入園試験!③
次回から話が動くと思います。
学園での登場人物が殆ど決まってない!……まぁ、少し前からキャラ(特にアルギウス……とカルロスは登場した瞬間から)が1人歩きしているので勝手に決まってくれるでしょう(白目)
試験が始まった。
目の前で悠然と立っている生徒会長はつけ入る隙が見当たらない。
魔法を放てば良いのか?いや、まだ離れているというのに動かないということは、遠距離攻撃でも相当な自信があるのだろう。
なら近距離戦か?これもダメだ。俺が動こうとすると、会長が自分の獲物――レイピアなのだが、これがまた会長の雰囲気と合っている――の剣先を少し動かすだけで断念せざるをえなくなる。
そもそも俺の剣術はこの世界の戦い方には合っていないだろうし、技量もこの世界じゃ並み程度だろう。俺が正眼の構えという剣道でよく見る構えなのに対して、会長は右半身を前に出してレイピアを顔の横で構えているという、よく分からない構えをしているのだし。
「どうやら相手を観察できるほどには冷静な判断ができるようですね。……もう少し待ちましょうか?」
「ええ、すいません。もう少ししたら動くと思うんで」
ちょっと他人事のように言ってしまったが、それも仕方無いと思う。
だって自分でもいつ動くか分からないんだもの。
何か手札は無いか……近距離戦でも魔法でも無いもの……。
アイギスの盾!……はそもそも防御能力しか無いか。
そもそも近距離でも遠距離でも無い攻撃ってどんな間合いだ?中距離?今この場ではお互いの悪い所が組合わさった未来しか見えないし。
いや、そもそも近距離や遠距離以外を選ぶ必要も無いんじゃ……?
……てなところで閃いた。いける気がする。せめて会長に一太刀浴びせるくらいは。
危機的状況で思いつく良案。これがテンプレなら待った無しで勝利できそう。
「ふっ!」
「……どうやら覚悟は決まったようですね」
先手必勝。ひたすら無言で魔法を放つ。
結果、会長の武器も『魔絶』だった。会長に放った魔法の尽くが斬られてし四散する。
「まず一つですね」
会長の呟きが聞こえるが、何を数えてるんだ?まさか七つ数え終えると必殺技が出る的なロマンスキルとか?
それなら数が増える前に終わらせる!
「二つ……です」
「うおぉぉっ!」
間合いに入った後は斬る!斬る!斬る!!
「三つ」
会長はその場から動かずに俺の攻撃をいなし続ける。
これは予想通り。俺の技量じゃ動くまでも無いなんて思いたく無かったが。
「では私からも!」
これも予想通り。仮にも試験なのだから攻撃力と防御力を測ってくるのは分かっていた。
「うひょっ!危なっ!?うわぉ!!」
「気の抜ける声……まさかこれも作戦ですか?」
別に作戦では無い。というか突きの止め方とか分からない!的確に心臓や顔面なんかを狙ってくるんだけど!?
……まあ、俺としてはもっと会長には本気を出して欲しい。別に俺もカルロス兄さんのような性癖を持ったわけではない。 作戦の為なので、できれば全力の一撃をかまして欲しいくらいだ。
それに同時進行で腰に入れている杖からもゆっくりと魔力を垂れ流すという、脳が二つ欲しくなるような荒業をしているのだ。ぶっちゃけ早くしてほしい。
……だから、煽る。
まだ少ししか経っていないが、会長の性格的には乗ってくれるとは思えない。
だが、分の悪い賭けを何度も制しないと勝てる相手じゃないのも分かっている。
「まだ余裕ですね……っと!?いくら試験とは言えここまでうわぉっ!?手加減されると面白くなうぁいっ!?……ですね」
「……とりあえずアルギウスさんが煽り下手なのは分かりました……が、それとこれとは別。こう言われては相手の土俵で戦うしかありませんね」
案外簡単に引っ掛かってくれた?会長はああ言っていたが、本当は俺の煽り攻撃はかなりの技量に達しているのかもしれない。後でヘリスやミューナに感想を聞いてみても良いかもしれない。
「受けきってもらわないと直ぐに試験が終わってしまいますので、全力でお相手願いますよ!」
会長がレイピアをいっそう強く引く。当たり前だ。剣だって。本気で斬る時は全力で振りかぶる。
だがこれが一発勝負の賭けどころだ!!
「アイギスの盾ぇぇ!」
キィィィン!
「っ!?」
レイピアがもう少しで俺の身体に当たる瞬間、見えないナニかに攻撃を拒まれる。
幼竜戦でも薄々感じていたが、アイギスの盾は普通は見えないらしい。
ただ、見える条件が魔力眼を持つ者だった場合は会長にも見えたかもしれなかった。
これも分の悪い賭けだ。
だが、賭けに勝った見返りはデカい。それだけにこれで決めなければ本格的に俺が勝つ確率が下がってしまう。
なにせ、ここまで無防備な会長はもうこの試合で見る事は無いかもしれないのだから。
一撃に全てを込める!俺の全力を!
「『制限崩壊』!」
原色魔法は試合開始時に無詠唱で唱えている。当たり前だ、そうじゃなきゃ会長の一撃を受け止めただけで吹っ飛ぶ。
「これでしまいだぁっ!」
「――さすがです」
会長を斬りつける瞬間、今感じている風とは明らかに異質な風が、頬を撫でた……気がした。
「アイギ……」
「私たちに速さでは勝てません」
視界が回転。会長がみるみる小さくなっていく……?
あぁ、会長に吹き飛ばされたのか。ダメージが無いとこういうところが分かりづらい。
会長は……その場から動いていない。どうやって俺を吹き飛ばしたんだ?
「なんて……考える時間は後だ!」
『制限崩壊』の効果はまだまだ残っている。幸いダメージが無いんだ。通常なら身体中の肉が千切れるレベルで無理矢理空中で体勢を変える。
我ながら、傍から見ればさぞ気持ち悪い動きに見えるんだと思う。
そのまま無事に地面に着地。膝から行ってしまったが、やはり痛くも痒くも無い。
「さすがですね」
「ありがとうございます。ではそろそろ終わりにしましょうか……最後の仕掛けも無事に仕掛けられたようですしね」
「ふふ、とても楽しみですね。期待させていただきますよ?」
さっきから会長の周りに無駄に魔力を放っていた甲斐があった。無駄に魔力を込めた各種初級魔法で攻撃しまくって、会長の鋭い攻撃を受けながら魔力を垂れ流して……。
まだこの程度じゃ魔力は無くならないが、残念ながら俺の体力が限界だ。まだ試合が始まって10分も経っていないがはずだが、6歳児が限界超えた動きをそれだけできれば十分だと思う。
「よし、脳内言い訳終了!後はこれが無理なら諦めようか……『海竜槍』!!」
俺の頭上には、さすが海竜の名を冠するだけの事はある。見る者全てを圧倒するだけの存在感を放つ大きな水の槍ができていた。
「っ!水魔法超級を無詠唱!?」
「ふ、驚きましたか?」
「超級の無詠唱は、この学園の高等部でも数人しかできないのですが……これはとんでもない逸材かもしれませんね」
会長さんを騙しているようで悪いが、残念ながら完全な無詠唱による超級魔法ではない。
莫大な魔力を使って作り上げた、威力も下がっているし、魔力は10倍以上も使っているハリボテの不良品だ。
俺の実力じゃまだこの程度で、超級を無詠唱で撃てるのはまだまだ先のようだ。
だが、これで良い。
「終わりだ!」
「先程も見せましたが私の武器は『魔絶』。無詠唱とはいえ超級魔法なら簡単に斬れます!」
会長に『海竜槍』が迫るが、レイピアを振りかぶって……レイピアって振りかぶるもんじゃ無いよな!?
「はあっ!」
斬った。それはもうあっさりと。
どんどん原型を失い、ただの水のようになる元『海竜槍』だが……これで最後の準備はできた。
これで終わりだ!
「当たりますように。なーむなーむ仏様ヘリス様」
……困った時の神頼み。どうか成功しますよーに!
「――――『獄炎の熱線』!」
「っ!?まさか!」
会長が気づいたようだがもう遅い。
その瞬間、会長の上から燃え盛る炎の柱が迫っていた。
「『アイギスの盾』!」
先程撃った『海竜槍』だった水が、水蒸気爆発を起こすので『アイギスの盾』であらかじめ防御しておく。
ゴゴゴゴゴゴゴゴッ!
「うわっと!ギリギリだったな……」
間一髪セーフだったが、周りの気温と湿度が一瞬で上昇してしまっている。
とりあえず、作戦は成功かな?
……作戦の概要だが、
『獄炎の熱線』は所謂炎のレーザービームを撃つ魔法で、それを俺の魔力に囲まれて会長が魔力眼(仮)が使えない時に、まだ魔力の状態の『獄炎の熱線』を上に放つ。
その後に『海竜槍』を作り、会長と話している間と撃った後の僅かな時間で、上に放った魔力を左手でこっそり持った杖で操作して『獄炎の熱線』の完成だ。
3分クッキングも驚く早さ。勿論そこはハリボテになってしまうので、更に他の部分を削って熱量をとにかく上げた。
攻撃力としては高温の熱と水蒸気爆発くらいか。
これぞ知識チートだ!!……え?簡単過ぎ?
でも威力は保証するからね!
……あっという間に効果時間が終了するようで、みるみる炎の柱が細くなっていく。
「会長は……あれ?いない……」
「私の勝ちですね」
ちょん、と首筋に当たる針のような物。
「刺さらないと分かっていても、刃物が首に当たっているのは心臓に悪いです……」
「あら、すいません」
どうやら冗談の類いだったらしく、簡単にレイピアを首筋から離してくれた。
「どうやら勝負がついたようじゃな」
審判台から学園長が降りてくる……少し急な階段だったため、跳ぶように降りているのが可愛い。
「では、試験結果の発表ですね」
来た。これで俺たちの今後が決まるんだ。 前世ではさんざん試験をやってきたが、やっぱりペーパーテストと違って本当の自分の実力が誰かに判定されると言うことで、それは言ってみれば自分の基準を他者に委ねるという……
「全員合格じゃ」
「だがそれが必ずしも良いことでは……え?合格?……やったぁぁぁあ!」
「ふう、緊張しました……」
「やっぱりのびしろのおかげだなー!」
思わず飛び上がってしまったが、ミューナも同じように飛び上がっているし(俺の倍くらい)ヘリスは飛び上がっていないが、それでも喜んでいるようなので今はよしとしよう。
……とりあえず、ミューナは伸びしろを何と勘違いしているんだろうか?
「それでクラスに関してじゃが……」
まだ続きがあったようで、学園長が今だはしゃいでる俺たちを落ち着かせるようにゆっくり話始める。
「ミューナ君は初等部一年特待生のC組、ヘリス君は中等部一年特待生のA組、最後にアルギウス君は初等部一年特待生のA組じゃ」
おっと、ここでも英語が使われているな……じゃなくて、
「特待生組っていくつあるんですか?」
「どの学年も3組じゃのう。儂としては分けたく無いのじゃが、国が少々煩くてな。そのせいで1クラスあたりの生徒数が少ないのじゃ」
はてさて、国がわざわざ特待生の組を増やす理由って何なんだ?
「とりあえず、歩きながら話しませんか?」
と、ここで割って入ってきたのはカルロス兄さんだった。しかも敬語を使ってらっしゃる!
はぁ……カルロス兄さんが5歳の頃が懐かしいよ。
「そうじゃの……あぁ、それとアルギウス君。どうしても合わないなら、一応クラス替えもできるからの」
「何ですかそれ!?俺って何かボッチみたいなオーラ出してますかねぇ!?」
「ど、とうしたんじゃ急に……一応、頭の片隅には入れておいて欲しい」
「は、はい」
この時俺は気づいていなかった。特待生クラスをわざわざ複数作ったのかも、学園長が言った今の言葉の意味も……。
そう言えば会長が数えていた数と、私たちって発言は何だったんだ?
数に関しては前半だけだったっけ?
ツイッターフォロワー数7人!
……あれ(°Д°)?




