第1部 でかいカラス
俺には特技がない。
しいて言えば、何も使わずに火をつける事だけだ。
この特技はタバコを吸うときにだけ役に立つ。
それ以外は役にたった試しがない。
俺は働きもせず、今と言う日々を浪費している。
それはと言うもの、理由がある。
この火を使う能力のせいで、いろんな事故に巻き込まれてしまったからだ。
まずは、両親。
赤子だった俺は火の扱い方を知らず、大やけどを負った。
それからというもの、実の両親からも疎んじられ、今は両親から
貰った金で一人暮らしをしている。
学校でも事件は起こった。
理科の実験の最中、力の使い方を誤り、自然発火してしまった。
そのせいで、学校にも行けなかった。
そんなこんなで、この能力のせいで、今もこんな自堕落な生活に陥っている。
日がな、惰眠をむさぼり、タバコをふかし、生きていると言えば
生きているが、なんのために生きているのか全く分からない状態で生きている
仕事をすれば失敗ばかりで上手くいかず、この体たらくである。
なにか自分を救うものがあればいいのだが。
テレビをつけるとニュースがやっていた。
熊が出ただの、人が死んだだの、ろくでもないニュースばかりだ。
そこで目を引いたニュースが一つあった。
巨大なカラスのような生物の話だ。
遺伝子異常かなにかで巨大なカラスになった物が人を襲っているというものだ。
なにやら討伐したものには100万円の報奨金付きらしい。
まどろんだ目が少し輝いた。
巨大なカラスだって?くだらない。
そんなもの人を喰らって人間など滅亡してしまえばいい。
そう思った俺だったが、思えば自分の能力を使えば巨大カラスを
討伐出来るのではないかと思ったのだ。
さっそく、現場にむかうと、巨大な傷跡のような痕跡が残されていた。
「ここか・・・。」
巣は一体どこにあるのか?
探してみることにしたが規制線が貼られていて、入れやしない。
遠巻きに報道陣もいるようだ。
「なにか抜け道はないか・・・?」
そう思って探していると、一つ規制線が破られている場所を発見した。
「ここだな・・・。」
狙いをつけた場所か侵入していくと、やたらと獣臭ただよう場所を発見した。
ここだ。
ここが、奴の巣に違いない。俺の第六感が告げていた。
しばらくすると、大きな羽音が聞こえてきて「奴」がやってきた。
エサである「人間」をくわえながら。
「ニュースじゃ人まで襲うって聞いてないぞ!!」
「奴」と目が合う。
やるしかない。
人差し指に炎を集中させ、打ち込む。
あまりやったことのない技だが、たまに打ちはなったことがある俺の必殺技だ。
「いっけぇぇぇぇ!」
カラスの目玉に向けて思いっ切り炎を放った。
その瞬間、カラスが目から中心に燃え盛った。
ボォォォォ!!
一発で燃え盛ったカラスは咥えていた人を離して、燃え切った。
「やったぞ!これで100万円ゲットか?」
報道陣や警察が集まってくる。
「やったのは君かい!」
「一体どうやって?」
質問攻めにあったが、適当に火を放った等、俺の能力がバレない程度に
説明をした。
なんや、かんやで100万円と表彰付きでゲットした。
俺の能力が初めて人に評価された瞬間だった。




