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報告

 これからは、この位のペースで更新していきたいです。


*最後の方ちょっとだけ3人称

「2人は家に帰って使用人に今回の事を伝えに行ってくれ!」

「はいっ!」

「らじゃー」


 王都に戻ってきた俺達は二手に別れて行動する事にする。俺がギルドに、ヘリスとミューナは家に報告に行く。

 家に関しては、一応父さんも騎士団の副長だ仕事があるだろうから、この街の中心部にある王城にいると思う。今回の事を報告しておけば、もし家に居なくとも使用人に言えば父さんに直ぐに伝えてもらえるはずだ。 


 まだ変異種の異常発生かは分からないが、変異種が連続で出たとなれば僅かな可能性だが、最悪な事態が起こり得る可能性があるかもしれない。


 2人と別れた俺は町行く人々を避けながらも、なるべくスピードを落とさないように駆け抜ける。


 暫く走り続けるとギルドが見えて来たのだが、いつもよりもギルドが騒がしかった。

 一瞬不思議に思ったが、考えて見れば今はもう日が沈みかけている時間だ。依頼を終わらせた冒険者達がギルドの中にある酒場で賑わっているのだろう。


「お?坊主……か?フード被りっぱなしだから気づかなかったぜ。なんだ?今から冒険者登録か?」

「あっ、ビルドさん、ミラさん、バズさん、こんばんは。もう冒険者登録はしましたよ……今回はギルドにちょっと報告がありまして」 


 後ろから声をかけられたので振り返ると、ビルドさん達がいた。

 丁度依頼から帰ってきたのだろう。鎧等が少し汚れている。


「ギルドに報告?アルギウス君ったら何やらかしたの?ヘリスちゃんとミューナちゃんもいないし……」

「ヘリスとミューナは今は家にいるはずですよ。後、俺は何もやらかしていませんよ。少し急いでるので先に行きます!」


 ビルドさん達に会えたのは嬉しいが、ギルドへの報告が先だ。ビルドさん達には悪いが、ここはおいとまさせていただく事にする。


 ビルドさん達と別れてギルドに入る。


 

 酒くさっ!



 思わず鼻を押さえてしまう。酒場を見ると殆ど満席状態になっており、どこもかしこもお祭り騒ぎになっている。

 

 っと、早く報告に行かなければ。


 受付は冒険者がまだ2、3組並んでいるところもあるが、そこの受付は全員綺麗な女性ばかりだ。男の受付が1つ余っているのでそこに行くことにする。


 ……少し悔しいが今は仕方がない。



「?……君、今回はどう言ったご用件かな?」

「王都近辺の森で変異種のゴブリンとオーガに連続で会いました。初心者が行くような区域なので他にも変異種がいないか調査をお願いしたいです」

「……本当かい?虚偽報告は子供でも罰則があるよ?とりあえずギルドカードを見せてくれ」

 

 俺の必死さが伝わったのか、はたまたこの人が真面目な人なのか、とにかく話は聞いてもらえたようだ。


 受付の男に言われたギルドカードと、袋も出す。


「ギルドカードと……これはなんだい?」

「一応ゴブリンの変異種は倒したので証明部位と換金ようの爪です」

「っ!……それなら話が早い。早速中を拝見させていただくよ」


そういうと男は変異種ゴブリンの耳と爪が入った袋の中を調べ始める。

 

 いざとなったらグランバードの名前も出そうかと思ったが、必要なかったようだ。


「君、魔石はあるかい?」

「魔石?」

「魔石を知らないのかい?……簡単に説明すると魔石っていうのは魔物の身体の中にある物でね、魔物の種類によってある場所が変わるけど基本どの部位よりも高額で売れるから知っておいて損は無い。説明は受けなかったかい?」


 え?あの魔石?この世界にもあったのか……。説明は本で貰ったけど流石に全部は読んでいなかった……。

 そういえばスライムの核はアイテムボックスに貯めているけど石じゃないしな……。 

 幼竜のやつは……もしかしたら母さんがくれた餞別の中にでも入っているのかな?後で見てみよう。

 


「とりあえずギルドマスターに掛け合ってみるから暫く待っていてくれ」


 受付の男はそれだけ言うとさっさと奥に引っ込んでいった。


「待っとけって言われてもなぁ……」


 ピチピチの6歳である俺に酒場しかないギルドで何をして待っていろというのだろうか。 

 酒場にジュースでも置いていないかな?


 丁度走ってきたから喉も渇いていたし、こういう時は即実行だ。

 

 一応端っこの方の席に座る。今はテンプレみたいに絡まれるのも面倒くさいしね。


 机の上に皮紙があったので手に取ると、酒場のメニュー表だった。この世界ではまだ平民は皮紙を使っているらしい。


メニューに普通の飲み物が無いか見てみると、意外とそういうのも充実していた。

 果実水一つとってもいろんな種類があるし、乳製品のジュースみたいなのもあるみたいだ。

 多分過去の勇者が製法を広めたのだろう。


 俺はピチルと言う桃っぽい果物を使った果実水に決めたが、

 

「……」


 少し待ってみるも店員が此方に気づく様子はない。よく見ると、せわしなく動き回っている店員に、冒険者達は各自自由に声をかけて注文していっているようだ。


 たまたま近くを店員が通ったので、


「ピチルの果実水一つ!」


 一応周りが煩いので大声で言う。


「はーい!ピチル水一つですねー!」


 俺の注文を受けた店員はカウンターへと向かっていく。


 途中、他の客の注文も受けていたが紙などに一切メモをしていない。これで覚えているのだろうから凄まじい記憶力だ。


 そういうスキルがあるのかもと思い鑑定しようかと考えたが、昨日鑑定がバレそうになったのを思いだし自重する事にする。



 ……決してビビっているわけではない。



「待たせてすまなかったな」


 俺が、暗記系のスキル……そのまま暗記スキルか?と考えていると、受付の男……ではなく、知らない男の人が目の前の席に座りながら声をかけてくる。

 

「……誰ですか?」

「そんなに警戒するな。一応俺はここのギルドマスターをやっている」

「え!?」

「あまり大声を出すな。注目を浴びるのは面倒くさい」


 マジか……この人がギルマスなのか。年齢は20代位にしか見えないんだが。


「今、俺の事「ギルドマスターのくせに若いな」と思っただろう」

「……っ!」


 何故バレた!


「驚きすぎだ。まあ、毎回同じ反応をされるからな。初対面の相手にこう言っとけば大抵嘗められない」

「え?それって俺に言っちゃって良かったんですか?」


 ネタばらしされたら全然怖くないんですけど……。


「……お前だって6歳で冒険者やってるだろう」

「たしかに俺も同族だったのか!……ていうか何で6歳って知っているんですか?」

「冒険者登録の時にグランバード子爵からの紹介状に許可を出したのは俺だぞ?お前の素性位調べている」

「さいですか……」

「っと、この話は置いといて例の件だが、一応Cランクの斥候職の冒険者達にパーティーを組ませて明日の朝早くに偵察に向かわせるつもりだ。

 ……もし本当に異常があるのならCランク以上の実力の奴等には国から緊急依頼が出る。 ……話過ぎたな、とりあえず明日の昼頃に一度来てくれ。そろそろ失礼する」

「分かりました。それじゃあまた明日」


 ギルドマスターはあっという間に去っていった。

 この話を俺にするのにギルドマスターが直々に来るなんて、相当フットワークが軽い人なのだろう。


「お待たせしましたー。ピチル水でーす」


 ピチル水を受け取った後に代金を請求された。地球みたいに最後に会計じゃなくて貰ったその場で支払うのか……きっと地球の方法だと食い逃げが多発するのだろう。


 ……というか、待つために注文したのにもう意味無いじゃん。


 ピチル水を少し自棄になりながら飲み干した俺は、心配をかけないうちに家に早く帰る事にする。


 





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「ただいまー」

「おかえりなさい。アル様」

「おっかえりー!」


 家に帰ると2人が出迎えてくれる。

 癒されるなぁ~。仕事帰りの男達はいつもこんな感じなのだろうか?


「ヘリス、父さんに連絡はできた?」

「はい。先程……」

「アル、大丈夫だったかい?」

「父さんっ!」


 何くわぬ顔で父さんがやってくる。報告を受けたにしては早すぎないか?


「これでも父さんは足が速いからね、全速力で帰ってきたのさ」

「えぇ……」


 レベル100あれば車と同じくらいのスピードを出せるんだぞ?いくら父さんのステータスが魔法使い系だとしても車を軽く凌駕するスピードで走れることは間違い無いはずだ。

 地球の基準で見れば父さんが魔法を使わなくても化け物レベルだろう。

 

「父さん、仕事は?」

「そんなもの部下に丸投げだよ」 

「……」


どや顔で言いきる父さん。よく副団長がつとまるなっ!


「とりあえず、3人共今日は休みなさい。明日の昼までは時間があるし、話は明日の朝にしよう」


 たしかに今日は疲れたな……。

 

「分かった。じゃあ、お言葉にあまえてそうするよ。とりあえず晩御飯が食べたいなぁ、行こうヘリス、ミューナ。」

「分かりました。行きましょうか、ミューナ」

「ごはーんっ!」







◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 3人が食堂に行った後ルイスは一人、明日の事を考えていた。


「なんだか、嫌な予感がするなぁ……」


 本当にこれは偶然起きた事なのだろうか?


「いや、考えても仕方が無い、ね」


 予感に根拠があるわけでもない。この事は明日の朝考えれば良いだろう。


「あっ、僕も子供達と一緒に晩御飯を食べるよ」


 傍に居たまだ年若い、新人らしき使用人にそう告げ、食堂に向かって歩き出す。


「王城で食事を済ませたと聞きましたが?」


ルイスは使用人の方に向き直りどや顔で、


「家族と食べるご飯は別腹だよ」


 と言いきった。


「はぁ……」


 家族が傍に居るだけでご主人様はここまで変わるのかと、戸惑いを隠せなかった使用人であった。

 感想にて、誤字脱字報告募集中!


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