↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
488/493

 第345話 評議会の答え

 答えは。


 静かに、しかし、確かに、届いた。


 ――大きな、決断ほど。


 声高には、語られない。


 ただ、静かに。


 そこに、置かれる。

 評議会の間。


 いつもと、変わらない、朝だった。


 だが。


 その日の、皆の、表情には。


 何か、決意めいたものが、浮かんでいた。


──────────────────────────────────────


 バルドが、資料を、手に、立ち上がった。


「ヒコ様」


「評議会として」


「結論が」


「まとまりました」


──────────────────────────────────────


 ヒコは、静かに、頷いた。


「聞かせて、ください」


──────────────────────────────────────


 バルドは、一度、深く、息を、吸った。


 そして。


 はっきりと、告げた。


「循環統治体制への」


「移行を」


「正式に」


「承認します」


──────────────────────────────────────


 評議会の間に、静かな、緊張が、走った。


 同時に。


 どこか、清々しい、空気が、流れた。


──────────────────────────────────────


「具体的な、内容を」


 バルドが、続ける。


「お伝えします」


「『フォルテス卿』の、称号は」


「これまで通り」


「ヒコ様に」


「保持していただきます」


「その上で」


「日常の、実務上の、統治権限は」


「私を、中心とした」


「評議会の、合議体へ」


「正式に」


「移管します」


──────────────────────────────────────


 ヒコは、静かに、聞いていた。


──────────────────────────────────────


「ヒコ様には」


 バルドは、続けた。


「この地の、象徴としての、立場」


「そして」


「大きな、危機の際の」


「最終的な、相談役として」


「残っていただければと」


「思います」


──────────────────────────────────────


 ヒコは、しばらく、その、言葉を、噛み締めていた。


「よろしいのですか」


「私が」


「日常の、統治から」


「離れることを」


「はい」


 バルドは、はっきりと、答えた。


「私達は」


「もう」


「大丈夫です」


──────────────────────────────────────


 ガデルが、口を、開いた。


「まだ」


「少し」


「不安は、ある」


「だが」


 ガデルは、腕を、組んだまま、続けた。


「お前が」


「作ってきた、仕組みを」


「信じることに」


「した」


──────────────────────────────────────


 ドガンが、静かに、続けた。


「俺達は」


「お前から」


「多くを」


「学んだ」


「今度は」


「その、学んだことを」


「俺達自身の、力で」


「試す、番だ」


──────────────────────────────────────


 アーヴィンが、短く、言った。


「防衛は」


「任せろ」


 リアも、静かに、頷いた。


「魔法兵団も」


「大丈夫です」


──────────────────────────────────────


 コリンが、最後に、口を、開いた。


「まだ」


「少し」


「寂しい、気持ちも」


「あります」


「でも」


 コリンは、続けた。


「それも」


「命を」


「繋いでいくことの」


「一つの、形だと」


「思うように」


「なりました」


──────────────────────────────────────


 ヒコは、評議会の、皆を、一人ずつ、見渡した。


 その、目に、映る。


 それぞれの、顔。


 迷いながらも。


 決断してくれた。


 その、想い。


──────────────────────────────────────


 ヒコは、深く、頭を、下げた。


「ありがとう、ございます」


「この、決断を」


「決して」


「無駄には」


「しません」


──────────────────────────────────────


 バルドが、静かに、続けた。


「移行の、具体的な、手続きについては」


「聖夜月までに」


「整えていく、予定です」


「引き継ぎも」


「順を、追って」


「進めましょう」


──────────────────────────────────────


「はい」


 ヒコは、頷いた。


「急がず」


「一つずつ」


「進めていきましょう」


──────────────────────────────────────


 会議の後。


 ヒコは、一人、評議会の間の、窓辺に、立っていた。


 外には。


 いつもと、変わらない。


 フォルテス領の、景色が、広がっている。


──────────────────────────────────────


 この、景色を。


 もう。


 自分一人の、判断で、守るのでは、ない。


 その、事実が。


 寂しさと、同時に。


 深い、安堵を。


 ヒコに、もたらしていた。


──────────────────────────────────────


 ヒコは、《可視化》で、領地全体を、見渡した。


 人の、流れ。


 物の、流れ。


 情報の、流れ。


 その、全てが。


 もう。


 一人の、目に、頼ることなく。


 多くの、目によって。


 見守られている。


──────────────────────────────────────


 そして。


 ヒコは、ふと、思った。


 これまで。


 自分だけが、見ようとしていた。


 自分だけが、気づかなければ。


 そう、思っていた。


 だが。


 違う。


 見える者を、増やす。


 気づける者を、育てる。


 判断できる者を、残す。


 それこそが。


 自分が、この二年間。


 作ってきたものなのだ。


──────────────────────────────────────


 答えは、静かに、しかし、確かに、届いた。


 大きな、決断ほど。


 声高には、語られない。


 ただ、静かに。


 そこに、置かれる。


 そして。


 その、静けさの中にこそ。


 最も、確かな、覚悟が。


 宿っていた。


──────────────────────────────────────


 ヒコは。


 もう一度。


 フォルテス領を、見渡した。


 そして。


 静かに、目を、細めた。


 ――これで。


 ようやく。


 次へ、進める。



 第345話 評議会の答え 了

【次回予告】聖夜月の収支。

 二年の、積み重ねを、振り返る時が、来た。


──────────────────────────────────────


【領地収支・第345話時点】


・所持金:金貨4773枚(変動なし)


──────────────────────────────────────


【発展進捗・第345話時点】


・防衛:122%(変動なし)

・食料:101%(変動なし)

・水 :100%(変動なし)

・住居:90%(変動なし)

・インフラ:105%(変動なし)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。