第一章 1943編 第一話
あれから十数年、海神帝国は急激な経済成長の渦中にあったが極東の植民地地域の台頭を警戒する合衆国を中心とする連合国と戦争状態に陥り、42年後期に南西諸島を失陥してからは本土と南方資源地帯との輸送ルートが遮断され戦争継続が難しくなっていた。特に海軍戦力が大きく二分され本土防衛戦力が不足する事態となった。あの時の女の子一条楓は若き海軍少佐となり巡洋戦艦穂高副長に就任していた。穂高の所属する帝国連合艦隊第2艦隊第3戦隊は42年8月にサンガポール(海神名昭南島)に進出しビルマ方面のブリテッシュ連合王国軍基地に対する艦砲射撃の任務などに就いていた。しかし南西諸島失陥によりゴムや錫、ボーキサイトといった戦略的重要物質を還送出来なくなったことに加え、損傷艦や本土防衛の戦力を呼び戻したい司令部は2月上旬に輸送船11隻タンカー14隻空母3隻巡洋戦艦1隻重巡洋艦3隻を中心とした日号船団を編成し本土に帰還させる北号作戦を発令した。2月7日船団はサンガポールを出航、途中フィリッピンルソン島北端までは大和武蔵を中心とした戦艦隊が護衛し2月10日に台湾高雄に到着した。同日台南航空隊2個飛行戦隊による陽動作戦が実行され敵機動艦隊を遠ざけることに成功した。船団は航路を偽装し大陸沿岸へ進路を変え以降浅瀬を航行し続けた。そして2月14日ついに帝都の入口、呉崎軍港に到着した。




