表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ロードオブダーク  作者: 逆立ちハムスター


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/30

9

登っていく途中、青く光る粘液の塊が無数に壁一面に張り付いていた。

塊は丸く、表面は血管のような物が浮き出ており、脈打っていた。


触れないように、そしてなるべく近付かないように体を動かして避け、登っていく。

「はぁ…はぁ…」

疲れたけど、何とか力尽きる事なく一番上まで上がれた。

ルーデンが無事だといいけど。

顔をあげると、巨大な何かが横たわっていた。

動いている様子はないが、暗くてよくは見えない。

その時、後ろから何かが向かってきた。

振り返ると…ルーデンだった。

「まったく、無駄に繁殖してた」

「無事で良かった」

「お前も無事に……はっ!?」

ルーデンが横を通り過ぎ、進んでいく。

「気を付けないと、何かいるんだよ」

「ああ〜。愛しの我が肉体」

「どういう事?」

ルーデンが光球を天井に放ち、当たりが白い光で照らされる。

そこには黒く巨大なドラゴンの死体が横たわっていた。

「ドラゴン……ルーデンはドラゴンだったの?」

「ああ、黙っててすまない。だが聞かれなかったからな」

「でもこの体……」

複数の鼠がドラゴンの体を這い回っていた。

「ああ!! 失せろ!! これは我の物だ!」

ルーデンが叫びながら飛び回り、ドラゴンの体に群がる鼠を追い払う。

鼠達は壁に空いた小さな隙間に逃げていった。

気が付くとルーデンがいなくなっていた。

「ルーデン? ルーデン?」

静まり返る部屋。僕の声だけが部屋の中に響く。

その時、ドラゴンの片方の翼が広がった。

そのままドラゴンの体は手と足を付き起き上がった。

で、でかい…。

「ルーデン……だよね?」

「そうだ」

球体の時の声とは違い、とても低く、周囲に響き渡るような声に変わっていた。

「踏み潰さないでね」

「大丈夫だ。だがこの体に慣れるまでは二、三回踏んでしまうかもな」

「笑えないよ」

「すまない。体を取り戻せた事で浮足だってしまったんだ。踏まないよう気を付ける。それより我に聞きたい事があるのだろう?」

「どうして肉体から離れたの?」

「自らの意思で離れたのではない。気付いた時には分離していた。我自身知りたいところだ」

「どうしてドラゴンだって黙ってたの?」

「すまなかったな。確信がなかったんだ。それに話すタイミングも、なかったしな」

「ここへはどうして来たの?」

「我は同胞に追われていたんだ。それでここに身を隠した。一時しのぎのはずだったんだが、いつの間にかこのような状況に陥ってしまっていたんだ」

「かなり広くて深いみたいだけど、この場所は一体何なの?」

「必死に逃げていたから我も詳しくは分からない。だが見てきた感じではブラッカスに関係する物だろう」

「ルーデンがここへ来た時、ブラッカス達はいなかったの?」

「ああ、既にいなかった。ここはただのブラッカスの遺跡でしかなかったんだ」

「いつからここに?」

「かなり前だ。感覚ではな。だが我の体が残っていたのなら、それほど時間は経ってはいないのかもしれない。あくまでもドラゴンとしてだが」

「どうして体が元に戻ったの?」

「それは特別驚く事ではないだろう。お前は知らないかもしれないが、この世界に出てみればすぐに分かる」

「ありがとう。そろそろ進む?」

「ああ、だが行く前に我も少しお前に尋ねたい」

「どんな事?」

「実際のところ、お前は自分の事をどれほど覚えているんだ?」


〘⇄〙誠実に言うべきかな。それとも不誠実かな。


「本当にあまり覚えてないんだ。ここまで来た途中のように、感覚を取り戻す度に記憶が蘇ってくる。そんな感じなんだ」

「ふむ。記憶以前に、この世界の知識が乏しいようだが」

「見た目通り、ドラゴンのルーデンよりは長生きしてないもん」

「我は魂を見て、その者が何者か判断するからな。見かけはあまり関係ない」

「僕の魂はどう?」

「実際のところ不思議な魂だ。一見、有り触れた生者の弱き魂にも見えるが、何か異なっている」

「僕の正体が分かったりする?」

「分かっていたらすでに教えているさ。我も完全には、まだ力や感覚が戻っていないんだ」

「肉体を取り戻したばかりだしね」

「そういう事だ。さあ進もう」

「うん」

「少し離れてくれ」

そう言うと、ルーデンは先に壁の方に向かい翼を広げながら両足で立つと、そのまま両手で勢い良く壁に激突した。

壁はもう脆くなっていたのか、またはドラゴンの肉体を取り戻したルーデンの力が強かったのか分からない。

壁は音を立てながら崩れていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ