第26話:伯爵幼女、美術館長に感謝する(Side:ソフィー①)
"美術館イチノセ"のミュージアムショップが開かれ、一週間が過ぎた。
それはつまり、ワシがミオたちの仲間になって一週間経ったということじゃ。
開館中はヴェルデやアストラとともに販売を手伝い、休憩時間や閉館後は芸術について教わる。
非常に充実した日々だ。
給金は要らんと言ったが、ミオは丁寧にも支払ってくれた。
律儀な女性じゃ。
ミュージアムショップは大盛況であり客が絶えない。
客はみな、グッズを買う度にミオの話をした。
「このノートの表紙、ミオさんが描いた絵なんですよね? いやぁ、すごく素敵です」
「"美術館イチノセ"のグッズが出ないかなぁ、ってずっと思ってまして。トートバッグみたいな実用的な物を置いてくれているのがとてもありがたいです。やっぱり、ミオさんはセンスがいい」
彼らの口ぶりから、この美術館とミオに対する思いが伝わる。
街から離れた立地ではあるが、住民の心をがっちりと摑んでいるのだとワシは実感する日々じゃ。
たくさんの客を捌いたところで、一人の男児が母親に連れられて来た。
男児は背伸びして、カウンターの上に一輪の花を億。
「……ソフィ、これやる」
このトッドという名の男児は、ほぼ毎日花を持ってくる。
湖畔近くに咲く花だったり、ミルフォードの街で買ったと思われる花など種類に共通はなかった。
いつも受け取ってはいるが、真意は不明じゃ。
風邪をひいているのかワシに渡すときだけ謎に頬が赤いので、うつされないか心配じゃった。
トッドは母親に連れて行かれるが、これまた謎に手を繋ぐことを拒否していた。
美術館を出たらすぐに手を繋ぐくせになぜじゃろうか。
持て余した花をいつも通りアストラの頭に刺したところで、ヴェルデがワシのところに来た。
「お嬢様、そろそろトートバッグの在庫がなくなりそうでございます」
「うむ、わかった。今作るからの……<錬成>!」
新しい在庫を錬成すると、ヴェルデはパチパチと拍手してくれる。
ワシはいつも一人で過ごしてきた。
モンテスキュー家の離れに閉じこもり、錬金術を極める日々だ。
自分の性格や物事に対する考え方が、同い年の子どもたちとだいぶ違うことはよくわかっている。
他人と交流しない毎日なので、ヴェルデの他、パパとママにもずいぶんと心配をかけてしまった。
じゃが、もうそんな心配をかけることはないのじゃ。
このミュージアムショップにいれば、色んな人と話せる。
ワシに人々と触れ合うきっかけをくれてありがとう、ミオ。
これからもよろしく頼むぞよ。
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