ep33 特別あとがき 給食室で働くすべての人達への感謝
8話 特別あとがき
給食室で働くすべての人達への感謝
今回の章では、あとがきに書くつもり
だった思いが、
気づけば本編の一部のように長く、
熱い内容になりました。
物語を先に読み進めたい方は、
この部分は飛ばしていただいて大丈夫です。
少しでも興味を持っていただけたなら、
読んでもらえたらうれしいです。
学校給食は、子どもたちにとっては
「安全で当たり前に出てくるもの」で
なければなりません。
子どもたちは給食会社や、
給食を作る人を選べません。
だからこそ、そこには厳しい衛生管理が
求められます。
その“当たり前”を守るために、給食室では、
どれだけ神経をすり
減らしているかは、普段なかなか見えてきません。
手洗い、手袋確認、エプロン交換、
アルコール消毒…………………。
HACCPに基づき事前分析し、
やれることをすべてやっていきます。
そのうえ当日納品、当日調理、時間提供の厳守
現場の栄養士さんによっては、
プレッシャーから安全に過剰になるあまり、
根拠のない科学的でない衛生管理を
求めてくることもあります。
またひとたび学校内の複数クラスで
感染症が流行すると、
疑われるのは給食室です。
原因がはっきりしない段階でも、
「給食による食中毒では」と
見なされてしまうこともあります。
その重さに向き合いきれず、
現場を去っていく人もいる。
それでも責任を一身に受け止めて、
今日も子どもたちのために
働き続けている人たちもいます。
食中毒を起こさないために、
どれほどの研修を積み重ね、
どれほど細かく注意を払い続けているのか――。
そのごく一部でも、
この物語を通して伝わってくれたらうれしいな、
と思いながら書きました。
そして実は、大変反省し、恥ずかしいことですが、
私が新人学校栄養士だった頃に、しっかり
味見をせず任せきり
にしてしまい、塩と砂糖の分量を間違えた
揚げパンを出してしまったとき、
「途中で止める」という判断ができませんでした。
また給食室で、回転釜の前の蛍光灯を
調理員さんが誤って
カナベラで破損したときも同じでした。
片づけた後に受けた「あいまいな報告」。
それでも私は、子どもたちの一番人気の
ビビンバを出したい一心で、
「確認して出しましょう」と
人任せな判断してしまいました。
結果、ふたりの児童のビビンバに、
数ミリのガラス片が
入ってしまいました。
幸いけがはありませんでしたが
二十代前半、若かったでは済まされない
誤った判断でした。
現場の判断は、どうしても“悪い方”より
“自分を守る方”に寄りがちです。
今でも、なぜあの時「安全最優先」が
できなかったのか
――今での後悔しかありません。
だからこそ私は、そのときの「止める」と
決めた判断と勇気を、
心から称賛したかった。
いつか物語として残したい、と
前からずっと思ってきました。
この第4章は、まさに「返品を決めるまで」の
話です。
温度は基準内、見た目もギリギリおかしくない。
それでも「いつもと違う感じ」と
舌先のピリピリに、
全員がちゃんと立ち止まってくれる。
学校給食の現場は、基本的に「当日納品」が
前提です。
それなのに、外食と同じように
ヒスタミン食中毒として
“同列”に認定されてしまった事例があります。
納品以前の工程は、チーフも学校栄養士も、
ほとんど
コントロールできません。
それでも最後に「受け取るかどうか」を
決めるのは、
給食の食品責任者であるチーフと
栄養教諭・学校栄養職員です。
理不尽なくらい大きな責任が、
そこで肩にのしかかります。
現場では、栄養士さんと校長先生で判断が分かれ、
その板挟みの中でチーフがとてもつらい思いをした
――そんなケースもありました。
私は、その判断と勇気を称えたいと、
ずっと思ってきました。
子どもたちに「安全な給食」を届けるために、
日々重責を背負って向き合って給食室のみなさん、 責任者のみなさんへ。
本当にいつもありがとうございます。
そして、若い栄養士さんや調理員さん、
これからこの仕事を目指す皆さんに向けた、
私からの小さなメッセージです。
この仕事を選んだ皆さんの毎日は、
本当に価値のあるもので、
現場で向き合う姿をいつも尊敬しています。
大変な場面もあるけれど、
そこにある手間や工夫が、
子どもたちの毎日の「おいしい」を
支えています。
胸を張れる仕事だと、わたし自身も現場で
学びました。
これからも同じ景色を見ながら、
いっしょに給食を作っていけたらうれしいです。




