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少年少女の日常  作者: 村本鹿波
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意思を持たない破壊

タイトルはいつも通りテキトー。

あいだが空いてすみませんでした。

 黒木先輩と焔先輩が保健室に行ってから少し経った後こんこん、と生徒会室の扉をノックする音がし一人の生徒が入ってきた。


「失礼します。一年三組の神風鳴かみかぜめいです」

「どうぞ」

「あの……放課後来るようにと言われたのですが……」

「はい、少し伝えたいことがあったので、とりあえずそこに腰掛けてください」


 そう言って凍堂先輩は俺の隣を指した。そのまま神風はオレの隣りに座った。そもそも座れる場所はそこしかない。

 それにしても凍堂先輩の変わりようは凄い。

 入学式と同じような冷たい雰囲気を纏っている。

 他の人も背筋を伸ばし顔を引き締めている。でも立花先輩だけはにこにことしている。

 ちらりと隣を盗み見る。

 浅葱色の短髪、背は細原と同じくらい。緊張しているのが手に取るようにわかる。


「さて、二人に来てもらったのは頼みごとがあるからよ――ああ、そんな身構えなくても大丈夫よ」


 凍堂先輩がにこりともせず言う。全く大丈夫な気分にならない。

 肩に力が入り先輩達を睨むようなかたちなってしまう。隣も同じようだ。

 そんな俺達を見て凍堂先輩は一瞬だけ笑った。一瞬だけ。

 すぐに冷たい顔に戻ったが一瞬の笑顔でいくらか緊張が和らいだ。


「二人には生徒会に入ってもらいたいの」


 なんとなく予想はしていたが改めて言われると面倒臭いと思ってしまう。


「え!わ、私がです……か?」


 神風は全く予想してなかったみたいだ。

 でもどういう基準で選んだか気になるな。

 だが教えてくれるだろうか、と考えていると。


「あの、どういう理由で私は選ばれたんですか?」


 神風が聞いてくれた。


「二人を選んだ理由は――」


 今まさに硫黄としたところで。


「すまねえ、遅れた」


 黒木先輩が戻ってきた。


「問題ないわ。たった今二人に生徒会入りを打診したところだから――あ、そうだわ。二人を選んだ理由は黒木くんが説明して」

「は?なんで俺が」

「遅れた罰」


 黒木先輩は何か言いたそうだったが無駄な事だと悟ったのだろう。何か言うのは止めてこちらを向いて。


「お前らを選んだ理由は―――」







「―――で結局選ばれた理由は何なの海破」


 今現在私はショッピングモール内の飲食店にいる。

 放課後部活動見学をしようか悩んでいたら縁にデートに誘われた。いや、デートではなく普通の買い物に誘われただけだ。それに箱根もいる。

 買い物の内容は今週末のオリエンテーションに必要な物らしい。

 そこで私達が向かったのは種苗店だ。

 なんでも縁の魔法は植物の種を使うそうだ。

 店での縁は物凄い饒舌だった。

 最初の内は私達に植物についての豆知識から要らないことまでそして何を言ってるか理解出来ない事まで説明してたが、途中から私達をおいてけぼりして店の中を縦横無尽に動いてた。

 私達は着いてくことが出来なくなり店内から出た。


「縁っていつもあんな感じなの?」


 そう箱根に問う。


「植物に関する事なら常時あんな感じだ。もう慣れたけどなー」


 あははは、と笑う。


「それよりも包月はいいのか、自分の買い物が出来なくて」

「ああ、大丈夫だよ。特に買わなきゃいけないのもないし」

「そっか――じゃあ俺も買い物行っていいか?すぐ戻って来るから」

「いいよ」

「あんがとな!」


 そう言って箱根は買い物に行ってしまった。

 私はさっき箱根に言ったように特に買いたい物もないので種苗店の近くで待つことにした。

 五分もしなかっただろう。箱根が戻ってきた。そしてその五分後に縁も戻ってきた。

 他に行くところはないかと訊ねたが特に無いらしく、ついでだからご飯を食べる事になった。

 そのままデパート内唯一の飲食店に向かった。何気なしにそこに入ると海破がいた。

 そして当然のごとく相席となり放課後の出来事―生徒会からの勧誘について聞かされた。

 そして理由を聞いている。


「いや、単純なもので、毎年一組と二組から一人のずつ選ぶらしい。選出の方法は試験の結果から優秀な奴からふるいにかけるみたいだ。まあふるいにかけると言っても今の生徒会との相性で選ぶみたいだ。だが基本は優秀な奴からよっぽどな正確じゃなきゃ生徒会に呼ばれる――と言ってた」

「へえーじゃあ『破壊デストロイ』が一年で一番強いってことなのか」


 箱根が感心する。


「当たり前でしょ箱根!テレビ見たことないの?」

「いやいや見たことぐらいはあるけどよお、テレビ越しじゃああんまし実感わかねえからよ」

「……本気で言ってるの?」

「本気だよ!縁は俺をなんだと思ってんだよ」

「爆弾魔」

「否定できない……」

「仲いいね縁と箱根」

「まあ十年以上一緒にいるからな」

「うえ!そんな仲いいですかね?地元だと皆こんな感じなんで……」


 縁の地元はいいところだな。

 いや本題からずれてしまっている。


「そうだ海破なんでわざわざ私にはそんなことを言ったんだ?」


 わざわざ言う必要はないだろうに。


「俺、生徒会入った方がいいか?」


 返ってきた答えは酷いものだった。それは自分で決める事だろう。私に聞くな。

 私は海破を軽蔑した。そして私の正直な思いを伝えた。


「知るか。自分で決めろ」


 気分は最悪だ。





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