白昼夢のお話 中編
「ここね。随分とまあ厳重な事」
村を出てまた数日ほど。
日が開けて間もなく『鬼』が向かったと思われる本家へと到着した。
方角しか聞いていなかったが、途中途中で大岩が砕けていたり獣の死体が有ったり木々が薙ぎ倒されていた。
どうせあの『鬼』がやったのだろうと見当をつけ、破壊の痕跡を辿ってやって来たのだ。
森に手が加えられ、一本の道が続いている。ご丁寧に石畳だ。
しかし生き物の気配は全くない。ここは山奥だ。人間の気配が無いのならわかるが、動物の気配が零なのだ。鳥の囀り一つ聞こえない。
「生物避けの結界。それも随分と高度な奴。怪しいって言っている物よね」
人避けの結界が張られている。
ついこの前の村に張られていた結界は妖怪避け。この結界は人間を含む生物全般を通さないための物だ。
一般人は無意識の内にこの道を避けてしまう。もちろん動物も。
人の入った形跡が全くないのもそのせいだろう。
しかしこの結界には、一つ欠点がある。
「ま、関係ないけれど」
彼女は問題なく、石畳へ足を踏み入れた。
この結界、気付いている人間には効果を発揮しないのだ。
彼女は人間であるが、そういった裏の世界に精通している。
人避けの結界など、僅かな違和感で看破する事が出来るのだ。
―――ヒュン、グチリ
彼女の頭がゴトリと落ちた。
彼女の体の断面からは勢いよく血液が吹き出し、石畳を染める。首を斬られたのだ。
彼女の体は倒れる事なく、微動だにしない。
ゆっくりとかがみ転がっている自分の頭を持ち、まるでヘルメットでも被るように断面を合わせた。
そして数秒後手を離し、視線を後ろに向けた。
「あらあら、随分と荒っぽいわね。侵入者は生かして返さない、って事かしら」
極々細い一本の黒い線が鮮血で赤く染まっている。対人間用のトラップだろう。
しかも、呪いをかけた女性の髪の毛を使用する念の入れよう。もはや殺意しかない。
―――トン…グシュリグチリ
僅かな衝撃。
胸から銀色の長物が生えている。どうやら後ろから胸を刺されたようだ。
グリグリと掻き回すのは止めてもらいたい。慣れているとはいえ、痛い物は痛いのだ。
「全く、躾がなっていないわね。挨拶を教わらなかったの?」
体を捻り後方へと回し蹴りを繰り出す。
しかし手応えはない。
ゆらりと身を逸らして回避をしたのだ。
背中に手を回し長物を引き抜く。血が噴き出すが、それも数秒すれば完治した。
彼女の心臓を刺し貫いた敵。
体を全て黒い布で覆い、その表情は全く窺い知れない。
「…」
「式神ね。面倒な物を使って」
式神。
何かに命令を組み込み、自在に使役する術。
恐れず、痛みを感じず、命令を愚直に守る兵を無尽蔵に量産する事が出来る。
有名な術法として、紙を媒介に術者を支援させることだろう。
だが、その難度は高い。結界術と比べても段違いだ。
自分の周りを適当に飛ばし敵へと特攻させる。それだけならばある程度、触りを覚えた者ならば誰にでもできる。
それ以上になると難易度が段違いになる。式神を専門に扱う者など極僅かだ。
熟練した者ならば、何百という式神を同時に使役し圧倒的な物量で押し潰す事も可能だが、そんなの極一部の極僅か。
今の時代には居ないだろう。
一部の者が結託し、秘伝として門外不出にした時代もあったと思い返す。
あの時代には骨のある術を持った人間もいたが、今ではトンと見かけない。
五芒星を紋としていた人間は中々楽しめた。もうかなり昔になるか。
さて目の前のこれは、人間を式神として使役しているようだ。
自意識が有るのか無いのか知った事ではないが、随分とまあ意味のない事をする。
「ほら、来なさいよ」
「…」
彼女は手を広げて無防備になる。
その隙を突いてか、式神は残像を発生させるような勢いで彼女の懐に潜り込み、右腕を物凄い勢いで刺突する。
―――ズブリ、ミキミキ
式神の腕が彼女の胴体を貫通した。骨を砕き、臓器を潰した。
しかしそれだけだ。彼女は死なない。
式神が腕を引き抜こうとするが、僅かも動かない。
「はい終わり」
彼女は片手に持っていた長物で式神の首を落とした。
しかしそれだけでは終わらない。式神はしぶといのだ。
無害であるだけ油虫の方がマシともいえる。
両手両足を斬り落とし、ついでに心臓に長物を突き立て木に縫い止めておく。
ここまでしてようやく、式神を行動不能にする事が出来た。
彼女の傷は、腕を抜いた数秒後には完治していた。
式神は命令に従順だ。命令を果たすまで、たとえ腕がもげようが足が千切れようが動き続ける。
そこに恐怖はない。つまり、逃げないのだ。
勝ち目がない相手であっても戦い続ける。応用性が欠片もない。
なんと憐れなのだろう。獣ですら勝ち目のない相手から逃げ出すのに。それ以下だ。
人間を式神にするくらいなら、低俗な獣を大量に使役して物量で攻めた方がいいだろうに。
彼女の興味は、既に式神からは失せていた。
その先にある瓦屋根。あの店主が言っていた、本家の屋敷だろう。
「さて、と。どんなのがいるのかしらね」
血塗れの石畳をそのままに置き、彼女は更に歩を進めた。
鼻歌を歌いながら、まるで自分の庭を歩くように。
―――
屋敷を囲むようにして高めの塀が建っていた。
彼女は塀を沿うようにして、ペタペタと土壁を触る。
「結界ね。それもかなりの奴」
村に張られていた結界とは段違いの性能だ。
あちらの結界を一とするならば、こちらは二十。中級の妖怪や一部上級の妖怪は寄せ付けないだろう。
結界術を長年修練した者でなければ張る事は難しいだろう。つまり、この屋敷にはそれなりの者が居るという事。
こんな結界は気にするほどでもないが、侵入者探知の術式も確認できた。
乗り越えれば、すぐにばれる。
「仕方ないわね。面倒だけれど」
懐から一枚の符を取り出した彼女。
『鬼』の腕を切った符とは描かれている紋様がまた違う。
符を地面へヒラヒラと落とすと符の紋様が地面へと広がり、昏い穴を空ける。
しかし彼女に驚きはない。見慣れているのだ。
「出てきなさい、阿吽」
その言葉を合図に、昏い穴の淵に毛で覆われた動物の足が見えた。
ガリガリと地面を引っ掻き、大きな傷跡を残しながら、穴から這い上がってきた。
『ハッ! 何用デ御座イマショウ!』
『…』
二対の犬の頭にその胴体。
首回りは毛が溢れ、見ているだけで暑苦しい。
傍から見れば、大きな犬だろう。よく見る柴犬の数倍。
彼女の背丈よりも少し大きい位か。
口を利く方が『阿』で、黙りこくっている方が『吽』だ。
面倒なので、合わせて『阿吽』と呼んでいる。
「偵察よ。これの持ち主を探して」
『…』
『吽』が簪に鼻を近づけ、数秒ほど簪の臭いを嗅ぐ。そして首を切り離して塀を飛び越し、消えて行った。
『主殿、回リクドイ真似ヲセズトモ、我ガ結界ゴト喰イ千切ッテ見セマショウ!』
そういえば、と『阿吽』を調伏した際の事を思い出す。
確か、結界が張られている村のみを次々と襲い、人間を無差別に食い荒らしていたのだったか。
村々で信仰されていた神に泣き付かれ、その調査と駆除に向かったのだ
村を襲っていたのは、巨大な犬の妖怪。頭が二対あるのは異様だったが、所詮は妖怪。舐めてかかったのは事実だ。
その妖怪は、予想を遥かに超えた強さだった。
結界で閉じ込めても喰い破り、攻撃は結界に阻まれ届く事はない。
巨大な顎は彼女の頭を一噛みで粉砕するし、鋭い爪は胴体を真っ二つに、強靭な尻尾は地面ごと遥か遠方まで吹き飛ばされるわで、散々な目に遭った。
最終的には、三日三晩不眠不休で戦い続け、持久戦に持ち込んだ上で限界まで殴りつけ、瀕死になった所で退魔の術式が刻み込まれた取って置きの封印杭を十本打ちこみ、ようやく鎮めることができた。
そうして話を聞くと特大の『悪意』に中てられ、正気を失っていたらしい。
結界を破るのに長けている方が『阿』と名乗り、結界を創るのに長けている方が『吽』と名乗った。
正気に戻して頂いた恩と言い、契約を結んでくれとのたまった。しかし彼女は、こんな面倒な相手と契約するのはほとほと懲りていたので断った。
すると『吽』が結界で彼女を覆い『阿』が『契約セネバ永劫解カヌ』と言ったのだ。
人間如きには傷つける事すら不可能な結界。
流石の彼女もこれには白旗を上げ、仕方なく『阿吽』と契約を結んだ。
結界を貫く事しか能のない術式を創ったので、今はもう心配はないが。
三回呼べば契約は終わるのだが、使い道も無かったので放っておいた。
これが最初。顔を見るのも久しぶりだ。
「いいのよ。退屈潰しに来ただけなんだから、態々殺すほどでもないの」
『ソウデ御座イマシタカ。申シ訳アリマセヌ…ムッ『吽』ガ発見ヨウデス』
『阿』がそう言うと、塀の向こうから何やら音がした。
バチバチやらバリバリやら、余り聞かない音だ。
そちらを見ると、何やら空に向かって放たれている。攻撃の様だが余りにも無様な構成だ。
途中で霧散して掻き消えている。あの程度の射程では、実用性など皆無だ。
「そう。状況は?」
『人間共ガ何カヲ撃ッテイマス。シカシ、コレハ何デ御座イマショウ。蚊デショウカ』
位階でいえば上級の上位、あるいは特級に片足を突っ込むくらいか。
守護獣が落ちぶれて妖怪に成っただけはあって、かなり強い。上から数えた方が早い位だ。
現在の人間は傷を付ける事すら不可能だろう。事実、毛ほどもダメージを受けていない。
「目標は見つけた?」
『西ノ離レノ小屋ニ居ルヨウデス。我ハドウ致シマショウ』
「そうね。阿も行ってしばらく引きつけて。そうしたら戻ってもいいから。くれぐれも殺さないようにね」
『ハッ! 承知致シマシタ!』
そう言い『阿』も『吽』と同様に首を飛ばして塀を乗り越えた。
突然現れた浮遊する二対の頭に、十何人かの人間が必死に攻撃を加えている。
『阿吽』は胴体が破壊されない限り滅される事もない。
そもそも、効いていないのだから心配する必要もないだろう。
彼女は塀を跳び越え西へ向かう。ようやく簪を返すことができる。
そう思うと、久しぶりに心が躍った。
―――
―――ズルズルズルズル、ゾゾゾゾゾ、カタン
「…ふぅ、美味しかったわ。貴女が作ったの?」
「はい! そうなんですよ! 誰かと一緒に食べるなんて久しぶりですよ!」
パアッと明るい笑顔で言う女。
彼女が食べたのは、雑穀を炊いて僅かな味噌と野菜屑を入れた鍋。おじやに近いのだろう。
自分も椀に手を付け、一気に啜って食べている。余程腹が減っているのだろう。
ボロ小屋に着いた途端、箒で掃除をしていた少女に見つかり、グイグイと小屋に押し込まれた。
そしてなんだかんだという間に、一緒に食事をとることになったのだ。
「あの時は助かりました! お腹が減って力が出なくって、返り討ちに遭った所までは覚えているんですけどね」
「貴女、死にそうだったのよ。まあ、生きていてよかったけど」
「そうなんですか! 本当に助かりました! お味噌汁、本当に美味しかったです!」
―――スゾゾゾゾゾ! ガツガツガツガツ! ガチャン!
まったく女らしくなく音を立てて平らげた。
飯を食べ終わり、ポヘッとした笑みを浮かべている目の前の少女。
間違いない。彼女のあばら家で介抱した少女だ。
明るい中、落ち着いてマジマジと見ると、中々整った顔立ちをしている。
彼女の目を引くのは、その全て。
こんなに立派な屋敷なのに別に建てたボロ小屋に住み、金持ちであろうに粗末な食事をして。
その癖に衣裳は綺麗な仕立ての濃紫を基調とした式服。
ちぐはぐだ。何もかも。
まあ、そんな事は彼女に関係ない。さっさと簪を返せばよいのだ。
「ところで、どうしてこんな場所まで来たんです? えっと…」
「八百よ。簪、落として行ったでしょ。届けに来たの」
そう言い、八百は懐から簪を取り出す。
それを見た途端、少女の目が輝いた。
「あ、ありがとうございます! 無くして困ってたんです!」
目に涙を浮かべながら、何度もお辞儀をする少女。
手慣れたように髪をいじくり、長かった黒髪を綺麗に纏めた。
しかし、彼女は困惑してしまう。
味噌汁を食べたのは少女に間違いない。
しかし、この少女には罪悪感がない。仮にも人間の胸を刺したというのに、だ。
出会ってまだ間もないが、この少女は単純だ。嘘を吐けるほどに狡猾では無いように思えた。
では、何故…?
―――ガァン! ガァン! ガァン! ガァン!
耳を劈く警鐘が鳴った。
突然なんだろうか、考え事をしていたのに。
「い、行かないと!」
「急にどうしたの。呼び出し?」
「あ、その…そ、そうなんです! ここ、離れなので、その…ゆっくりしていてください!」
そう言って、少女はドタバタと小屋を出て行った。
「呼び出し、ねえ…」
少女の眼が、それはそれはもう泳いでいた。嘘を吐けない質なのだろう。
しかしこれでハッキリした。八百を殺したのは少女ではない。
では誰なのか。あの時、あばら家の近くにいた者の仕業に違いはない。
鉄斎か? いや、わざわざ包丁を使って殺すはずがない。それに、殺せない事は分かっている。骨折り損だと、頼まれてもしない筈だ。
少女でもない。嘘を吐けない少女が、自分が手にかけた者が生きて現れ、取り乱さないわけもない。
「…さて、と」
そうと決まれば行動すべきだ。
ボロ小屋を出て、敷地内を散歩する。
途中、陰陽師の制服である式服を着た連中とすれ違ったが、堂々としていればバレないのだ。
訝しげな眼をしていたが、警鐘が鳴っていたと告げると駆け足で駆けて行った。
なるほど、その方向か。
八百は足音を極力消して着いて行った。
到着した先には人だかりが出来ていた。
最前列の者は胸の前で手を合わせ、何かをブツブツと呟いている。結界を張っているのか。
妖怪を逃がさない為の物だろう。十数人で張っている割には、随分と拙い。
ともかく、このままでは埒が明かない。
屋根へと跳び上がり、絶好の場所から見物をする。
「さてさて、どうなって―――」
八百は言葉を失った。
彼女の目に入る光景が、どうにも信じ難かったのだ。
「破ぁッ!」
少女の掛け声。同時に、拳が空気を切り裂く音がした。
腕全体が掻き消える。同時に『阿』が吹き飛んだ。
結界に阻まれ叶わなかったが、彼方に飛んで行ってもおかしくはない威力。
『…ッ!』
『吽』は少女の真上へと結界を形成した。重力に引かれ、少女目がけて下降する。
物理的な力を持った結界だ。人間の体など、容易く押し潰されるだろう。
不可視の結界。八百にはもちろん見えているが、常人では見る事も叶わない。
一瞬の間もなく、痛みも感じず、少女は肉片になるハズ…だった。
「嗚ぉッ!」
しかし少女は体全体で結界を支えた。あの大きさ。六十貫は下らない。
それを、人間の小娘が支えている? あり得ない。
「駄ぁッ!」
掛け声と共に、結界を『吽』へ投げつけた。
堪らず『吽』は避けるが、四畳はあろうかという大きさの結界だ。
敢え無く押し潰された。
少女の後ろには、手や足を食い千切られた人間が数人転がっている。まるで盾になるように、少女は右半身を前に出し構えを取っていた。
その後も同様に、一瞬一瞬の攻防が続いていた。
特攻してくる『阿』をいなし、隙を突こうとする『吽』を牽制し。
『阿吽』の隙を突き打撃を加え、蹴撃を加える。
あの『阿吽』と渡り合っている、いや、少女が押している?
殺すなと命令をし、首だけで行動して平時の半分も力を出せていないとはいえ、上級の上位の妖怪だ。
それを人間が、しかも素手で圧倒するなど、ほとほと狂っている。
『オォッ!』
『阿』が少女へ特攻する。少女の体を喰い千切ろうとしているのだろう。
だが、少女は動かない。呼吸を整え、機会を窺っているのだ。
『…!』
同時に『吽』が結界を創りだす。少女を閉じ込めたのだ。
『阿』の勢いは衰えない。
結界を喰い破る力を持っている『阿』は、結界ごと少女を喰い千切ろうとしている。
しかし、少女に焦りは見えない。
大口を開いた『阿』が、結界に喰らい付こうとした、瞬間。
「打ッ!」
結界を破壊した。拳一つで。
勢いそのまま。拳は『阿』の口内を貫通し、バチリと弾け飛んだ。
『…見事ッ!』
『阿』が弾け飛ぶ直前、そんな言葉が八百の耳に届いた。
どこか武人のような性格を持っているのだ。位の高い妖怪ほどその気質が強い。
『…!』
『阿』が消え混乱したのだろう。
長く形成された物理結界を四方八方へ現出させた。
地面には穴が空き、血を流していた人間が吹き飛ぶ。
―――ガヂン、ギギ、ビギン!
高速で飛んでくる物理結界を、これまた素手で弾き飛ばす少女。
おおよそ、人体から出るには不適当な金属音がした。
その内の一本が八百の顔面目掛けて結界が飛んでくるが、結界溶融の符を出して無効化しておいた。
―――ドン! ボゴン!
砂煙を立てながら、物理結界が地面を突き破り乱立した。
「破ッ!」
その内一本を掛け声と共に殴り砕き、巨大な破片を持ち上げ『吽』へと投げ飛ばした。
『…!?』
まさか、そんな使い方をされるとは思っていなかったのだろう。
そもそも、破壊される事など想定しているハズもない。
ふわりと宙へと浮き上がり『吽』なんとか回避した。
しかし、それは悪手だった。
宙に浮いた『吽』を追撃するように。予測していたのだろう、少女が跳び上がっていたのだ。
クルリと身を翻し、回転を加えた踵落としをお見舞いした。
『吽』は物凄い勢いで地面に激突し、小さな孔が出来上がった。
少女は更に追撃を行う。まるで空気を足場にしたように急加速したのだ。
「打ぁッ!」
勢いの乗った拳で、孔に嵌っていた『吽』をぶん殴った。
『…! …!? …』
爆音と共に、砂煙が巻き上がる。
どうやら『吽』も弾け飛んだようだ。
砂煙が晴れる。
肩で息をした少女が、ふらふらとした足取りで。
流石に無傷ではなく、拳や肩から血を流している。
周囲で傍観していた人間は怯えたように道を開け、血を流した人間の手当てに向かっていた。
『阿吽』は今頃、胴体の元で復活しているだろうが、こちらに来る気配はない。
流石に弁えているようだ。
「…凄いわね。本当に人間かしら」
人間を見て驚いたのは、長い生の中で二度目だ。
確か、安倍なんたらと言ったか。あの時以来の衝撃だ。
つまり興味が湧いたのだ。
簪は既に返し、今は退屈に戻ってしまった。
このままあばら家に戻っても、何か勿体ない。
それならば。
「さて、面白くなってきたわね」
―――
ふらふらとした足取りでボロ小屋に戻ってきた少女。
八百はすぐに戻っていた為、少女が戻ってくるよりも早くにボロ小屋で寛いでいた。
少女はボロ小屋に入ってすぐ、バタリと倒れてしまった。
声を掛けても、掠れた声で『大丈夫、です…』と、痙攣しながら呟いている。明らかに大丈夫ではないのだが。
昔から医者の真似事をしていた八百だ。少女の体を調べてすぐに原因が分かった。
全身の筋肉が断裂していた。
このボロ小屋まで歩いて戻って来るだけでも苦行だっただろうに。
だがこの程度ならばなんとでもなる。普通ならば一週間はまともに歩けないだろう。
八百は手首を切り裂き、滴る血を器に受ける。傷が直ぐに塞がってしまう為、何度も何度も切りつけて二合ほどを回収した。
外から土を少し取り、血の入った器へ入れて纏まるまで練る。泥のようになったそれを、少女の体へ擦り付けた。
八百の血には特殊な効能が宿っている。
飲めば内臓の病を癒し、浴びれば外傷を癒す。
時の権力者が彼女の血を求めて兵を送り出した事もあったが、悉くを返り討ちにした。正当防衛である。
泥を擦り付けてしばらくすると、険しい表情をしていた少女の顔に安らぎの色が浮かぶ。
筋肉断裂が完治したのだろう。半日掛かると思っていたが、早くて悪い事もない。
スヤスヤとした寝息が聞こえる、眠ったのだろう。都合が良い。
「居るんでしょ、出てきなさい」
八百がそう呟くと、彼女の影から巨大な犬『阿吽』が這い出てきた。
『ハッ! 何用デ御座イマショウ!』
戻った気配が無いと思えば、八百の影に潜んでいたのだ。
案の定傷は無くなっており、首元の毛は相変わらずふわふわとしていた。
「お使いを頼むわ。南の方に村があるからそこまで。お米と野菜を買ってきて頂戴」
『承知シマシタ。シカシ、我ガ行ッテモ問題無イノデショウカ』
「そうね…お茶を出す店に行って仔細を話せば問題ないわ。結界は破らないようにね」
『ハッ!』
小判を数十枚ほど咥えさせて送り出す。
三十分ほど待つと、背中には米俵を、口には野菜の入った籠を咥えた『阿吽』が戻って来た。
「ご苦労様。戻っていていいわよ」
『何カ用ガ有リマシタラ、マタオ呼ビ下サイ』
そう言って『阿吽』は八百の影へと沈んでいった。
特に邪魔でもないので何かを言うつもりもない。飽きたら戻るのだろう。
野菜籠には、大根、人参、長葱に鶏肉。桶に入れられた味噌。それに沢庵一本。十分である。
幸い、竃はあった。
米を炊いて、野菜を適当に切り、味噌を入れて煮込んでおく。
良い匂いが小屋を包んだ。
すると、少女のお腹が大きな音を立てて目を覚ました。
「ん…ご飯…」
「ええ、もう少しで炊けるから、顔を洗ってきなさい」
「ふぁい…」
水を湛えたカメから柄杓で水を汲み取り、パシャパシャと顔を洗っている。
顔を洗って目が覚めたのだろう、
「お、おかわり、お願いします!」
「はいはい、そんなに急がなくても無くならないから、ゆっくり食べなさい」
「は、はいっ!」
少女は大きな声で返事をして、黙々と茶碗に盛られた白米を噛み締めている。
たかが白米如きでこんなに喜ぶとは予想外だったが、八百にとっては好都合だ。
ズルズルと野菜汁を啜り、沢庵をコリコリと齧って白米を掻き込んでいる。
『白いご飯なんて久しぶりに食べた』とか『味の濃い物は何年振りか』との言葉が八百の耳に入った。
劣悪な環境で生きていたのが見て取れる。盆暮れ正月でもまともに食事をしていないのだろう。
「も、もう、お腹一杯、です…」
僅か三十分ほどで完食してのけた。
ご飯は五合炊き、鉄鍋一杯に味噌汁を煮たのだが、ほぼ空になった。
「よく食べるわね」
「えへへ、お腹が減ってて…あ、あの、八百さんは食べないんですか?」
「私は食べなくても問題はないわ。夜にまた作るから」
矢尾はそう言うが、少女はなんだか申し訳なさそうな顔をしている。
別に遠慮したわけでは無いのだが…
「あ、そうだ! 私、睦月っていいます! ご飯、美味しかったです!」
「あらそう。それはよかった。改めて、私は八百よ」
「八百さん! お話しましょう!」
二人は談笑を始めた。
八百が外から轟音が聞こえてきたと言うと、睦月は冷や汗を掻いて誤魔化していた。
睦月が何処から来たのかと聞くと、八百は西の方からと答えた。
何度かか質問をし、何度も質問をされた。
人間と気を許して話をするなど、久しぶりだった。
「あ、そうそう。言い忘れてたわ」
「なんです?」
睦月も久しぶりにまともな会話をしたのだろう。
その顔には笑顔が浮かんでいた。
「貴女、その内死ぬわよ」
「…え?」
目を見開き、ポカンとした顔をしていた。今までの笑顔は消え失せている。
先ほどまで続けていた会話とは、八百のその言葉に込める力が違っていた。
「この小屋に入ってきた時の貴女、酷い物だったわ。結構な患者を診てきたつもりだけど、その中でも一番」
「わ、私、病気なんですか!?」
「いいえ、健康そのもの。けど、その体が問題」
八百は睦月の体を指差す。
睦月は首を傾げ、自分の体を見下ろしていた。
「今まではなんとか大丈夫だったんでしょうけどね。外で起きた事、全部見てたわ」
「見てた、んですか…」
睦月の顔が曇る。
彼女にとって、見られたくない姿だったのだろう。
同じ退魔師に。同じである人間に。
彼女が避けられている姿を思い返した。
「回復は随分と、人間にしては異常に速いけど、それだけ。その『力』の使い様に体が耐え切れない」
人間は体で発生した『力』を行使し初めて退魔師足り得ると前置きをして、八百は語り出す。
『力』を発生させる機能は人間を超えているが、肝心の体が人間のまま。
睦月の体は、水が限界まで入った皮袋だ。
今までは奇跡的に耐えられていたが、もう耐えられない。
次はない。破裂する。
「けど、今までは一晩寝れば…」
「その度に修復してたんでしょうね。回復が異常に速かったのもそのせいかしら」
彼女は異常だ。
妖怪を素手で殴りつけ、六十貫はあろう物体を担ぎ投げ、地面を抉る硬度の結界をも弾く。
生身の人間が出来る筈もない。『力』を行使し渡りあっているのだ。
「えっと…けど、そんな事、教わって…」
「習わなくても使える者には使えるわ。現に何人か知っているし」
結局は『力』の使い方次第だ。
何かを食べて、美味しいと感じるか不味いと感じるか。それは人それぞれ。
それと似たようなもの。各々の『力』の使い方など、各々次第だ。
基本のきの字も習っていない睦月は、正道の退魔師ではない。
いわば邪道なのだ。全て感覚だけで『力』を行使している。
「だから…」
「あうっ!」
八百は睦月の額にデコピンをした。
敢え無く睦月は喰らい、ジンジンと痛む額を押さえた。
「うぅ…痛いです…」
「痛いでしょ? 何もしてなければ普通の人間と同じ。容易く死ぬわ」
八百の見立てでは、攻撃と防御の瞬間だけ『力』を全開で発揮し、身体を限界以上に強化している。
何もしていなければ、人間の小娘とそう変わらない。
「わ、私、死にたくないです! 美味しい物をたくさん食べたいです!」
「欲望塗れね。らしいけれど。これ、飲みなさい」
透明な蓋付きのビンに入った、これまた透明な液体。
それを睦月の目の前に置く。
「なんですか、これ?」
「飲んだら教えるわ。安心しなさい、死ぬような物ではないから」
八百の言葉を聞いて安心したのか、ゴクゴクと躊躇なく飲み下す睦月。
「あ、甘いですね! もっとください!」
「あらそう? それならもう一本」
どうせ余っていた薬だ。
二本しか作っていなかったが、使い切ってしまっても良いだろう。
グビグビと二本目もあえなく飲み干した。
目を輝かせている睦月の顔は、見ていて面白い。
「甘い物なんて本当に久しぶりです! ところで、これなんなんですか?」
「毒よ」
「…え? わ、私、死んじゃうんですか!?」
「大丈夫。死にはしないわ。ちょっと苦しむだけ」
三日三晩苦しみぬいた末、全身から血液を流しながら死ぬ秘薬。
本来は拷問に使う薬であるが、その強力さから禁忌として製法が焼き捨てられた。
それを再調製した、八百お手製の『死にそうで死なない少し死にそうになる薬』だ。
現存していたのはこの二本のみだが、それももう無い。作る気もない。
「その薬で、貴女の体を『力』に耐えられるようにするの。適応力って知ってる?」
「?」
睦月は首を傾げた。
まあ、知らなくとも問題はない。
「生き物はね、あらゆる場所にいるわ。寒い場所、暑い場所、湿った場所、乾いた場所。その場所で問題なく生きているわ。それは何故か」
氷雪に包まれた大陸、熱に支配された大地、疫病を齎す虫の蔓延る密林、渇きを運ぶ砂漠、様々だ。
生物は、あらゆる場所で生きている。体を大きくして、あるいは小さくして。
「それは、その場所に適応したから。進化、と言うのだけれど」
睦月の顔はポカンとしている。全く分かっていない顔だ。
「分かっていないようだし、全部飛ばして結論を言うわ。死ねば死ぬほど強くなるの」
「え…けど、死んだらそれまでですよ?」
「そう。普通はそうなの。死んだらそれまで。常人じゃ不可能ね」
けれど、と矢尾は言う。
「成長幅は著しく下がるけど、死ぬ間際まで追い詰められれば。人間は進化するわ、二度とそうならないように。その薬はその為の物」
「へー…そうなんで―――っ!」
睦月の表情が曇った。
汗が滝のように流れ、
「うぁっっ! ああぁあっ!」
次は血を吐いた。
その手は胸元を強く掴み、何かを耐えているようだ。
「苦しいでしょ? 今、貴女は死にかけてるの」
「や、八百、さ―――あああぁああぁっ!」
「何度も何度もその痛みが襲うわ。二本飲んだから、明日の朝までかしら」
バタリと、睦月の体が床に倒れた。
脈を確認する。無い。
呼吸を確認する。止まっている。
そう思うと睦月の胸が跳ね、呼吸が復活した。
「はっ、はっ、はっ、し、死にたく、ない、です!」
「人はいつか死ぬわ。今死んだ所で、それが少し早まるだけ」
「も、もっと、美味しい、物をっ! 食べてっ! 食べて、からっ! し、死ねま、せんっ!」
いま、睦月の体の中では、破壊と再生が激しく鬩ぎ合っているのだろう。
常人よりも治癒速度の速い睦月でこうだ。普通の人間ならば、最初の段階で死んでいる。
「生きてたら。美味しい物を食べに行きましょ。奢るわよ」
「や、やくそくっ! で、ですよっ!」
また血を吐いた。そして呼吸と脈が止まった。復活した。
血を吐く。呼吸と脈が止まる。復活する。
何度も何度も繰り返す。死んでは生き返り、生き返っては死ぬ。
睦月にとっては永遠にも近い時間。
それを八百は黙って見ていた。
まるで、彼女を見守る母のような眼差しで。
―――
八百は小屋を出た。
睦月の状態は小康状態。
先ほど大きな発作が起き、次の発作まではしばらく暇がある。
死へと導く激痛など無かったかのような、安らかな寝顔だった。
しかし、まだ油断はできない。一歩間違えれば、僅かでもズレればそこで死ぬ。
「無粋な輩は誰かしら?」
「気付いたのか。下郎にしては良い勘をしている」
八百の視線の先には、一人の青年が立っていた。
睦月の式服と似た、しかし薄黒を基調とした物を着ている。
十二階制か、と八百は断定した。
「何か用かしら? 睦月は今、寝ているのだけれど」
「寝ているのか、ならば丁度良い」
「会った所でどうするのかしら?」
「決まっている。能力も無い女だが、孕み袋としては及第点だ。僕が直々に孕ませてやろうと思ってね」
「そう。で?」
「分からないのか? そこを退けと言っている。当主はあの女を気に入っているが、孕ませてしまえば関係ない。僕の物だ」
「そう…で?」
「言葉の通じない奴だ。この僕が退けと言っているんだ。喜び勇んで下がれ、下郎が」
八百の存在など無いかのように、青年は八百に近づく。通り過ぎた。
そして、小屋の扉を開けようとする。だが、開かない。
「封印したわ。貴男程度では開けられないわよ」
「…余計な事をする下郎だ。仕方ない。遊んでやる」
バサリと、大量の紙片が巻き散らかされる。バサバサと宙に浮き、青年の周りを忙しなく飛んでいる。
「序列十二位 名は師走。参る」
―――式神か。
そう思考した瞬間、八百を数百もの式神が円形に取り囲んだ。
簡易的な物理結界。外と内を隔てれば、それは結界となるのだ。
「全方位からの斬撃だ。逃げ場も隠れ場も無い。切り裂かれて死ね」
式神が急停止し、八百に殺到した。
しかし、八百は余裕だ。
切り裂かれた所でどうと言う事もない。
しかし、八百はイラついていた。
久しぶりに、人間に対して殺意を抱いたのだ。
「阿吽」
『ハッ!』
『…』
「殺しなさい」
『承知シマシタ!』
『…!』
「なんだ? 何をブツブツと―――」
『阿吽』は、八百の影に隠れていた。
そうだ、影に入り込む事が出来るのだ。
そして、今は夜。月も出ていない。
一面は闇だ。影なのだ
妖怪は闇を好む。一片たりとも光の存在しない漆黒を。
この世界は今『阿吽』に支配されているのだ。
―――バグリ! グシリ、ベキボキ、ミチリ…
師走と名乗った青年。
その足元に発生した影から『阿吽』が喰らい付いた。
悲鳴も上げさせず、跡形も残さず。
『阿吽』を始めとした妖怪は生物の魂を喰らう。肉体などおまけだ。
師走の魂は『阿吽』の中で、永遠の苦しみを味わう事だろう。
式神は八百を切り裂く直前でピタリと止まり、次の瞬間にはバサバサと地面に落ちた。
術者が死んだのだ。当然の結果だ。
「うふふ、死ねばいいのよ。死ね、死ね、死ね。アハハハハハハ―――!」
彼女の笑い声が響く。
月のない夜の闇に、狂喜の笑いが。
・名前:八百
設定:
遠路遥々『本家』へとやって来た女性。
首を切り落とされる、心臓を貫かれるなど、致命的な損傷を受けても支障なく活動をする事が可能など、常識を逸脱した生命力を持つ。
人間が宿す『力』や、行使する『術』についても造詣が深く、また、当時では知る者の少ない情報をも知っている。案外勤勉。
人間強度:六十五億五千三十万五
例えるのならばARGYROS/G
・名前:睦月
設定:
至って普通の退魔師。だが物理。
母が唯一遺した簪を無くし意気消沈していた所、それを届けに来た八百を精一杯もてなす。
頭だけの状態で弱体化してるとは言え、特級に片足を突っ込んでいる上級の上位の妖怪『阿吽』と渡り合い、あまつさえ一時的に退けるなど、常識を超えた退魔力(物理)を持つ。
一晩寝ればどんな怪我も治る、異常なほどの生命力と再生力を誇る。
六十貫(225kg)の物理特性を持つ結界を支える、放り投げる、高速度で飛んできた不可視の結界を弾き飛ばす、干渉不可と見られていた結界を破壊する、空中を蹴って加速するなど、その力は計り知れない。
その後、八百から渡された秘薬を飲み、元々大きかった彼女の『力』は大幅に向上した。
人間強度:七千六百二十二→六万五千五百三十四(上限)
例えるのならば金剛、あるいは鈴虫。
・名前:阿吽
設定:
二頭の首を持つ黒犬の妖怪。もふもふ。
それぞれ別個の意思を持つがその思考はリンクしている為に、片首を切り離して偵察させる事も可能。
『阿』は結界破壊に長け饒舌、『吽』は結界生成に長け寡黙。良いコンビ。
元は神社を守護していた神獣だったが、畑を広げる為に神社が取り壊された為に妖怪へと堕ち、周辺の村の人々を殺して周っていた。
余りにも人間を殺しすぎるその姿は流石の神の目にも余り、その討伐が八百に依頼された。
結果的に彼女に調伏され、救われたその恩を返すために彼女の使い魔となった。
神様強度:百七十九→妖怪強度:八百九十四
意外と頑固。そして忠犬。
・名前:師走
設定:
深夜、睦月の小屋の前に現れた青年。夜這いを掛けようとしていた。
結界術を修め、特に式神を扱う事を得意としている。歴代でも三番目に若い年齢で、この地位に付いた天才。
同時に大量の式神を操り、一斉に特攻させることで対象を切り裂く攻撃を得意とする。どっちかというと物理寄り。
呆気もなく『阿吽』に喰い殺され、彼の魂は永遠に苦しみ続ける事になった。
人間強度:三千六百
初恋は睦月。しかし歪んでしまった。教育のせいか。
・『死にそうで死なない少し死にそうになる薬』
八百が、拷問用に使用されていた秘薬を調製し、作りだした薬。甘いらしい。
その大元となった秘薬は、その残酷性から禁忌として歴史上から葬り去られ、製法を知っている者はただ一人。
常人が飲めばその毒性と治癒性に耐えきれずにたちまち死に至る為、飲んで生き残れる者は限られる。
現在在庫切れ。追加は永遠にありません。
・人間強度
人間が持つ全体的な『力』を数字で表した値。限界値は65535。
成人した一般男性の平均値が500であり、厳しい修練や修行により上昇させる事も出来る。
死ぬ瞬間に人間強度が倍増するが、それを実用化させているのはただ一人。
似たような値に神様強度と妖怪強度が存在するが、外法を使わない限り相互変換は不可能。
人間強度:65535=神様強度:1
人間強度:6554=妖怪強度:500
多分二度と出てこない値。




