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フヨフヨ  作者: 猫田一誠
02 公爵領
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フヨフヨ学習帳 幼年1組 なな 02

あたしが最強の付与術士になるために。その2。


自他ともに認める美少女付与術士として順調に成長を続けている、とあたしは思っている。


そして、前回要らない子扱いした定着もちゃっかり習得。

酷いこと言ってごめんな。



付与術:道標


これな。縄張りマーキングな。犬とかがよくあるアレだ。あたし場所とか憶えられねぇし。


ほんとはな、こんな地味な付与術は微妙じゃね?って思ってたんだ。

でも転移と併せて使い始めると、とんでもなく便利でな。



いつのまにか…。

もう地味とか言ってられないくらい活躍してる。


転移を使える人でないと意味ないよねって思ってたんだが、実はそうでもないみたいだ。


例えば、悪者に道標を付与しておけば、どこに逃げても居場所が分かる。

大事な物に道標を付与しておけば、盗まれたりしても追跡が容易になる。


これが本来の用途みたいなことが書いてあるのだ。



なるほど、それも確かに一理あるかもしれない。


イタズラする時は前もってロッテにこれを付与しておけば奴の追跡を躱せるということだな。



一応、解説を最後まで読んでみたけど、転移のての字も書いてないぞ?


もしかして転移するのに使ってるのってあたしだけなのか?


あたし実は変なことしてるのか?



付与術:隠形


こっそり街に入る為に習得した。だってあたしも街で遊びたい。



それはいいとして!


この隠形付与には、隠蔽効果の選択ができるみたいでな?あたし驚いたんだ。


でも本にはそんなこと書いてないんだ。


透明になれる付与ができる奴とか、音を消す付与ができる奴とか。


個人で効果が違うみたいに説明してある。

付与術:透明とか、付与術:消音。とかだな。


隠形というのは複数の効果を併せ持った付与術を指すとか言ってやがる。



教本よ、てめ~はあたしを怒らせた。



だってあたしがやったら、なんか内容が違うんだ。


隠形つけてもなにも起こらないから、疑問に思ったあたしは効果を解析する。


びびったぜ。隠蔽効果を選択しようと思ったらフヨフヨがわらわらと湧いてきやがった。

あたしは今のところ、透明ってのしか使えない。一番沢山いたフヨフヨがこいつだった。


効果は見えなくなるだけだな。



そんでな、他のフヨフヨに、消音ってやつと、消臭ってのがいてな。


これを習得しなかった当時のあたしをぶっ飛ばしたい。



魔力は消費するけど、複数選択可能みたいなんだ。



あの時こいつらを使っておけば…。


消音と消臭のフヨフヨは即確保が決定だな。



あとな、数は少ないんだが、気配遮断ってのと誤認っての、そんで抗魔ってフヨフヨもいる。


気配遮断は文字通りだな。そんか見えないけどそこにいる気がする。みたいなのを防ぐみたい。

あたしは気配とか言われてもさっぱりだ。なので念の為、一応確保しとこう。


誤認ってのはよくわからん。数も少ないし。


あたしをあたしと認識できなくする?あたしのことをその辺の子供がいる。みたいな感じになるのか?

うん、わからんからいらね。



最後に、あたしに絶対必要なフヨフヨ。それが抗魔。


これまでのフヨフヨで対処できない探知魔術。

探知魔術での索敵とか検索とか。同じ場所にいなくてもこれにかかると認識されてしまうそうだ。


そこでこのフヨフヨ、抗魔さんの出番だ。

このフヨフヨがいれば、探知魔術の対象にならない。よくわからんが効かないってことだろう。うん、そう決めた!


そしてさらに。なんと。これが抗魔さんに最も期待する能力。


探知魔術だけじゃなくて鑑定魔術にも抵抗できるんだ。

このフヨフヨを確保したら早速鑑定結果を確認しておこう。



兄ちゃんも是非頼むって言ってたから頑張るけど、完成にはまだまだだ。


とりあえずこの教本書いた奴、フヨフヨ使えないのかな?



付与術:認証


これは魔道具を指定された人物にしか操作できないようにしたり、付与効果を特定の人物にのみ発動するようにする。


まぁ、鍵だな。対象の指定だが、いくつか選択できる。



まず、個人指定。


鑑定時の表示される名前で指定。


これは魔眼をもつあたしにはかなり使いやすいと思う。

敵の名前もわかるあたしなら、敵の魔道具を無力化する、なんてこともできそうだ。



次に、種族指定。


例えば、指定種族を、害獣。とすれば害獣にのみ作用するトラップなんかもできる。



最後が、条件指定。


ちょっと設定が面倒なんだが、レベル50以下の者、とか、男性のみ、とか。

他にも指定技能を保有する者、指定恩恵を保有する者、指定効果を宿す者、後は身長や体重。年齢等様々だった。


条件指定は戦闘中とっさに、とか無理だから、時間のある時にしか使用できなさそうだ。


まぁ、あたしは準備にぬかりのない女だ。きっと大丈夫だろう。



予定外ではあったんだが、あたしも魔道具作れるようになったし、これはこれで工夫次第で何かに使えそうだ。



付与術:障壁


そしてついにやってきた、今回の素敵な出会い。



前回習得した爆裂付与。


ぶっちゃけあたし、これ最強。

そう思ってた。思ってたんだが…。



しかし、上には上がいた。それが障壁!



なんとこいつのポテンシャルは爆裂を上回る程だ。


しかもただ上回るだけでなく、爆裂と組み合わせればさらに!ってとこもいい!



最初、通常の障壁しか習得してなかったから、守りが固くなった!くらいの印象だったんだ。


けど本で調べてみたら、こいつはとんでもねぇ使える付与術だ。


あたし限定で。


この時ばかりは使えねぇ本に感謝してやった。



その教本に書かれた内容は、障壁の形状や種類、相性のいい属性等は障壁を付与した術者によって個体差がある。


こんだけ。



だがそれは嘘だ。

いや、嘘ではないんだけど、そんだけじゃない。



ウフフフ。


あたしはどの個体だ?そう思って障壁を解析してそれを理解したのだ。



解析した瞬間、ものすげ~量の、しかも多種多様なフヨフヨがでてきたんだぜ?

障壁は用途に合わせて改造できるんだ。



これだけフヨフヨがいれば、自由度が高すぎて習熟に時間を要する。

なので最初はある程度選択を絞ることにした。



まずは障壁の種類だ。



遮断、万能とも呼ばれるらしい。


効果は低いがあらゆる攻撃に干渉してくれる障壁だ。防御形態としては、はじく。になるか。



無効、これは遮断よりさらに強力だが、無効にする対象を設定しなければならない。


斬撃無効だとか、電撃無効とかだな。


これは遮断の追加効果として使用できる。

遮断に炎無効の効果を追加する、みたいな。


無効化された攻撃は、障壁の前で消失するんだ。



反射、それと吸収。


これがもっとも強力な障壁となるが、他の障壁と併用できないというダメなところもあるんだ。


どうしても併用したけりゃ、障壁を多層化しないと駄目だ。


あたしはやるつもりだがな!



まず反射は攻撃をそのままの威力で反転させる。

相手に跳ね返る訳だ。当然、反射対象の設定も必要だ。


そして吸収は攻撃に込められた魔力を吸収して障壁の術者に還元する。

なのでこの障壁は対魔術限定となる。


もちろん吸収する対象の設定も必要だ。

反射と吸収は使いづらい障壁って言われてるらしい。



でもあたしには魔眼:分析がある。


敵の使用する魔術なんかも事前に分かっている。


このアドバンテージがあたしの障壁を強力無比なものにするのだ!やっぱり、あたしすげぇ!



次は障壁の形状だ。


あたしが最初に習得した時に使用したのは円盤だった。

魔道具にして、馬車で移動してた時、皆が尻から出してるのもこれだ。



円盤障壁。


これは術者の指定した位置に、丸い円盤状の障壁を出現させる。

障壁は術者を追従する為、展開したまま移動が可能。


ただし、その特性上、攻撃を防いでもその衝撃は術者に干渉する。


例えば爆発を防いでも、たしかにダメージは遮断できるだろうが爆風で障壁ごと飛ばされることになる。



あたしはこの円盤障壁を採用しなかった。

皆には無難にこれを付与しておいたがな。



あたしが自分で戦う。そうなった時のことを考えたんだ。


その時は爆裂付与と障壁付与で戦うことになる。

他の付与はサポートだ。


そして今、あたしが考えている戦闘スタイルに円盤障壁は適していない。


仕方ないんだ。

仲間はずれにしてるわけじゃないんだ。

ちょっと好みが合わなかっただけなんだ。



そしてこれから紹介するのが、あたしが実際に行使するであろうフヨフヨ達。


まずは不動障壁。



こいつは基本的には円盤と同様なのだが、こちらは障壁の相対位置が固定され、術者を追従しない。


荷重に対してもかなりの重量に耐えるので、爆発や暴風なんかを防ぐには適している。


拠点防衛なんかでもこちらがメインとなるらしいぞ。



拠点防衛ってのはよくわからんがこんな風に説明してある。

どちらも一長一短、というのが世間の評価だ。




フ…。


甘いな、世間よ。


その程度じゃ、あたしの障壁運用にはついてこれないぜ?



次に自在障壁。


これは、円盤障壁を追従ではなく、術者のイメージ通りに動かす障壁。


自分ではなく、仲間を守る時、もしくは通常の障壁で対処しにくい角度からの攻撃等に対処する障壁。


自在に位置を変えられるため、一見、使い勝手が良さそうに思える。

しかし荷重に対しては最も弱く、防げるのは射撃武器の弾除けくらいだそうだ。


なのであまり人気がない。



ムフフフ。


人気がない、か。


あたしが使えばとんでもなく強力な障壁になるというのに。


あぁ、また皆がびっくりして兄ちゃんに褒められちまう。



できる子はつらいぜ。




メインで使用する形状は、不動と自在。になるだろう。


しかもこの二種、あたしの考えた運用方法だと、障壁なのに防御要素ほぼ皆無!


でもいいんだ。あたしは攻める女だからな。



だからと言って、防御を考えてない訳じゃないんだぞ?

痛いのはイヤだしな。



「ノーガード戦法だ!」


なんてこと言ったらみんな心配するからな。

一応防御用の障壁も考えてあるんだ。



メインの守りは身体障壁を選択する。


これは術者の体をぴったり覆う膜状の障壁。


防御効果は最も低いが、全身を覆っている為、範囲攻撃や不意打ち等に有効。

円盤障壁と同様、ノックバックには無力。



あたしは、自分が体術とか、戦闘向けの動きとか、そっち方面は全然ダメってことをよく理解している。


なので、あたしが防御で使用するなら全方位をカバーする守りでなければダメだ。

となると、身体障壁か領域障壁となる。であれば選択肢はひとつしかない。



ノックバック対策は衝撃無効の身体障壁とすることでクリアする予定なんだぞ。



あとは、万が一の為の保険として、領域障壁も使用する。


こいつは、術者を中心に広い範囲にドーム状の障壁を展開する。


防御効果は身体障壁を少し上回るくらい。


魔力消費は最も大きい。

範囲攻撃や飽和攻撃等から自分だけでなく仲間や設備等の防衛時に使用される。


これくらいだな。



あぁ、確認すれば猶更この付与術の有用さがわかるぜ。

あたしの爆裂とも相性がいい。よすぎる。


あたし、おっちゃんに勝てるかもな。



せっかくだ、あたしを守る無敵障壁を考える。


第1障壁…身体障壁:遮断。


基本的には衝撃無効を追加するんだ。


でも状況によっては魔眼で看破した敵の得意な攻撃を無効とする効果も追加する。

この場合は二重障壁になるな。



第2障壁…領域障壁:遮断。


第1障壁と同様の仕様にする予定。


こちらは緊急用の障壁だ。普段は展開しない。

攻撃方法が単純な相手であれば、吸収障壁に変更することも視野に入れる。


できる子のあたしは臨機応変なのだ。



ここまでが防御の障壁。

そしてここからがあたしが戦う時に頑張る障壁。



第3障壁…自在障壁:吸収。


これも看破した攻撃を吸収するように指定。


敵の攻撃で撃ち落とされないようにするんだぞ。



そしてそれに爆裂を付与する。


これは攻撃用の障壁だ。


多数の自在盾を展開して、敵に張り付け、反撃を吸収しつつ連続起爆で攻撃。



あたし天才じゃね?



魔力消費を考慮して、自在盾のサイズは最小にする。

こいつらは防ぐんじゃなくて爆裂の発射口となるのが仕事だ。



ちっちゃくていいのだ。

あたしのようにな。



分かり易く説明すると、〇ュータイプとか言う変な奴らの操る巨大人型兵器とかによくついてるアレだ。


射撃はできないが。


うへへへ、早く試し打ちしたい。



第4障壁…不動障壁:遮断。



これの用途は今のところ大きく分けて二つ。


一つ目は、すでに効果は確認しているが皆には今のところ成果を内緒にしている。


驚かせるのが楽しみだ。


それは、靴に不動障壁:遮断を付与、足の裏に展開するように設定。

こうすることで、座標を固定された不動障壁が足場となる。


水の上とか空中とかでも移動できるんだ。きっとみんなびっくりする。



「なにい!?奴が消えた!?どこだ!どこにいる!?」

「フフフ…、どこを見ている?あたしはここだ!!」


ここで決めポーズだ!


なんかかっこいいやつ考えとこう。



上空を見上げて、宙に浮かぶあたしを見てびっくりする敵。


「浮いている!?なんだと!?」


さらにここで決めセリフだ!


さらにかっこいいやつ考えとこう。



おっと、パンツが見えないようなポーズを考えておかねばならない。

あぶねぇあぶねぇ。ここはあたしのセクシーを使うところじゃない。


パンツ重要。

忘れるなあたし。



ただし、一歩につき一層の障壁を展開するので、魔力消費はやばそうだ。

あたしは沢山あるが、常時使用は控えよう。



二つ目の不動結界の用途。それは罠。


爆裂と隠形を付与した不動結界が地上、地中、空中。様々な場所に設置できる。

煙幕を併用して設置すれば、罠の回避は困難を極めることだろう。



え?


自爆の危険?


おまえは阿呆なんだから見えなくしたら自分で自分の罠にかかる?



ノンノンノンノン。


何を言っているのかね?チミは。


おまけに失礼だよ?


あたしは思慮深い女なのだよ?



あたしには付与術:認証がある。敵にだけ起爆させるようにすればいい。


これで大丈夫。


たぶん。



あぁ、でも爆発に巻き込まれないようにはしないとな。


身体障壁に追加する無効属性を爆裂にするか?


いやいや。


あたしは天才なんだからきっと大丈夫に違いない。




こんだけ大量の追加効果や設定なんかの付与があるのに、どんな障壁であろうと鑑定結果はただ、障壁。


あたしはフヨフヨを分析すれば内容が分かるんだが、敵にはわからない。



グフフフ。


これからは爆裂魔法少女ナナとかって異名がついたりしてな。



けどなんか実際には爆弾魔とか言われているらしい。


センスのないやつらだ。



しかし障壁付与のフヨフヨ達はよい働きをしているな。


あたし褒めてやる。



とにかく、この付与術:障壁の習得であたしの戦力は大幅に増強された!



しかしここで問題が一つ発生する。


それは殺傷力が高すぎる、ということ。


王国は一応死刑は禁止だ。


うっかり悪者を殺したりしないだろうか?



心配だ。



なにか非殺傷効果を持った、敵の無力化に主軸を置いた付与術も研究しておくか…。

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