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極めて優雅な学園の休日(仮)

 えー、謝る事が2つあります。


 まず、更新が遅れてすいません。(/´△`\)


 そして、サブタイトル詐欺ですいません。

 疲れてるのかな……。

「はぁ……C組の問題、レスター先生に師事してしまった事……それにお茶会か、厄介事あり過ぎだろ」


 その厄介事の一つであるレスター先生の家に今向かっているわけだが、今日は建物の中を通っても迷わずに行けそうだ。


 別に俺は重度な方向音痴じゃない。

 初めての道じゃなければ俺だって大丈夫だ。


「ちょーっと待つのです‼今、私の事も入っていなかったのですか!?」


 ん?後ろから声が……まあしゃべり方と声色で誰かは分かるけどさ。


「レスター先生は何でこんな所にいるんですか?」


 後ろを振り返ると、案の定レスター先生……だと思う。


 そこには3つ程の紙袋が集まった物体から足が生えた異形の化け物がいた。

 なにやら不思議な踊りをしているが、俺のMPが減っている様子は無い。


「別に先生だってずっと家にいるわけじゃないのです。今日の為に色々買って来たのですよ」


 なるほど、だから紙袋お化けになってたのか……紙袋を持ってるということはたった今帰ってきたばかりなのだろう。

 不思議な踊りも、たぶん重くてバランスが取れないとかだろう。


 ……ちょっと魔法をぶち込むか悩んだのは秘密にしておこう。


「それよりも、私の事を厄介事とはどういう事なのですか!!仮にも今日から私はアルギウス君の師匠なのですよ!?」


「んー、そうやって公共の場で人目を憚らず大声を上げるところ……とかでしょうか?」


 まあ、厄介事って言っても自分から師事したんだけどさ。


「うぅ……それはたしかに教育者らしからぬ行動だったのです。ですがここは誰も通らないので人目を憚らなかったわけじゃないのです」


「そりゃこの道を通る所って、先生の家くらいですもんね~」


 そりゃ学園の建物内なのだから、教室らしき部屋は幾つかあるがどれも人のいる気配が無い。


「テンションの低い時のアルギウス君、辛辣過ぎるのです……」


「……」


 そうなのか?あんまり考えた事は無かったが、たしかに思い当たる節はあるな。


「とりあえず、立ち話もなんですし家に向かうのです!」


「それもそうですね……はい」


「?……何なのですか?」


 俺が両手を出すと、先生がきょとんとした顔でじっと俺の顔を見てくる。

 もしかして、この人このまま行くつもりだったのか?


「そんなフラフラして、途中で紙袋の中身ぶちまけられても困るんで半分持ちますよ」


「おお、助かるのです!!実はさっきも一度落としてしまって、拾うのに苦労したのですよ~」


 どうやら手遅れだったようだ。





















 レスター先生の家に着いたので、中に入って適当な机の上に紙袋を置く。


 意外と重かったので【原初魔法】を使ってしまった。

 ……いったい何が入っているんだ?


「ふぅ~、疲れたのです。今、冷たい飲み物を持ってくるので椅子に座って待っていて欲しいのです」


「紅茶ですか?」


 飲み物と聞いて、咄嗟に反応してしまった。

 まさか、また食虫植物茶か……?


「ちょっと運動したせいで暑いですし、温かい紅茶は止めようと思ったのですが……そんなに昨日の紅茶が気に入ったのです?」


「いや、そういう事なら紅茶じゃなくても良いです!!」


 まさか『食虫植物の紅茶だから嫌です』なんて子供っぽい事言えるわけないよな……。


「分かったのです。では少し待っていて下さいなのです」


 そうは言われても、やる事無いんだよなぁ。


 部屋の中を見回して見るが、植物ばかりで面白く無い。

 アイテムボックスも人前では使うなって父さんに言われたし……。


「よし、こうなったら紙袋の中身で「どうぞなのです」あ、ありがとうございます」


 俺が行動を起こす寸前に、レスター先生が飲み物を持ってきてくれた。


 ……そうか、そうだよな。普通は紅茶みたいにわざわざその場で作らないよな。


「これって何が入ってるんですか?」


 とりあえず出された飲み物を飲もうと思ったが、忘れてはいけない。一見何かのジュースのようだが、材料に何を入れているか分かった物じゃない。


「?……普通のピチルのジュースなのですよ?」


「あ、そうですか。美味しいですよね、ピチル……」


 匂いを嗅いでみるとたしかにピチルの匂いがする。前、ギルドに行った時に飲んだジュースもピチルだったが、あれが一番ジュースの中でも安かったし、王都の近くに大きいピチル農場でもあるのだろうか?


「それでは話を始めようと思うのです」


「はい」


 そうだよ、ここに何しに来たって今後の為の話し合いだもんな。


 ……ピチルの話は置いておこう。


「明日から3日程お休みがあるのですが、その時にこれからの遠征の予行練習として、先生オススメの場所に1泊しようと思うのです」


「ああ、そう言えばフリージア先生もそんな事言ってましたね」


 たしか今日の授業終わりに『明日から3日間もお休みですが、先生みたいにハメを外し過ぎないようにして下さいね~』とか言ってた。

 あの時は、ハメ外す気満々じゃん!!って驚いて気にしてなかったけど、3日も休日があるのか。


「そう言えば俺、学園の休みの制度知らないんですけど、どうなっているんですか?」

 

「んー、10日毎に2日間の休日が基本なのですが、明日は半数近くの先生方が、何やら最近起きた魔物の問題について、今後の学園の対応を話し合うとかなんとかなのです。

 それが明後日の休日と重なったので3日間の休みとなったらしいのですよ」


「……へぇ~」


 その問題ってもしかして変異種の件か?想像以上におおごとだったんだな……。

 そして話を聞くかぎりフリージア先生とレスター先生は呼ばれてないと。


 だがそんな事は知らん!俺には関係ない!


「まあ大体は分かりました。俺の予定は多分大丈夫ですけど、準備とかはどうすれば良いんですか?」


 会長から誘われたお茶会はまだ先だったし、他に予定も無いはずだ。

 

 ああ、でも貴重な休日が……。


「ふっふっふ……よくぞその質問をしてくれたのです!」


 どや顔で自慢してるところ悪いが、さっきからチラチラ紙袋を見ているせいで意図が丸分かりだ。

 それにさっき紙袋を運んでいる時にもそれっぽい事を言ってたし。


 まあ、ここでそれを指摘するのも大人げないか。


「へぇ、何かあるんですね?」


「そうなのです!!先程も言いましたが、実はちゃんと明日の事を考えて持ち物を買ってきたのですよ!!勿論、アルギウス君の分も買っておいたのです!!」


 ここで断られてたらどうしたんだとか、俺が既に準備していたらとかも言うべきでは無いな。

 結果的には両方先生の予想通りだったのだから……何も考えてなかったのかもしれないが。


「で、何を買ったんですか?」


「保存食やロープなどの小物から、二人分のテントなどの大きな物まで多種多様なのですよ!!」


おぉ、もしかして野宿とかするのか。ちょっと楽しそうだな。


「あ、少し高かったのですが一応、魔物避けの香料を多めに買っておいたのです」


「そうですか……」


 訂正。地球のキャンプ感覚で挑むには、些かこの世界の野宿はワイルド過ぎるようだ。


 ……いや、そもそも野宿の時点でそうか。



「それで明日の詳細な予定なのですが早朝に学園を出て、昼頃に町によって休息、後は目的の場所の近くに村が1つあるので、最後にそこによってから目的地に到着なのです。

 帰りも、その逆を辿る感じになると思うのです」


「分かりました」


 まさかここまでしっかり考えてたとは思わなかった。……まあ、これに関しては真面目にやらないと死ぬかもしれないしな。


「後は荷物の確認をする事くらいなのです」


「分かりました。じゃあ明日の為にも、ちゃちゃっと終わらせましょうか」


「おー!なのです!」


 ……話は直ぐに終わったが、ここからが長かった。

 先生が品質の良いものばかり買ったせいで、月に一度しか支給されない部費的なお金をもう殆ど使っていたり、明らかに先生が欲しかっただけであろう何かの植物の種だったり……疲れた。


 明日が一気に心配になってきたな。





















「ではアルギウス様、行ってらっしゃいませ」


「アル~、怪我しちゃダメだよ?」


「気を付けるよミューナ、爺や。二人とも、行ってきます」


 次の日なんかに楽しみな事があると、時間が過ぎるのが遅く感じる事があるが、今回はその逆だ。

 

「ヘリスには昨日言ったし、そのまま行くか」


 集合場所は学園の入り口。地球で言うところの校門の辺りだ。


「あ、いたいた。待たせちゃったか……」


 校門が見える所まで行くと、校門前に人影がポツンと立っているのが見えた。


「もう来てたんですか、レスター先生」


「…………」


先生に駆け寄って声をかけるが、返事が無い。


「レスター先生?」


「すぅ……すぅ……」


「おおぅ……」


 どうやらレスター先生は立ったまま寝ていたようだ。

 凄いな、顔は俯いているが、何かにもたれる事もなく直立の綺麗な姿勢のまま寝ている。


 ……もしかして、この技能をいつか習得しないといけないのだろうか?


「まさかな……先生~、起きて下さ~い」


「んぅ……?あっ、アルギウス君。私としたことが、つい居眠りをしてしまったようなのです……」


「まあ、俺も今来たばかりなんで行きましょうか」


「たしかにそうなのです。では、行きましょうなのです!!」


「おー」


 学園を出た後は、先生の後を追って東への道を進んで行く。

 オススメの場所と言うくらいだし、道もしっかり覚えてるのだろう。


 んそれにしても、レスター先生の方が俺よりベテランだから何か理由があるんだろうけど、ちょっと心配なんだよなぁ……その服。


「レスター先生、そんな服で大丈夫なんですか?」


 暑いから薄着なのはわかるんだけど、幼児体型なのにへその出てる服とは危険な香りしかしない。

 それに服が全部真っ白。髪の色も白いせいで、なんか目が疲れてきた。


「むむっ!!アルギウス君は良いところに目をつけたのですっ」


「良いところも何も、その格好に突っ込まない人はいませんよ……」


「そ、そうなのですか……。この服は昔私が作った物で、周りの気温をある程度までならコントロールして適当な温度にしてくれたり、汚れが付きにくい、破れにくい等の便利機能がたくさんある一品なのです!!」


「へぇー」


 ヘリスから貰ったコートのせいで凄さが伝わりにくいが、普通の人が作ったにしては明らかに規格外なのは漠然とながら分かる。


「思った以上に反応が薄いのです……そんな事を言ったらアルギウス君なんて服の上にフードなんて、暑くないのですか?」


「まあ、そのレベルの服を作れるのは素直に凄いと思いますね。後、余計なお世話です」


「自分の事を棚に上げるのはズルいのです……!!

 この服に関しては今はもう作れないのです。金銭的にも、能力的にも……」


 こうして、他愛もない話というか、殆ど先生の話が多くなりながらもしっかりと進んで行く俺たち。


 しかし、最初の方はのどかな平原を進んでいたが、遠くに見えていた山にどんどん近づいていく。

 どうやら山越えもするらしい。


「そう言えばアルギウス君、レルガン王国の首都であるこの王都ですが、首都にしては小さいと思わないのです?」


 先生が唐突な質問をしてくるが、正直考えた事も無いな。

 言われて見ればたしかに小さい気がするような……。


「何か理由でもあるんですか?」


「ヒントは、この王都を殆ど囲むように存在する山々が関係しているのです」


 たしかに王都の回りには山が多いが、小さくしないといけない理由が思い当たらない。


 山に近いと駄目って事か?としたら山に関係する事……。


「……山の中に生息する魔獣から離れる為?」


 草原地帯に魔物は殆どいなかったが、山の中には魔物がわんさかいる……気がする。

 そんなのが例え大きな壁を1つ隔てようと、近くにいるのは危険過ぎる。外に出た途端襲われるなんて事もあるだろうし。


 自分で言っときながら、結構ありな気がしてきた。


「先生、どうですか?」


「……ん~、半分だけ正解なのですっ!!」


「えぇ~……」


 半分だけ正解か。一応間違いじゃないはずなのに、なんで先生がどや顔してるんだ。


「で、答えは?」


「おぉぅ、立ち直りが早いのです。……答えとしてはアルギウス君の答えともう1つ、この国では個々人の実力よりも集団である軍としての力が強いので、山よりも集団行動が十分とれる平原の全方位の確保をした結果であると言われているのです」

 

「へ、へぇ……」


 あれ?あのレスター先生が残念な人じゃなく見えてしまったぞ……?


「う~ん、真っ白な服を見続けたせいで目に致命的なダメージが……先生、先生が真面目に見えてしまったので、ここいらで目の為にも休憩をとって良いですか?」


「なんなのですかそれは!?先生だって真面目になる時くらいあるのですよ!!」


 惜しい、そこは普通の人ならいつも真面目ですと答える場面だろうに。


「……ってあれ?こんな所に珍しい物が生えているのです」


「え?それですか?普通の花にしか見えませんけど……」


 先生が突然道の端にしゃがんだので後ろから覗きこむと、そこにはなんの変哲もないピンク色の小さな花が咲いていた。


 一応レスター先生に師事した事だし、ついでに植物の知識も存分に吸収させてもらおう。


「これって何て言う花なんですか?」


「これは眠り花の一種なのです。この花を乾燥させた物に火をつけると、数分後に急激な眠気が襲ってくると言う危険な花なので、王都では取り扱われていないのです。

 私も実際にレルガン王国内の、それも自生した状態で見たのは初めてなのですよ~」


「本当ですか!?こいつ、こんな可愛い見た目でだいぶ危険な奴だったのか……」


 でもこういうのから麻酔薬とか作れそうな気がするな。全然医学系の知識が無いから俺には無理だけどさ。


「一応採取しておくのです‼……ってアルギウス君、上の空なのですよ」


「…………」


でもこれを軍事利用する事も……いや、そんな危険な物を軍事利用の為とはいえ自国に持ち込めば、民間に広まる可能性がある。

 それを抜きにしても、風魔法を使ったら解決だしなぁ……。


「それじゃあ行くのです!」


「分かりました……って花は?」


「え?採取したのですよ?」


「あ、そうなんですか……ん?」


 採取した……?


 危険な花だからレルガン王国では取り扱わないんだよな?


「それ、犯罪じゃないですか?」


「ち、違うのです。研究サンプルとして使用するだけなのですよ」


 目を背けながら話しているのが見苦しいな。


「はいはい、そうですか、っと……」


 ぶっちゃけ俺もこの花の利用価値については考えていた。

 たしかにレスター先生なら有効利用できるかもしれない。

 

 ……だがここでそれを言えば、レスター先生が乗っかってきそうだから止めておこう。


「それより、そろそろ山……森ですね」


「森は植物の宝庫なのですよ!!……魔物の宝庫でもあるのですが」


 魔物が出てくるなら俺の出番か。一応、武器は持っておいた方が良いな。


 寧ろ俺としては魔物の方が本命だ。


「でも、この森は魔物が少ないので気楽に構えていても良いのですよ」


「もう、そんなに気安くフラグを建てないで下さいよ」


「フラグが何かは知らないのですが、過去に何度も通りましたが殆ど魔物と会った事は無いですし、会っても単体だったのです」


 まあ、テンプレに恵まれていない時点でフラグもクソも無いよな。


 ここは1つ、先生の言う通り気楽に行こうか。
















「ギャーッなのですよ!!アルギウス君、頑張って欲しいのです!!」


「先生、後でフラグについてみっちり教えます」


 俺と先生の周りを、複数のゴブリンやコボルト等の魔物が囲んでいた。


 ……フラグはしっかり折らないといけない。

「レスター先生、そんな服で大丈夫なんですか?」


「大丈夫、問題ないのです‼」


 数分後……


『神は言っている。ここで死ぬ定めでは(ry』


――――――――――――――――――――


 先生の服を言及するシーン、作者の頭の中はこれ一色だった。

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