第38話:美術館長、この人生に感謝する
あっという間に時間は過ぎ、皇帝陛下がお帰りになる時間がやってきた。
美術館の外で夕陽に照らされながら、皇帝陛下は至極残念そうな顔を浮かべる。
「本当なら閉館時間まで滞在したいのだがな、仕事が溜まっておるのだ。王妃の小言もあるし、そろそろ帰らねばならん」
「いえ、お忙しいところ来ていただいて感謝のしようもございません」
今回の訪問は、私たちにとっても非常に有意義な時間になった。
名残惜しいけど、いつまでもこうしているわけにはいかない。
皇帝陛下と最後の挨拶を交わす。
「ミオ殿、今日は本当にありがとう。最高の時間を過ごさせてもらった。"美術館イチノセ"の面々もありがとう」
「こちらこそありがとうございました。お気をつけてお帰りください」
馬車に乗る皇帝陛下のを見送る。
別れ際、ジャクリーヌさんとウェンディさんも挨拶してくれた。
「では、また会おう、ミオ。君と知り合えて私は至極嬉しい」
「今度うちの大学にお出でよ。修復のコツを教えてあげよう」
私たちは彼らが見えなくなるまで手を振る。
馬車が去ると周囲には少しずつ静寂が戻り、いつもの静かで穏やかな空気になった。
皇帝陛下たちの訪問が夢みたいだ。
大仕事が終わってホッとするとともに、大事な仲間たちへの感謝の気持ちが湧いた。
「みんなお疲れ様。みんなのおかげで皇帝陛下に喜んでもらえたよ。今日はパーティーでもしようか」
そう提案すると、フォキシーたちは一気に色めき立った。
「パーティー楽しみ! さっそく準備しなくちゃ!」
『晩ご飯にかりんとうが食べられるコン!』
「おいしいもの……いっぱい作るね……」
「一度家に帰って、パパとママから食材を持ってこようかのぉ!」
『ゴハン ダイスキ』
みんなが喜ぶ様子を見ていると、ふと頭の中に懐かしい声が響いた。
〔ミオちゃん、新しい人生はどうかしら?〕
エリューシア様だ。
私をこの世界に連れてきてくれた女神様。
新しい人生はどう……か。
答えはもちろん決まっている。
「最高ですよ」
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