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エルシナスヴァリア〜最強の頂へ〜  作者: 一木
第一章 約束は終わることなく
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第四話 偉大な闇

「さあ、という事で。いよいよ魔法を使っていこう!二人とも、操作はできてるかな?早速行こうか!」


カイはあれから自力で操作を成功させた。

オレが説明した意味なかったわ。


「じゃ、二人ともついてきて。洞窟に行こう。」


「「洞窟?」」


「でもここからじゃちょーっと遠いし、転移しよう。」


転移…って、あの転移!?

ワープみたいな?


視界が光に包まれ始めた。

呑み込まれるぞ、これ。

反射的に目を瞑ってしまった。


目を開けると…


「さ、着いたよ!ここはオーケンの町で最も大きい大洞窟、グレートダーク。地下7000mにまで迫ることが分かっていてね。最奥には主が居るんだ。」


グレートダークってどっかで聞いたことある気がするんだよな。


なんか、紙で…

依頼?


あ、思い出した、アイシャ?だったかの人が依頼で持っていってた。ここがそうなのか。

なるほど、入口だけでこの威圧感は凄いな。

てか入口でか。


「二人には実戦形式で魔法を習得してもらうよ。最終目標は主討伐。倒したら帰ってきて良いよ。頑張って!」


そう言われたと思ったら、松明一本だけ渡されて、いきなり放り込まれた。



ドゴォォォォォォン!!!



凄まじい音と共に、大岩で入口まで閉められた。

衝撃で破片が飛んでくる。


ミラ姉、脳筋なの?



…てか、は?つまりサバイバル?

カイと二人きりで?


「ジオ。今までありがとうな。」


「は?どうしたんだよ急に。」


「オマエと二人で切り抜けられるわけもないので、僕たちはここで終了です。ありがとうございました。」


「おいおいカイ、いざとなったらあの大岩ぶん殴って破壊してくれよ。魔法はともかく物理はめっちゃ強いだろ、おまえ。」


「すでに試したけど岩自体に破壊できないように魔法で細工されてる。無理。ていうかそんなことしてもまた放り込まれるだけだろ。」


「横の壁を掘って進んでくとか…ダメか。じゃ、脱出も無理です、と。どうしたもんかな〜。」


なんて考えてたら…


奥からコウモリ型の魔物が飛び出して来た!

さっきの爆音に反応したってか?


ああもう、情報量多すぎだろ!

何だかわからない!


えーっと、えーっと…


考えるのはやめた!

ひとまず今はこいつらどうするかだ。


…なんだこいつら、多すぎるぞ。

ちっちゃい上に飛び回るから、攻撃しようにもムズイな。


まず拳が届かない。

数が多いから、倒せたとしてもキリが無い。

初っ端難易度が高いんだよ。


というか、二人で連携しろとか言ってたけど、生憎そういうのしたことないんだって!

合わせられる気がしないぞ?


くそ、いきなりどうしたらいいんだよ!?

やっぱり拳で?

てかどうやって?

オレにできるか?


チクショー、またパニクってきたぁぁ!



「ジオ、もうやるしか無い。オマエが引きつけろ。なるべく一か所にまとめてくれれば、あとは僕がぶっ飛ばす。」


…そうか。

そうだよな。

こいつはいつも落ち着いてるな。

冷静なカイを見て、こっちも落ち着きを取り戻した。


「あー、分かったよ。」


カイの打撃の威力は桁違いなことを思い出した。


癪だがやるしか無い。

このコウモリたちは殺す気で来ている。


でも一か所ってどうすれば?

ヘイトを集めようにも届かないんじゃ…



…そうだ、こいつだ。

ちょうど良い大きさの小石がばら撒かれている。

さっきの大岩の破片か。


ありがたい、使わせてもらう。


拾って、ぶん投げる。

また拾って、ぶん投げる。


当てろ。

松明は大岩の衝撃で吹っ飛んだ。

取りにも行けない状況だ。


この洞窟の中じゃあ、暗すぎてまともに見えないんだ。


なるほど、こんな時の魔力感知だ。

空気に舞う魔力を感知すれば、壁、地面の形だって認識できる。

薄く、徐々に感知を広げるんだ、多分。

慣らしていけ。


動いている相手に当てるなんて器用なことは正確性がない。

なるべく静止している相手からだ。

見極めろ、動く相手と止まってる相手。


とにかくヘイトを集めろ、そんで逃げまくるんだ!

障害物が多いとこで逃げまわんのは、森で慣れてるんでな!


当てたやつから引き寄せろ、カイは合わせてくれるはずだ。


繰り返せ、これを!


そして…



「ナイス、ジオ。あとは僕の番だ。」


拳を構えるあいつの横を抜け、すれ違う。


   バゴォン!!


勢いの良い音がした。

と思ったら、コウモリは殲滅だ。


「えーー…」


思わず声が出た。

カイの物理攻撃の威力に対して。

どんな体してんだよ。


辺りに気絶したコウモリが転がる。

気持ち悪いなこれ。


「ほらジオ、終わったんだからさっさと行くぞ。」


「え、潜ってくのか?…まあその方がいいか。」


オレもカイも、早く下行って早く終わらせた方がいいと判断した。


――――――――――――


ちょいと進んだ地下。


そんな魔物魔物魔物ォ!って感じじゃないから、割とスムーズに来た。

結構広い空間に出たぞ。


流石にコウモリたちは巻いたか。

ていうか全部倒したか。


「ハッ…ハッ…」  


なんだ…?異様に疲れるな。

こんな程度で息切れするほど弱くないつもりなんだが?


…ああ、そうか。


ここんとこ魔力感知をやりっぱなしにしていたな。

だから疲れるんだ。

やり慣れていないことをいきなり続けると、誰だって疲れるもんだ。


「ハッ、ハッ、これも…修行か…。」


口に出して言うと、やる気は高まる。

これは父さんに教えてもらったな。


松明はあるけど、感知がいかんせん便利なもんでね。

後ろまで見える感覚がどれほど良いものか知らないだろ?


…でも流石にこのペースだと疲れで最後まで行けないかもな。

ちょっと切っとくか。


「…ジオ、なんだあれ。」


「…?カイ、なんだよ。」


カイは、一つの岩を指差した。


ん?確かに、変だ。 

あれだけ、不自然に魔力を帯びている。


ゴソソ…と音を立てている。


なんだ…?


って、これは!?


「魔物の一種…か?」


カイが呟く。

そんで、すぐに気づいた。

岩に擬態している、というか岩そのものなこいつは、今は寝ているんだ。


(ジオ、どうやら寝てるらしい。決してデカい音を立てるなよ。)


(分かってるよ。そっちもな。)


極小音で会話を済ませる。


見る限り七体は居るな。

文字通り岩って魔物だから、こっちの攻撃は通んねぇだろうな。



よし、そのままだ、ゆっくり行こう。

静かに、静かに、静かに。



向こうに通路があるな。

あれが下に繋がるものか。

ざっとここから25mぐらいか?



いざとなったら、カイに押しつけよう。

おんなじ様にオレが引きつけて、あいつの拳で破壊して貰えばいい。



よし、もう出口だ。

あと少し。



(カイ、意外と余裕だな。)


(おい、ここを抜けてからにしろ。)


(分かったよ…)



油断か慣れか、はたまた謎の余裕だったのかな。

それが生まれていた。失敗だった。


ゴンッ


ん?何かに…


って、これは。

岩に擬態してた、あいつだ…!


しまった、出口ばっかり意識してた!

目の前のこいつに気づかないなんて!


「グオオ、オオオオオ!!」


「くそ、やってくれたな。こうなったら仕方ない、一気に抜けるぞ!」


「ごめん、カイ!」



やってしまった。

ミラ姉も言ってたっけか?

油断も慢心もしちゃいけないって。


オレはこんなに馬鹿だったか!?



とにかく、抜けろ!通路を目指せ!




─────ハァ…ハァ…


ここまでくれば…どうだ…?

異臭がするな…。うっ…気持ち悪い。


「は…ジオ、どうやら僕たちは道を間違えたらしい。」


「はぁ?それって…」


「見ろよこれ、さっきの岩の亀どもの拠点らしい。100体は超えてるか?あんな見た目で群れを成すなんてな。」


「ああ、マジかよ…。偏見は信じちゃいけねぇな…」


囲まれた。

まさか逃げてきた通路がそのまま巣に繋がる道だったなんてな。


更に進んだ地下で、第二の関門が到来した。




岩でできてる奴なんてどう倒せってんだ?

カイならぶん殴って破壊してくれるか?


「カイ!頼む!」


「うるさい、言われるまでもない。」


カイは飛び上がった。


「その岩、甲羅だろ?上からの拳は対処できないはずだ。さっさと砕けろ。」


重力まで味方につけた拳が繰り出される。

良いね。と、思ったら。


鈍い音がした。

カイの拳が弾かれた。


あの馬鹿火力の拳が!?


「ッ!硬いな…」


カイの一発でも無理だって?


…なるほど、感知で見るとこいつら薄い魔力の膜みたいなのが張ってあるな。

クッションみたいな感じか?

じゃあ打撃は無理だな。


…って、多すぎだろ!

逃げらんねぇぞ、これ!

こっちに打つ手がないのを良いことに!


「ぐっ…こいつら…ッ!」


武器も装備もない状態でどう防げってんだ!


一体一体がデカい、質量に物言わせて押し潰そうとしてくる。

攻撃自体は単純だが、後ろも囲まれてるせいで避けられない。

受け止めるしかないんだ。

この体一つで、一体どこまで行ける?

鍛えてなかったら、もう死んでた。


こんな時に剣の一本でもあれば、状況は変わってたか?


「チッ、やってらんねーな。何か使えるものがあれば良かったのにな。」


「カイ、ほんとに破壊できないんだな?こいつら。」


「何度も試したし言ってるだろ。もうここで終わりかもしれないんだぞ。」


何か、何かないのか…?



不思議と、周りを見るうちに落ち着いてきた。


今は…大丈夫、冷静だ。



オレは、全方位を囲む洞窟を見渡した。


死ぬかもしれない。


そんな危機が、無意識に直感を目覚めさせたんだと思う。

この場における答えが、どこかにあると言っている。


第六感に目覚めて、直感が鋭くなったのを改めて感じた。



…見つけた。

異臭の原因はガスだ。


漏れてるところも掴んだ。

あとは、松明をぶち込んで爆破してやる。

自爆覚悟だ。


「カイ、合図したら、オレを()()()に投げ飛ばしてくれ。」


指を指しながら、続けて話す。


「それと同時に反対方向の通路に走り込め。」


「はぁ?ジオ、オマエ…。何が目的かは知らないが、まあいい、やってやる。」


良いね、早くて助かる。

こういう所がカイの強い部分なんだな。


「おし、行くぞ…1、2、3ッ!!」


オレはカイと向き合う。


そして、こいつの拳を、真正面から受け止める!


「がぁっ…!」


いってぇ…!!

だけど…流石だ。

人を一人ぶっ飛ばすのはこいつの拳なら容易だな。


()()に来れた!

オレはガス漏れ部分に、松明を投げ込んだ。


この時、確かに打開策はこれしかなかった。

一つだけミスだったのは、爆発の威力だ。


これを受け止め切らなければ────




本能でわかる。


これは、生身では無理だ。

なら、どうする?


オレに与えられたのは、爆風が届くまでのおよそ0.7秒。



どうするかな。どこかにヒントがあるはずだ。

記憶を巡れ…何気ない一言も拾っていけ。



何言ってたかな…。そうだ、魔法だ。

その修得に来たんだった。


…うん、やれる。魔力操作、ばっちし。



てか、何でこういう時に思考が冴え渡るんだ?

何倍も思考が加速しているような…

…いや、今は集中しろ。

更なる進化を呼び寄せろ。



目指すはシールド。

魔力で分厚い壁を作るんだ。

そんで、爆風を逆に利用してやる。



残り───



いけ!



轟音だ。

凄まじいな。

耳がぶっ潰れる。


はは、成功だ!

膜を纏うのは今は無理だったけど、爆発の方向に魔力の障壁を構築した。

衝撃をガードした!


「ジオ!大丈夫か!?」


カイは、飛んできたオレを見事にキャッチしてくれた。


「はは、ご覧の通り。岩の亀どもは、奈落に真っ逆さまだぜ。」


そう。

あいつらは薄い膜を張っているから爆発自体はそれほど効果がないのが分かっていた。


だけど感知で見ると、この下にはまた広い空間が広がっていることが分かった。


どんな構造の洞窟だよ…とは思ったけど、作戦勝ちだな。


こうしてオレも爆風で飛んで穴に落ちずに済んだ。


自画自賛になるが、流石だ。

オレは、またしても正解を出した。


「ったく、死んでたらどうしてたんだ。」


「はは、カイは心配しすぎなんだよ。あのまま何もしないよりは、こうした方が良かっただろ?」




―――――――――――



「疲れたから一旦休む。おやすみ。」


カイはそう言って横になった。

にしても、カイならあの状況で既に魔法を習得してそうだったけどな。こいつ習得は早いし。


オレらは岩の亀どもが住んでいたらしい巣で休憩していた。


何敵地のど真ん中で…と思うかもしれないけど、周りに何も居ないのは感知で分かった。


そういえば、壁の向こうを感知できるようになってるな。

魔力操作も、障壁を作れるぐらいには成長できた。


カイも流石だな。ほとんどあいつが魔物たちを相手取ってた。


「…カイ?」

って、早!

こいつもう寝たのかよ!

睡魔には勝てないカイ、ここでも健在か。


ま、そうだな。昼寝程度なら良いだろ。

幸い隠れ家みたいになってるし、近くに気配もない。


コウモリに岩の亀だったか?

たった二種類にここまで翻弄されるなんてな。

てか、どういう組み合わせだよ。


まあ良いか。多分体感1/5も進んでないけど、早く主とか言うのをぶっ飛ばして、早く太陽に挨拶しよう。


そうと決まれば、ちょいと休憩。おやすみ。



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