返信遅いな。あとめっちゃ『!』マーク多様してくるな」


こういう系のAIってすぐに返信が返ってくるイメージだったけど……文が凝ってる仕様上処理に時間がかかってるのか?

まあどうみても企業が作ったようには見えないアプリだし、これぐらい時間がかかるのは仕方ない……のか?


でもこれはこれで良さもある。時間をかけて返答が来ることで、まるで本当に人間と連絡を取り合ってるような感覚に陥りそうな気もする。実際どんなに仲良かったとしても、ものの数秒で連絡が返ってくることなんてほぼないし


[千景は今何してるの?]


さて……どれだけ人間っぽい返信が返ってくるかな?


「とりあえず違う暇つぶし用のアプリ探しながら待っとくか」

閲覧ありがとうございます。

更新頻度遅めにやっていきます。


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