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5-8.米

「ラルスさん。まずは挨拶からですよ」

「あらー。そうだったわねー。初めましてクルーソーさん。私がラルス。裏領主と言われているわ」

「は はじめまして。クルーソーです」


やばい。声が裏返ってる。


「あらー緊張しなくていいわよー食べたりはしないからー」


冗談ですよね・・・冗談に聞こえません。

・・・忘れてた。手紙を渡さねば。


「アルゴランからの手紙です」


手紙を取り出すとメイドさんが運んでくれた。

それと同時にメイドさんがお茶とお菓子を出してくれた。

さっき飲み食いしたばかりだが・・・

よく見ると領主のアビリアさんは裏領主のラルスさんが手紙を読むのを見ている。


「なるほどねー・・・あーらごめんなさい。お茶をどうぞ」


そういわれてからアビリアさんはお茶に口をつけた。

なるほど・・・勧められてから手をつけるんだ。利口になった。


「気になったんだけどアルゴランのこと呼び捨てにしたわねーどういう関係なのー」


ん?普通こういう場合は自分の側の人の名前は呼び捨てじゃねえの?

それは会社での常識だっけ・・・こういう場合はどういうのが正解なんだろうか?様?殿?


「どういう関係と言われましても・・・部下でないので上司ではないですし。同盟関係にあるお隣さん?ですかね」

「そーなんだー。領主を呼び捨てなんてねー新しいわーと思ったわー」


わざわざ言うということは・・・


「そうですか・・・殿か様を付けるのが礼儀と言うことですね。気分を害されたかと。申し訳ありませんでした」

「んーまあいいわー。どちらにしても私は気にしないわ―」


そう言って裏領主のラルスさんは領主のアビリアさんを見た。領主領主紛らわしいな。


「まあ・・・エルフが貴族制度を取り入れていないことは知っていますのでさほど不思議ではないです」


どうやらあまり問題では無いようだな。


「んじゃーそれでーこちらの状況は分かっていただいてるかしら―」

「戦争準備中の段階で今回の件に兵士と冒険者ギルドをは人を出さないことは伝えてあります」

「それじゃー説明はいらないわねー本当にタイミングが悪いわねーもしかすると相手の手の上に載ってるのかもしれないわねーでもごねたら援軍も来たからラッキーよねー」


手の上?ごねる?まったくもってなんだか・・・


「手の上と言うのは?」


領主のアビリアさんが突っ込んでくれた。


「相手の持っている情報がすごく正確じゃなーい・・・もしかするとあの憑代を使って迷宮から出るやつがなんか噛んでるかもねーと思っただけよー証拠はないわー」


なるほどな。ごねたというのは・・・聞いとくか。


「ごねたというのは?」


「今忙しいから後でねーと回答したらー前倒したのと同一個体かもしれないからきっり殺ってくっれって言うのよーあり得なくないー」


あり得ないのか・・・でもあの忌まわしいエルフって言ったような?


「なんでー援軍に来てー言ったらーいいのがいるから送るって来たんだけどーそれがクルーソーさんってわけよー」


やろう・・・まあいいのがいるのは確かか。


「では・・・後回しにしようと思っていたってことですね。ではターゲットの削除は私単独で行ったほうがいいですか?」

「いやーさすがにそれはないわー外がこんなだから早く片付けたいのよねー全力で行くわよー今からでもいいわよー」


マジですか・・・


「クルーソーさんは先ほど来られたばかりです。もう夕方なので明日にされた方がいいのでは?」

「あらーそうねーごめんなさいねー人には休憩と言うものがいるんだったわねーんじゃー夕食ででも取りながら打ち合わせましょうか―二人ともまだよねー」


デーモンと会食?・・・メインディッシュは人の魂とか言わないですよね?


「そうね。いただくわ。ここの料理はめったにいただけないものね」


・・・アビリアさん?・・・あなたも実はデーモンとかじゃないよね?


「そりゃそうよーこの料理のためにどんだけお金を使っているとおもっているのよー」


そうだった。人間の文化風習が好きなデーモンだったなこいつ。


「ではー討伐は明日でいいかしら?それともー何日か要るー?」

「明日でいいですよ。問題はどうやってということなんですけど?」

「どうやって?変なことを言うわねー居そうなところに進軍して見つけてぶっ殺すだけじゃない」

「そちらも兵を出すんですよね?連携をどうとるということですが」

「この子たちを出すわよーもちろんそれなりの人数は出すわよー」

「えっと・・・このゴスロリメイドさんたちですか?」

「そうよーそのゴスロリメイドよー私の部下はすべてメイドであって兵士なのよー」

「ああ・・・全員デーモンさんなんですね。そういえばそうなんですね。普通に人族のメイドなのかと」

「あらーそうよねー見た目では分からないわよねー」

「戦闘中は当然元の姿なんですよね?となると連携は難しいかと」


というかソロで入らないといけない。

ゴーレムはOKかもしれないが・・・私の銃は見せるのはアウトだろうからな。


「あーそっちの話ねーメイドの格好でも戦えるのはいるけどたしかにこの格好の方が弱いのは確かねーどうしようかしらねー」

「居そうなところは分かっているんですかね?それならばルートを分けてダンジョンの攻略をすればいいかと。こちらに連絡する時にはメイド状態で来てもらえば間違って攻撃することもないでしょう」

「そうねーそれでもいいけどーそれだとークルーソーさんソロになっちゃうわよーいくらなんでも危ないと思うわ―」


むむむ・・・まあそなるな。

ゴーレムのことは言っておくか。

ここならダンジョン内で運用できるだけの強さがあるのがばれても問題ないだろう。


「ゴーレムを使うのでソロではありません」

「ゴーレム―・・・そういえばそんなことも書いてあったわねーダンジョンの床ではゴーレムは作れないんじゃないかしら―どうするるもりなのー」

「魔法の鞄に入れてあります。最悪の場合はダンジョンの壁を掘って材料にします」

「壁を掘って材料?」

「壁を掘って鉱石を掘り出すのと一緒です。掘り出したら 石 なので」

「そーいうことねーそのゴーレム見せてくれないかしら」


魔法の鞄を手に取り元リビングアーマーゴーレムをアイテムボックスから出す。

こいつは魔鉄製なので材料的にもこれなら文句は出ないだろう。

普通なら見せられないがここなら別にいい。

というか今までとは逆に隠し持ってるゴーレムの戦闘力を誇示しないとソロでダンジョンに入れない。


「あらー思ったより強そうねー全部で何体なのかしら―」

「これと同じものが4体。材質や装備が違うのが30体。後はそれ用の馬ですね」

「なるほどねーだからクルーソーさん一人なのねー納得ねー・・・これは私たちだけの秘密にしましょうねーアビリアさんもそれでいいかしらー」

「冒険者ギルドにもと言うことでしょうか?」

「そうよ―情報がダダ漏れしてみたいだからねーちょと情報をしぼりましょうーこれでクルーソーさんの情報が漏れた場合は―」

「私側か・・・ラルスさん側で漏れていることになりますね」

「そうなるわねーまあクルーソーさんの件に関しては漏れても分からないけどねー」


私にとってはいい流れなのかな。情報が広まっていいことはないはず。


「準備が出来たみたいねー食事にしましょうー」


運ばれ来たものは前菜だが量が少しづつで種類がたくさんだ。

和食風とイタリアン風とフレンチ風だ。こじゃれたちょっと高い居酒屋と言う感じだな。

メインもそんな感じだったが・・・その後で息をのんだ。

パスタとリゾットだった。パスタは明らかにあのパスタだ。

やはりあったかパスタと言う感じだが・・・

リゾットは・・・明らかに米だな。米来たー。


「あらーどうしたのかしらー口に合わないかしら―」


顔に出たか・・・どうにか自然に情報を引き出さないと。


「いえ・・・大変美味しいです。これはなんという料理ですかね?」

「それはパスタというのよー。遠い東の料理らしいんだけどねー」


そっちじゃねえよ・・・あわてるな。事前に自然に・・・


「これは材料は何なんですかね?」

「小麦らしいわー確かこれは昔教えたからそちらの都市でも出すところがあるはずだわよー」


なぬ・・・探すのが足らないと・・・


「そうですか。帰ったら探してみますかね。こちらのほうは?」

「それはリゾットっていうのよー実は山奥に住んでる獣人の料理なのよーなので絶対に知らないと思うわー」


ということは米もしくはそれに類似するものは存在するということか。


「材料は何になるんですかね?流通してますかね?」

「米と言う穀物よ。そちらの都市でも探せはあるんじゃないかしら」


きたきたきたー。確かにパスタや米と言う名前を出して探してはなかった。

転移者とばれたらまずいからな。これで堂々と探せる。

実に有意義な夕食だった。このためだけに来たと言ってもいいな。


「で・・・こちらに泊るー部屋はあるわよー」

「いえ。こちらに泊ってもらったほうがいいでしょう。そのままダンジョンにアタックされてもこまります。明日はダンジョンには入り口から入って貰わないといけません」

「あらーそうよねー領主の舘に入って・・・その後ダンジョンから出てきたらおかしなことになるわねー」


そういえばデーモンはダンジョンからは出れないということだったな。

ということはここはダンジョン内なのか・・・地図技能は止めておくか。

この技能がパッシブなのかアクティブなのかは試したことが無い。

この二人はそこいらを感知する技能はてんこ盛りのような気がする・・・

というか持っているのは確実だろう。

ただ・・・ここに来るまでに結界のようなものはなかった。

都市の外に広がる結界があるのは分かっているが。


領主の舘に部屋を準備してもらい休む準備をする。

食事の時に飲んだ泡入りワインでいい感じで寝れそうだ。今日はいい一日だった。ビバ米。


・ある裏領主

アルゴランの早便の内容だと・・・援軍がもうそろそろ来るはず。

そんな高速移動をどうやって行うというのか・・・それに一人で来るってどういうつもりだ?

アルゴランの手紙の内容は・・・アルゴランからでなければ偽情報か誤記として処理するレベルだ。

そんな多量な技能を身につけるなど・・・才能の無駄使いだが。


ゴーレムを出した瞬間空気がぴりついた。

アビリアは・・・分かってないようだ。

アビリアの執事は・・・一瞬で立て直したな。

さすがだな。それに対して・・・うちのメイドは修行がたらない。


魔法の鞄と言ったがアイテムボックスを使った。

あれが魔法の鞄から出せないことは誰にでも分かるが・・・

アビリアが何も言わないのでいいか。


さて・・・ゴスロリと言った。

ゴスロリを言う単語をどこで知ったんだろうか?

ゴスロリは日本語なんだがな。アルゴランにも言ってない単語だ。

米とパスタに異常に食いついた。

と言うことは転移者もしくは転生者なのか。

だとすると魔法の鞄のことを詳しく知らないのは説明が付く。

ただ・・・だとしても技能の数が多いのは分からないな。


アルゴランめ・・・ヤバいのを送ってきたなというかヤバイのを飼っている。

私なら飼いきれないので殺すがな。ああ・・・そのつもりと言うことか。

ならばクルーソーとやらには連中が巣食っているど真ん中に行って貰うか。

予想が正しいなら・・・あの憑依野郎は徒党を組んであそこに潜んでいるはずだからな。

あの敵の数では手が出ない。

デーモン対デーモンは時間が掛かるだけだし・・・

冒険者は多数のデーモンと戦う能力はないからな。

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