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目の前が元の景色に戻った。
「ベル大丈夫か?」
「うん、誰かの記憶みたい。触れたら、過去のイメージが見えた」
「ほお、似たような装置は聞いた事がある」
「でも変ですね。そちらのオムニ装置は、遺伝的類似性がなければ発動しません。もしかしてベル。あなたは創造主様の末裔でいらっしゃるのでは?」
「僕がブラッカスの子孫? そんな訳ない」
「良かったなベル。神になれたじゃないか」
「ルーデン」
「少し意地が悪かったのは謝る。だが、我は様々な世界を、物を、見てきた。別にこういう事は珍しい事じゃないんだ」
「もしそれが本当なら、外に出られないかも」
「その可能性はありますね! ですが行くしかないでしょう!」
「このガラクタはどうする」
オートマトンの側に行き、屈んで目線を合わせる。
「名前は?」
「185541です」
「それじゃあ呼びにくいよ」
「ガラクタでいいんじゃないか?」
「ダメだって。呼んで欲しい名前とかある?」
「では……タリと呼んで下さい」
タリに巻き付いている蜘蛛の巣を取る。
「じゃあ行こうタリ」
「はい!」
「歩ける?」
「ええ! 創造主に感謝ですね!」
「我の足元には来るなよ。避けたりしないからな」
「それでは先ほどあなたが助けて下さった行為が無駄になります。あなたは自らの行いにとても注意を払っているようですの、私を踏み潰した場合気にしてしまうのではないですか?」
「……まったく」
ルーデンが僕達より先に進んでいく。
「ルーデンは良い奴だよ。仲良くしてね」
「勿論です。それと……ベル様」
振り向き、立ち止まったタリを見る。
「ん?」
「ありがとうございます」
「お互い様」
「そのあなたのお優しい人柄に救われました」
「仲間は多い方が楽しい」
「そうですね! では行きましょう! ルーデンも寂しがるでしょう」
「ンフ、寂しがらないでしょ」
「いいえ、私のデータ上、ルーデンのようなタイプは意繊細な心の持ち主が多い傾向があるのです」
「それ、ルーデンには言わない方が良いよ」
「また余計な事だったのですね。私のせいで雰囲気を悪くしないよう努めます!」
「頑張ってね」
「ところで、なんで尻尾だけ金属じゃないの?」
「私も分かりません。ですが、創造主様達は耳や尻尾に拘っており、より高みを目指しておられたのではないかと。体の他のパーツと異なり、用意に付け外しが可能ですので」
Ⅳ 〘世界〙
恐らく出口へ向かっているルーデンの後を追う。
こうやって少し離れた所から見ると、改めてルーデンのドラゴンとしての体の大きさを痛感する。
ルーデンが味方で良かった。
外には、他にもドラゴンが沢山いるのかな。
結構離れた僕達をルーデンが立ち止まり待ってくれた。
「タリは女性なの?」
「いいえ、私に性の概念はありません。ただ創造主が声や見た目などを女性に寄せた結果、そのように見えるのかもしれません。女性の方が男性より親しみやすいという創造主様達の心理を応用した物と思われます」
「見た目がイカつい兵士みたいなのは、みんな男?」
「はい恐らく。女性より男性の方が相手に威圧感を与える割合が高いので。声などのベースとしてはそうかもしれませんが、兼兼、恐怖を抱きやすい魔物などの外見を採用している物と思われます」
「タリはルーデンみたいに物知りだね。凄い」
「私の場合はただの作られた物ですので、凄くはないですね。あなたやルーデンの物は本物ですので、私はその時点で劣っています。ですが褒めて下さりありがとう。褒められると気分が良い物ですね。これからは積極的にこの方法を使用していこうかと思います」
「あんまり褒めすぎると、皮肉と間違えられるから」
「そうなのですか?」
「まあね。それに君は褒めたつもりでも、相手によっては馬鹿にされてると思い込んで怒る事もあるから、気を付けないと」
「あぁん、ややこしいですね」
「ンフフ、まあ少しずつ頑張って。ところで、結局さっきの光っている物は何だったの?」
「あれは非常時に使用される物です。特に懸念するような物ではないでしょう」
「壊した方が良かったのでないか?」
「同意見」
「壊しても差し支えはありませんが、損傷の大きさから言って、自然と壊れるでしょう」
「そうなんだ」
「待て、ただ壊れるだけか? それとも」
「はいルーデン。あなたの懸念されている通り、致命的な破壊が巻き起きる可能性は70%です」
「え……致命的な破壊って?」
「爆発だろう?」
「はい! ご名答!」
「急ごっ!」
「勿論だ」
「ああ、待って下さい。私めはそんなに早くは走れ…」
ルーデンが念動を使い、背中にタリを乗せた。
「落ちるなよ」
「おお! なんと不安定な…… おっと!?」
「ベル、お前も乗れ」
ホバーを使い、ルーデンの背に乗る。
ルーデンがスピードを上げ、走る。
「ああ!! 壁が!! ぶつかります! ぶつかります!!」
「Hang in there!(捕まれ!)」
ルーデンが勢い良く壁に激突し、壁を粉砕した。
「ああ……なんて野蛮で無謀な。ああ! また壁が!!」
たまに目を瞑ってたけど、いくつか激突が繰り返された後、ルーデンが足を止めた。
「二人共大丈夫か」
「ええ、まあ……」
「大丈夫だよ」
「杞憂だったな」
ホバーでルーデンの背から降りる「でも爆発に巻き込まれるよりは良かった」
「目覚めて間も無いというのに、こんな刺激的な体験をするとは」
ルーデンが念動でタリを降ろす。




