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飛空艇の内装は絢爛豪華でバーカウンターがついたリビングの先を
通り抜け個室の長椅子に寝かされた
空の上とは思えないくらい広く豪華なホテルのようだ
長椅子につくとヒューゴに丁寧にホットタオルで足を拭かれた
気持ちよさに落ち着いてしまい
忘れそうになった大問題が蘇ってきた
「ヒューゴ!どういうこと!!婚約とか貴方の身分も知らなかったわ」
「そんなに怒ること?僕はもちろん結婚するつもりだけど
君は違うの?僕の事嫌い?」
「もちろん好きよ!でもまだ店の立て直しもあるしすぐにはできないわ」
「じゃあ婚約なら今すぐいいだろう」
「その前に身分は!貴族じゃないと言ってたけど
大銀行の嫡男って聞いてない!不釣り合い過ぎだわ」
フェーブ銀行は国一番の大銀行だ
隣国の顧客も多く世界でも五本の指に入るといっても言い過ぎではない
無論田舎娘では月とスッポンとの差がありすぎる。
「そんなの問題ない、親父は婚約しろ結婚しろとずっと煩さかったし
姉達は大富豪や王族にも嫁いでるし、君が店の跡取りに婿に来て欲しいなら
家の稼業は他の役員達に任せればなんとかなるだろ
というか俺は今は一介の王都の役人だよ」
「はぁ!?いつかは稼業継ぐって言ってたじゃない!
しかも大銀行の頭取辞めて田舎の薬店の主人になりますって
寝言言ってるっの!!」
「だって君は店が大事なんだろう?レアプレイスの管理もあるし
僕は君とずーと一緒に居たいの!」
ヒューゴはむくれた、なんだか子供みたいだ
「でどうなの?僕が他の子と婚約してもいいの?」
その時メアリのお腹がギュルルルルと
大きな音を立てた。
「ごっごめんなさいお腹が減って・・・」
「ぷっ!婚約OKって返事って事でいいよね!」
「ちょっと!」
起き上がろうとした瞬間
ヒューゴが凄い力で長椅子に抑えつけてきた
そのまま深いキスを何度もされた
「他の子とするの嫌だわ、ビアンカの事も気が気じゃなかったし」
「ヤキモチ妬いてるところ可愛い、愛してるよメアリ」
「そういえば彼女は!?」
「?」
「ビアンカよ!楽しそうにしてたじゃない!!」
「ああ、彼女、屋敷から出るとき付いてこようとして
キッパリ興味ないからと断ったら
“私を振るなんて後悔させてやるんだから!”と
逃げて行ったよ、おおかた家に戻ったんだろ」
「・・・それちょっと可哀想かも」
「そう?煮え切らない態度取られる方が残酷だよ」
そう言いながらメアリの首筋にキスをし
自分がつけたキスマークを触った
「うっ」
「ハーディガンのオッさん除けは効いたかな?
俺のものなのに手を出しやがって殺してやる所だった」
なんとハーディガンと同じ事言ってる
彼と一緒で独占欲が強いんだろうか?
いや指輪を貰って浮かれたが実は発信機だったとは
もしかしたら彼以上かもしれない。
そのせいで大変な目に遭ったと言いたかったが止めた。
自分がつけたキスマークの後を一通り眺めると
胸元までドレスを脱がせ足を開かせようとした
「だっダメだってば!」
「なんで?相思相愛で結婚するんだからいいじゃん
今すぐ君と繋がりたい」
そういうと彼は意地悪な顔をして自分の腰のベルトを外し
メアリの手首をベルトで縛った
両手が縛られて乳首が見えそうになる
「凄くいい眺め、切なそうな表情が唆るね」
そういうと厭らしくヒューゴは唇を舐めた
「イヤ・・・今は許して」
「ダメ、今回は許さない。優しくするから
僕のものになって」
ヒューゴが胸の手をかけた瞬間ゴンという音が響いて
彼が倒れこんできた。
「メアリ様!大丈夫ですか!!」
そこにはメイド長のリリーが銀盆を持って立っていた
「リリーなぜここに!」
「ハーディガン様にはあの後をクビにされ
屋敷から追い出されました
困ってるところをヒューゴ様に助けてもらい
あなた様の世話をするよう雇って貰いましたの」
リリーはメアリの手首のベルトを外した
メアリは嬉しさに思わずリリーを抱きしめてしまった
「あの時はありがとう!すぐお礼を言えなくてごめんね」
「いえ、ずっと恩返しをしたいと思ってました」
「恩返し?」
「私の両親はこの村の出身なんです、うちは貧乏でしかも母は病弱だったので
メアリ様のご両親様にはタダ同然で薬を頂いてたそうです
おかげで元気なり両親はいい働き口が見つかった為
王都に引っ越したのです。
凄く世話になったそうですが
何も恩返してないと両親はいつも言ってました
だからハーディガン様からこちらに来るように言われた時は
何かを縁を感じてましたが、結局ご主人様にはあのような事を・・・
しかも今回はヒューゴ様にも手をかけてしまった」
手をかけるってただ気絶してるだけだが・・・
でも二回も絶妙なタイミングで助けられるとは
リリーの銀盆恐るべし威力だなと苦笑した
「大丈夫、ヒューゴは気絶してるだけだし怒らないわ
少し頭を冷やした方が良かったのよ
このまま寝かせておきましょう」
リリーは一応冷たいタオルをヒューゴの頭部の
銀盆の一撃した箇所に当てておいた
「そうそうメアリ様!見せたいものがあるんです
こちらへ!」
リリーに手を引かれて別の個室の扉の前に
立った時気がついた
「この匂いは・・・」
「そうなんです!」
扉を開けると部屋いっぱい百合が積まれていた
ヒューゴ様は山で見つけたそうですよ!良かったですね
公爵家の結婚式のお祝いにも間に合います
あの短時間での彼の行動力には本当に恐れ入る
てことはまさか!!
「王都に着いたら公爵の結婚パーティー時に
メアリ様との婚約発表も行うそうです
もう段取りはついてるそうですよ~
グリべリック伯爵令嬢はヒューゴ様の又従姉妹だそうで
親戚が大勢集まるから丁度いいと申されてました」
「やっぱり・・・」
リリーが嬉しそうに後ろに隠したライトブルーの華やかなドレスを差し出した
「さぁこれがパーティ用のドレスです!
そろそろお支度始めませんと
王都に着いてしまいますよ!」
「・・・メアリ様?」
「無理無理無理!!
いきなり公爵様にご対面ですぐ婚約発表なんて無理だー!
降りたーい!誰か降ろしてー!!」
「メアリ様残念ですがこの船は王都まで自動操縦だそうで
ヒューゴ様の音声認識じゃないとロック解除できないそうです」
その後メアリの絶叫の声が王都に着陸するまで飛空艇に響いていた
おわり
処女作の為読みにくかったと思いますが
最後までお付き合い頂きありがとうございました。
作品作りがなかなか進みませんが
楽しかったのでまた別のお話を作ってみたいと思ってます。
ありがとうございました。




