出会い
憤りと怒りを感じながら家に帰り、彼と関わりのあるものをすべて捨てた。
整理が終わる頃には夕方6時を過ぎていた。
夕食も兼ねて飲みに行こう。
そう決めた私は今朝よりも少しラフな格好で行きつけの居酒屋に行くことにした。
ピークよりも少し早めの時間についたこともあって店内はガラガラだった。
アルバイトを始めたばかりであろう店員に聞かれる前にカウンター席に座る。
ここの居酒屋の店員で私の顔を知らない人はいないので、後々彼も私の顔を覚えるだろう。
ビール、チューハイ、焼酎、日本酒など一通り飲んだところでぞろぞろとサラリーマンの団体客が入ってきた。
私みたいな若い女性が一人飲んでいるのは少し気味が悪いのか隣には誰一人として座らない。そんな中私に話しかけてくる人がいた。
「隣、座っても?」
「…どうぞ」
この人も女性だったが物好きだなあと思いながら隣に座られることを了承した。
「珍しいですね、女性一人でなんて」
その女性は急に話しかけてきた。誰とでも話すタイプなのだろうか。ただ返さないのも悪いのでその人と話すことにした。
「そちらこそ女性一人じゃないですか?」
「そういわれればそうなんですけど」
笑いながらその女性は言った。
私見たく女性一人居酒屋というのは珍しいので社交辞令のようにその女性は質問をしてきた。
「何か悩み事でもあるんですか?例えば…ふられたとか」
不意をつかれたようにピンポイントに聞かれたので少し動揺してしまう。
「えっと…」
その動揺からか昼間彼に言われたことが頭の中で反芻され悲しみや寂しさと同時に本当に好きだったことを思い出し涙がコップからこぼれるように溢れ出てきた。
「あら、本当のことでした?」
「うっ…はい…っ…」
「ここじゃ人目につくし…私の家、きますか?」
人目を憚らず泣きたかったのと多分誰かに甘えたかったのだろう。
「すいません…ひっく…」
涙ながらに謝りながら彼女の家について行くことにした。




